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冒険者~学園騒動~
いつもの風景と心配事
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野外演習二日目の朝は、特に何事もなく始まった。
今は各自で朝食の準備をしているようだ。
「朝は温かいスープにするか。あぁ~、そういや出汁まだあったかな?」
「皮でも剥いで手を熱湯に浸けとけば?出汁が取れるんじゃない?」
「恐ろしいわ!?何の出汁だ!何の!むしろお前が浸かれよ。龍の肉は最高級だから最高級の出汁がでるぞ!」
「はぁ!?……まぁ、魔王は禍々しいから出汁も禍々しいのになるかもしれないもんね~」
「ハッ!残念でした。この体は勇者のだ。むしろ聖なる出汁になるかもな!」
「聖なる出汁って何だ!」
何やら訳の分からない口論を繰り広げるアルベルトとガイを放置したフェリーチェは、自分が持っていた材料でスープ作りを始めていた。
そんなフェリーチェにソロソロと近付いたブレンダが声をかける。
「あの~」
「どうかしました?あっ、皆さんの分も作りますよ」
「ありがとうございます!……じゃなくて!アレは止めなくて良いのですか?」
「ただのジャレ合いですよ。いつもの事です」
「そ、そうですか?何か殴り合いになってますけど」
「いつもの事です」
「ま、魔法を使い始めましたけど!?」
「結界張ってるから大丈夫ですよ~」
「その結果に亀裂が入りましたが!?」
「大丈夫、大丈夫……できた。アル~、ガイ~、ご飯だよ~」
「は~い」「おぉ~」
フェリーチェが声をかけたとたんアルベルトとガイは素早く彼女の側に移動してきた。
それを見たブレンダはガックリと肩を落とすが、二人のジャレ合いを目撃した生徒たちのザワつきは暫く収まらなかった。
時は過ぎ、演習の時間になった。
今日は学園側が指定した場所に向かう演習だ。
もちろんただ向かうだけじゃなく、グループごとで違う薬草の採取と魔物の討伐をしなければならない。
「つまり、出発前に薬草のある場所と魔物のいる場所を把握して、ルートを決めないといけないって事だよね」
「気付いてるのは少ないね。グレースたちは分かってるみだいだけど」
「冒険者にとっては当たり前なんだけどな」
「でも、これって大丈夫かな?」
「何がだ?」
「だって、目的地に行くルートってあそこを通るでしょ?」
「ん?…あぁ~確かに僕たちが落ちた場所も通るね。でも、入り口は全部ガイが塞いだんだろ?」
「あぁ、いくつか残してるが登録した魔力に反応して開くようにしてあるから大丈夫だろ」
今回の演習場所の森は、以前ガイがいた地下施設がある森だった。ガイがファウスト家に移り住み無人になっていたが、施設には貴重な物が多くあったので、誰でも入れないようにしていた。
「……グレース様も登録してたよね。あと私たちも」
「反応したら開くね」
「…グレースに言っとくか」
「「それが良いよ」」
話し合いをしているグレースに通信して地下施設の件を伝えると、ハッとした顔をしたので、彼女も忘れていたようだ。グレースは施設の入り口を避けるようにルートを考え直す事になった。
準備が終わり、次々に出発する生徒たち。
グレースたちも出発し、順調に薬草の採取をしながら進んでいた。
少し離れた場所には他の班の姿も見える。
皆、真剣に取り組んでいるようだ。
そんな中、薬草を採取するでもなくグレースたちの後を着ける者たちがいた。
メリンダの班だ。
もちろんフェリーチェたちがそれに気付かない筈も無く警戒していたが、目的がはっきりしなかったのでそのまま様子を見る事にした。
しかし、フェリーチェたちは後にその判断を後悔する事になる。
今は各自で朝食の準備をしているようだ。
「朝は温かいスープにするか。あぁ~、そういや出汁まだあったかな?」
「皮でも剥いで手を熱湯に浸けとけば?出汁が取れるんじゃない?」
「恐ろしいわ!?何の出汁だ!何の!むしろお前が浸かれよ。龍の肉は最高級だから最高級の出汁がでるぞ!」
「はぁ!?……まぁ、魔王は禍々しいから出汁も禍々しいのになるかもしれないもんね~」
「ハッ!残念でした。この体は勇者のだ。むしろ聖なる出汁になるかもな!」
「聖なる出汁って何だ!」
何やら訳の分からない口論を繰り広げるアルベルトとガイを放置したフェリーチェは、自分が持っていた材料でスープ作りを始めていた。
そんなフェリーチェにソロソロと近付いたブレンダが声をかける。
「あの~」
「どうかしました?あっ、皆さんの分も作りますよ」
「ありがとうございます!……じゃなくて!アレは止めなくて良いのですか?」
「ただのジャレ合いですよ。いつもの事です」
「そ、そうですか?何か殴り合いになってますけど」
「いつもの事です」
「ま、魔法を使い始めましたけど!?」
「結界張ってるから大丈夫ですよ~」
「その結果に亀裂が入りましたが!?」
「大丈夫、大丈夫……できた。アル~、ガイ~、ご飯だよ~」
「は~い」「おぉ~」
フェリーチェが声をかけたとたんアルベルトとガイは素早く彼女の側に移動してきた。
それを見たブレンダはガックリと肩を落とすが、二人のジャレ合いを目撃した生徒たちのザワつきは暫く収まらなかった。
時は過ぎ、演習の時間になった。
今日は学園側が指定した場所に向かう演習だ。
もちろんただ向かうだけじゃなく、グループごとで違う薬草の採取と魔物の討伐をしなければならない。
「つまり、出発前に薬草のある場所と魔物のいる場所を把握して、ルートを決めないといけないって事だよね」
「気付いてるのは少ないね。グレースたちは分かってるみだいだけど」
「冒険者にとっては当たり前なんだけどな」
「でも、これって大丈夫かな?」
「何がだ?」
「だって、目的地に行くルートってあそこを通るでしょ?」
「ん?…あぁ~確かに僕たちが落ちた場所も通るね。でも、入り口は全部ガイが塞いだんだろ?」
「あぁ、いくつか残してるが登録した魔力に反応して開くようにしてあるから大丈夫だろ」
今回の演習場所の森は、以前ガイがいた地下施設がある森だった。ガイがファウスト家に移り住み無人になっていたが、施設には貴重な物が多くあったので、誰でも入れないようにしていた。
「……グレース様も登録してたよね。あと私たちも」
「反応したら開くね」
「…グレースに言っとくか」
「「それが良いよ」」
話し合いをしているグレースに通信して地下施設の件を伝えると、ハッとした顔をしたので、彼女も忘れていたようだ。グレースは施設の入り口を避けるようにルートを考え直す事になった。
準備が終わり、次々に出発する生徒たち。
グレースたちも出発し、順調に薬草の採取をしながら進んでいた。
少し離れた場所には他の班の姿も見える。
皆、真剣に取り組んでいるようだ。
そんな中、薬草を採取するでもなくグレースたちの後を着ける者たちがいた。
メリンダの班だ。
もちろんフェリーチェたちがそれに気付かない筈も無く警戒していたが、目的がはっきりしなかったのでそのまま様子を見る事にした。
しかし、フェリーチェたちは後にその判断を後悔する事になる。
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