婚約破棄から恋をする

猫丸

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ことの終わりは始まりとなれ!(本編)

閑話 国王夫妻の頭痛・2

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※少し長めです。

【王妃の頭痛】

「頭が痛いわぁ……もぅ」 
 
 本日、只今、わたくしの馬鹿夫と馬鹿臣下がますのよ! 馬鹿臣下が誰と訊きますの? マリオン公爵に決まってますでしょ!!
「あぁ…、後始末が」
 余罪に微罪に冤罪まで、たっぷり言いがかりつけて罰を下すのよ、あの馬鹿どもは! 国王に陳情できない親族やら妻女やら、きっと今夜から連日の嘆願行列になるのよ。それ、誰が対応するかと云えば、わたくしなのよぉぉぉ。
「……わたくし、もう倒れてよいかしら」
 コリンズ侯爵家、ダットン伯爵家、アンジェ子爵家、その直系だけで済むかしら?
『予算ができた!』
 昨夜のはしゃいでいた様子だと厳罰にして領地私財は根こそぎ没収しそう。わたくしの夫は腹黒いのよ。『後から面倒が起きないように。関係者の妻子は扱いが難しいからね』ですって! どうしてわたくしが対処する前提なのかしら? ものすごく爽やかな良い笑顔に絶望しかなくってよ……はぁ。
 そりゃあ国王だから多少は黒くないと駄目よ? でもアレ、真っ黒けだもの。腹立たしいのは表向き、高潔で公明正大に振る舞っていて尻尾を見せないところよね。ロイドはさすがに国王アレマリオン公爵アレの類友だと気がつきつつあるようだけど。そもそもマリオンのと盟友なんだから最悪な生き物なのよ。何で結婚してしまったのかしら……。
 きっとあの二人は、誕生する時に神と悪魔から祝福を強奪してきたに違いない。歩く禍たちにはため息しかでないわよ、もう!
「わたくしが被る迷惑なんて、これっぽっちも罪悪感なんて抱かないのよね、特にあの暴虐理不尽男は!」
「……申しわけございません」
 と紙一枚通るか微妙な隙間を作った指を、思わず一緒にお茶会をしているラナエラちゃんに突きつけちゃたわ。
「ラナエラちゃんは悪くないのよ。わたくしは公爵に怒っていてよ?」
「父が……ご迷惑をおかけ
「かける……のよねぇ」
 どんな結末になるかまでは聴かされていない娘まで「迷惑かける」前提って……ある意味で信用されてるあの男、凄く厭。
 --国庫も潤って夫は笑顔、厄介な臣下もおもちゃが手に入って満足なら、王妃として文句はないけど、コリンズ侯爵家たちが憎らしい。
 --それより、
「婚約破棄公表でしばらく面倒かけるわね。公表しないまま婚儀がずっと延期だと、別な意味で詮索されてラナエラちゃんに迷惑かけるもの」
「--ですが、王妃様。今のロイド様は頑張っていらっしゃいます。立派な王太子にきっとおなり下さいますわ。それなのに疵がついてしまいます……」
「ありがとう。でもね、貴女たちのおかげで大恥さらさずに済んできたから、ここで恥さらして禊ぎするのはロイドには必要なの。結果がどうでも」
「父は存じているのでしょうか? この件でロイド様が父に怨まれるのは厭なのです」
「もちろん許可は貰ってるわよ、それにギリアムにはとっくに怨みかってるわよ、ホホホ。馬鹿は馬鹿なりに頑張るだろうから、気が向いたら敬称つけないで呼んであげて? それだけで泣くわよ」
 きっと泣く。泣いて、頑張るのだろう。それを愉しむ駄目な父親たちがのは間違いない。
「あ~、頭が痛いわ」
 本音はちょっとだけ楽しいのは、秘密。

◇◇

【国王の頭痛】

 断罪の三日前、私は五公爵と打ち合わせ中だ。

「では段取りは説明通りでいく。ところで、これを読んでくれ」
 ギリアムが報告書をテーブルにほうり投げ、
「リストの連中と親族。あとその商人の家財私財根こそぎを算出した。どうせなら手に入れないか?」

 予算がもっと欲しい。
 国庫には金はあるが、やりたいことだけに散財も出来ない。
 頭が痛い。
 諦めたくないが諦めも肝心……と愚痴をこぼす日々だった。

 これだけの予算が臨時で入れば、港の大規模な娯楽施設建造費用を払っても釣りが残る。
 そもそもギリアムが小娘を利用してる馬鹿へ鉄槌を下す準備中に、たまたまロイドから要請があったやつだ。ふむふむ。
 しかし親族まで根こそぎは厳しくないか? 憶測も含まれてる。外聞が悪いのは困る。
「--いいですねぇ」
「同意する」
「このあたりとかを理由にして、連帯責任にすれば……ねぇ」
「国家反逆罪と国家転覆共謀罪なら問題なかろう?」
 よし! ギリアム、でかした!
 皆その気になっているぞ。
 ロイド、実行はしないが父はお前の恋を見守ろう!
「身ぐるみ剥いだ親族らの救済先は、王妃陛下の慈善活動のための領地受け入れが妥当だ」
 ギ~リ~ア~ム!! 妃に激怒されるの私だぞ、あ、頭痛が。
「調査結果に細工していいよね?」
 コルバン、良い笑顔だ。
「法務大臣巻き込んで量刑を最大に計算させておくとしよう」
 カルトナー、酷いな、許す!
「ならば私ももう少し罪状いじる」
 ラモンド、やる気だな。
「久しぶりに皆で遊ぶの楽しいな」
 ジルファス……うん、楽しいな。
「同意に感謝するよ」
 うわぁ。ご満悦だな、ギリアム。死人に口なしだから好きなだけ遊んで構わない。罪人が何処で何をされたとしても、待ってたものな、ずっと。小娘主役のお楽しみの舞台、茶番劇がおわったら、思う存分遊んでくれ。私への贈り物で予算捻出を熟慮してくれたのだから、私には不要な小娘なぞどうでもよい。 

 だだ、配慮してくれよ?
 最近エリオットとコルバンの息子アンリたち年長側近組と悪だくみしてるあいつ、まれに黒い貌してる。元が私と違って精神が白系なのだから、ギリアムの絶好調な残酷絵巻に精神崩壊されると困る。面倒だから。
「何事も王妃がキレない程度にな」

 絶対キレるんだよな……
 頭痛いが、予算は嬉しい。
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