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悪役令嬢たるワタクシはこれしきのイジワルで満足したりしない
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悪役令嬢たるワタクシはこれしきの意地悪で満足したりしない。
2時間目の授業が終わりお昼休みになると、モモカが仲の良い友達と、ある教室に入ってお弁当を食べだした。
ワタクシたちはそれを見計らって、教室のドアに外からつっかえ棒をさす。
これでモモカは閉じ込められて、3時間目の数学の授業にでられない。
モモカはいつもはきはき手を上げて、他の生徒が答えられなかった問題に解答して先生に褒められるので目障りなのだ。
*
4時間目の体育の授業の前にはモモカの運動靴に小さなカニを入れておく。
*
放課後になると、ワタクシとネリーとマリーは、もうじき開かれる学園祭のワタクシたちのクラスの展示の部屋に入る。
椅子を階段にして、机によじ登ると、金賞の札が貼られているモモカの刺繍にぶすっと裁ちばさみを突き刺す。
ついでにずたずたに切り裂いておく。
*
ワタクシはこのように、毎日のようにモモカに幼稚な意地悪を繰り返してきた。
ろくに計画もたてないで、思いつくままやりたい放題をしていたためだろうか?
ワタクシがモモカに意地悪していることは皆に知れ渡っているみたいだ。
近頃、ワタクシの周りではいつもひそひそ声が聞こえる。
*
先生に呼び出されるのも珍しくなくなった。
「スターブレス家のご令嬢で、王太子殿下の婚約者でいらっしゃるあなたが、そんなことをしているなんて、私も信じたくありません。
これ以上続くならご両親にお話ししますよ」
今日も校長のミス セーラにそう注意を受けたが、ワタクシは死んでも謝ったり、反省したりなんかしない。
だって彼女は20年前のドレスをいまだに着ていて、しかも白髪交じりのひっつめ髪。
そんな激ダサ女に、ワタクシたるものがあれこれ言われる筋合いがないのだ。
「そんなことよりも、校長先生。
たまにはグレー以外のドレスもお召しになったらいかがでしょう?
お化粧の仕方も20年ぐらい前から変えていらっしゃらないように、お見受けいたしますから、最近のモード雑誌を一冊ぐらいご覧になることをお勧めしますわ。
そんな風だからいつまでもオールドミスでいらっしゃるのではありませんこと?」
口をあんぐりとあけて、眉根をぴくぴくさせているミス セーラを後目に
「では、ワタクシ、午後からお友達とショッピングですので」
と最新流行のキモノローブを翻しながら、校長室を出て行ってしまう。
*
その日の放課後はハンスをお供に、街にショッピングに出かけた。
ワタクシが目についたものを片っ端から買っていくので、夕日が落ちるころには、ハンスは両脇の腕の付け根から手首まで、びっしりと紙袋をさげていた。
さらに帽子や靴の箱を両手に積み上げて、まるで曲芸師のようにバランスをとっている。
*
ショッピングから帰って、すべての荷物を玄関の絨毯の上に置き終わったハンスをドアから追い出すと、メイドとボーイを呼ぶ。
5人ほどのメイドとボーイに、買ったものをワタクシの部屋に運ぶように命じる。
*
コツコツコツ。
ハイヒールの音をさせながら、玄関ホールのらせん階段を上って自分の部屋に戻ろうとしたときだった。
階段の下にある、電話がジリジリジリと鳴った。
メイドが出たあと、お父さまとお母さまに取りつぐ。
「まあ、電話といえばお父さまのお仕事のことがほとんどなのに、お母さまもまでなんて……
誰か親戚が死んだのかしら?」
そう思いつつもあまり気に留めないで階段を上る。
自分の部屋で、先ほどお買い物したドレスやアクセサリーを試着しているときだった。
「ネウェル!! ちょっといらっしゃい!!」
両親のいつもとは違う緊迫感のある呼び声がした。
2時間目の授業が終わりお昼休みになると、モモカが仲の良い友達と、ある教室に入ってお弁当を食べだした。
ワタクシたちはそれを見計らって、教室のドアに外からつっかえ棒をさす。
これでモモカは閉じ込められて、3時間目の数学の授業にでられない。
モモカはいつもはきはき手を上げて、他の生徒が答えられなかった問題に解答して先生に褒められるので目障りなのだ。
*
4時間目の体育の授業の前にはモモカの運動靴に小さなカニを入れておく。
*
放課後になると、ワタクシとネリーとマリーは、もうじき開かれる学園祭のワタクシたちのクラスの展示の部屋に入る。
椅子を階段にして、机によじ登ると、金賞の札が貼られているモモカの刺繍にぶすっと裁ちばさみを突き刺す。
ついでにずたずたに切り裂いておく。
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ワタクシはこのように、毎日のようにモモカに幼稚な意地悪を繰り返してきた。
ろくに計画もたてないで、思いつくままやりたい放題をしていたためだろうか?
ワタクシがモモカに意地悪していることは皆に知れ渡っているみたいだ。
近頃、ワタクシの周りではいつもひそひそ声が聞こえる。
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先生に呼び出されるのも珍しくなくなった。
「スターブレス家のご令嬢で、王太子殿下の婚約者でいらっしゃるあなたが、そんなことをしているなんて、私も信じたくありません。
これ以上続くならご両親にお話ししますよ」
今日も校長のミス セーラにそう注意を受けたが、ワタクシは死んでも謝ったり、反省したりなんかしない。
だって彼女は20年前のドレスをいまだに着ていて、しかも白髪交じりのひっつめ髪。
そんな激ダサ女に、ワタクシたるものがあれこれ言われる筋合いがないのだ。
「そんなことよりも、校長先生。
たまにはグレー以外のドレスもお召しになったらいかがでしょう?
お化粧の仕方も20年ぐらい前から変えていらっしゃらないように、お見受けいたしますから、最近のモード雑誌を一冊ぐらいご覧になることをお勧めしますわ。
そんな風だからいつまでもオールドミスでいらっしゃるのではありませんこと?」
口をあんぐりとあけて、眉根をぴくぴくさせているミス セーラを後目に
「では、ワタクシ、午後からお友達とショッピングですので」
と最新流行のキモノローブを翻しながら、校長室を出て行ってしまう。
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その日の放課後はハンスをお供に、街にショッピングに出かけた。
ワタクシが目についたものを片っ端から買っていくので、夕日が落ちるころには、ハンスは両脇の腕の付け根から手首まで、びっしりと紙袋をさげていた。
さらに帽子や靴の箱を両手に積み上げて、まるで曲芸師のようにバランスをとっている。
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ショッピングから帰って、すべての荷物を玄関の絨毯の上に置き終わったハンスをドアから追い出すと、メイドとボーイを呼ぶ。
5人ほどのメイドとボーイに、買ったものをワタクシの部屋に運ぶように命じる。
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コツコツコツ。
ハイヒールの音をさせながら、玄関ホールのらせん階段を上って自分の部屋に戻ろうとしたときだった。
階段の下にある、電話がジリジリジリと鳴った。
メイドが出たあと、お父さまとお母さまに取りつぐ。
「まあ、電話といえばお父さまのお仕事のことがほとんどなのに、お母さまもまでなんて……
誰か親戚が死んだのかしら?」
そう思いつつもあまり気に留めないで階段を上る。
自分の部屋で、先ほどお買い物したドレスやアクセサリーを試着しているときだった。
「ネウェル!! ちょっといらっしゃい!!」
両親のいつもとは違う緊迫感のある呼び声がした。
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