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冒険者~修行~

新たな出会い?

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フェリーチェとアルベルトは今、野外訓練のため王都を出たところにある森に来ていた。
同行者はオースティンとブレイクだ。
早速ブレイクが今日の予定を話した。

「今日はテントを張って、そこを拠点に薬草と動物や魔物の探査方法を主に教える予定だ。魔物を見つけても、緊急時以外は攻撃しないようにな」

「「はい、よろしくお願いします!」」

2人が元気良く返事をすると、オースティンがアイテムリングからテントを2つ取り出した。

「よし!まずは、テントだな。俺たちが組み立てるから、それを見てそっちのを組み立ててみろ」

「分かった」

「こっちのテントは小さめですね」

「この大きさは、お前たちでは重すぎて無理だからな 」

渡されたテントを見て、不思議そうにしていた2人は、ブレイクの言葉に納得するとオースティンの作業を見ながら、組み立てていった。
オースティンも2人の様子を見ながら進めていたので、順調に組み立てる事ができた。
出来上がったテントを、ブレイクが確認して問題はなかったのでオースティンが、今度は円錐形の物を5つ取り出した。
5つの内4つは白色で、1つは赤色をしていた。

「次はコレを設置するぞ」

「それは何ですか?」

「何かの魔道具かな?」

「正解だ。コレは『結界針』といって、文字通り結界を張る魔道具だ。ブレイク、頼む」

「あぁ……こうやって結界を張りたい場所の四隅の地面に白い方を刺していくんだ。赤い方は結界内に刺して魔力を流す」

ブレイクはテントを中心にして、広めにスペースを確保するように『結界針』を設置していき、4つ目を設置すると赤色の物に魔力を流した。
それを見てから、オースティンが説明をした。

「ああやって、赤いのに魔力を流すと魔力が記憶されて、結界を張ったまま出入りできるし、登録されていない者は入れない。2人も流しておけ」

「手を触れて少量でいいぞ」

「はい」

「コレって皆も持ってるの?」

赤い結界針に、魔力を流しながらアルベルトが聞くと オースティンが答えた。

「昔は自分たちで買ってたが、今はE級冒険者になると、希望者はギルドで貰えるようになった」

「ギルドが?どうしてですか?」

フェリーチェが聞くと、ブレイクが目を伏せるながら答えた。

「冒険者の生存率を上げるためだ。昔はランクの低い冒険者の死亡率が高かったからな」

「魔道具は高価だから、ランクの低い冒険者じゃ、なかなか手が出せなかったんだ。それだけが原因じゃないが、少しでも生存率を上げるためにギルドが用意するようにしたんだよ」

「まぁ、無料じゃないがな。受け取った後は、報酬から銅貨2枚ずつ引かれる」

「それでも普通に買えば金貨2枚はするからな。ギルドなら全額で金貨1枚だし、支払い期限もないし、利用する奴は多いいぞ」

「「へぇ~」」

結果も問題なく発動したので、森の探索に出発した。
フェリーチェとアルベルトは、2人に言われ足音や気配に気を付けながら進んでいた。
途中で薬草の群生地を見つけたり、アルベルトがスライムを捕まえようとしたり、フェリーチェが顔に貼り付いた虫に絶叫したりといろいろあったが、なんとか休憩地点に着いた。

「ゼェ~……ゼェ~……」

「フェリ、大丈夫?」

「アレだけ叫べば疲れるだろ」

「慣れだ慣れ。何度か体験すれば平気になるさ。アンジェラも昔はキャーキャー言ってたが、今じゃあ無言で叩き落としてるぞ。ハハッ!」

「なれ……たくな……い」

「取り合えず座りなよ」

「うん」

アルベルトは、ようやく息が整ってきたフェリーチェを、近くの石に座るように促し自分もその横にある石に座った。
すると、どこからか音が聞こえた。

――ゴトッ

「「ん?」」

「何か言ったか?」

「オースティン、妙な音が聞こえたから気をつけろ」

――ガコン

また音が聞こえると、フェリーチェとアルベルトの座っている石が沈んだ。

「わっ!」

「ほえ?」

「「なっ!?」」

――ガクン

突然の事に驚いていると、2人の後ろにある岩に穴が開き、同時に石が斜めに傾いてフェリーチェとアルベルトは穴に吸い込まれた。

「ちょっ!」

「何なの~!」

「「フェリーチェ!アルベルト!」」

急いでオースティンとブレイクが、手を伸ばすが間に合わず岩の穴も閉じてしまった。

「クソッ!通信もできない……ブレイク!戻って報せてくれ!俺は入り口を探してみる!」

「分かった!」

オースティンとブレイクが行動を開始している頃、フェリーチェとアルベルトは暗闇の中にいた。

「フェリ、怪我はない?」

「うん。アルが庇ってくれたから。アルは大丈夫?」

「大丈夫だよ。結界も張ったしね」

「2人に連絡した方が良いよね?」

「うん。でも通信が繋がらないし、念話も届かない。魔法とスキル自体は使えるから、外部との連絡だけを妨害してるみたいだね。転移もできない」

「そんな~」

アルベルトが『光』ライトを使い周りを見渡した。
周りは壁に囲まれ、ドアが1つあった。

「取り合えず、行ってみよう」

「う、うん」

アルベルトがドアを開け、外を見ると通路があったので、警戒しながら出ると通路に設置されたランプがついて明るくなった。

「何なのここ~」

「へぇ~面白くなってきた。行くよ」

「えぇ~」

嫌そうな顔をするフェリーチェの手を引いて、アルベルトは進みだした。
しばらく通路を歩いて行くと、ドアが見えた。

「ドアだ」

「ドアだね~。ドアは開けないとね」

そう言いながら、アルベルトがドアを開けるとランプの光に照らされた部屋の中は、たくさんの木の板や平らな石が乱雑に積み上げられていた。

「うわぁ……汚い」

「確かに。でも、この部屋にある物はかなり古い物みたいだね」

「どうして分かるの?」

「コレ見て、木と石に文字が書いてあるだろ?紙の代わりなのさ」

アルベルトが近くの木と石を取って、フェリーチェに見せた。

「確か、紙みたいなのが作られたのが300年位前で、今の紙が安く大量生産できるようになったのは100年位前だよね?」

「そう。木や石を使うなんて、もっと前だね。どうやら、魔法の研究をしてたみたいだ」

2人は、外に出る手掛かりがないか部屋の中を探す事にしたが、特に何もなかったので積み上げた木や石が崩れているところを探そうとした矢先、フェリーチェが悲鳴をあげた。

「キャーキャーキャーキャー」

「ちょっ!?フェリ、どうしたの?落ち着いて!」

「あ、あ、アレ!アレアレ!」

アルベルトがフェリーチェの指差した方を見ると、そこには崩れた木と石の下に骨が見えていた。

「もしかして人骨かな?取り合えず上のを退かしてみよう。フェリ、やってみて」

「えぇ~……『浮遊』フロート

フェリーチェが魔法を発動すると、木と石が浮いたので横に積んだ。
見えた骨は人骨で間違いなかったが、奥にさっきまで見えなかったドアが見えた。

「どうしようか。ドアを開けるのに邪魔だから退かそう」

そう言って、アルベルトが人骨に触ると額に衝撃を受けた。

「痛っ……くわないけど、何なの!?」

「あぁ~体が動く~」

「……………」

「え?」

「ん?……誰だ?」

アルベルトと骨が、しばらく見つめ合うと骨はフェリーチェを見た。

「ぎ、ぎ、ぎ」

「ぎ?」

「ギャ――――!!お~ば~け~!!」

「え!?おばけ?おばけって何!?」

「ギャ――――!!」

「おばけって何――――!!」


「ちょっと、フェリと……骨、落ち着きなよ」

部屋にはフェリーチェと骨の絶叫か響き、アルベルトは耳を押さえながらフェリーチェが落ち着くのを待った。









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