奪われし者の強き刃

ゆうさん

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番外編 師団の日常

番外編(3) 悠の休日 ~遊園地編~

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ショッピングモールに行った翌日、悠は桜と業魔の声に起こされた。

 「ご主人、起きて。今日は遊園地に行くんでしょ。」

 「悠!遊園地行くぞ。」

 「おはよう、2人とも準備するから待ってて。」

悠は顔を洗い、先日買った服を身にまとい基地を出発した。

 「ご主人、遊園地ってここからどのくらいかかるの?」

 「大体電車で1時間半くらいかな。」

 「俺ジェットコースター乗りたい。」

 「姫香はメリーゴーランドがいい。」

 「姫乃はコーヒーカップ。」

そんな話をしながら電車に揺られ遊園地に到着した。

 「よし、着いたな。業たちは迷子にならないように手をつなごうか。」

 「わかった。」

 「姫香も。」

 「姫乃も。」

 「あるじ君完全にお父さんね。」

 「そんなに老けてないでしょ。まず何に乗る?ファストパス買ってあるからすぐに乗れるよ。」

 「悠、俺あれがいい。」

業魔が指をさしたのはこの遊園地の名物である宙づり状態で進むジェットコースターだった。

 「初っ端から飛ばすじゃん。でも、業たち身長大丈夫かな?」

 「結構ギリギリじゃない?」

夜行が業魔の頭に手を置いた。

 「その時は別のに乗りましょうか。」

 「じゃあ行ってみようか。姫香たちも乗る?」

 「面白そうだから乗る。姫乃は?」

 「姫乃も乗る。」

 「わかった行こうか。」

悠たちは名物のジェットコースターに向かった。

 「すみません、一応お子さんの身長図らせてもらっても大丈夫でしょうか?」

 「はい大丈夫ですよ。」

ジェットコースターに乗るために身長を図ると3人ともギリギリ基準を超えていた。

 「はい大丈夫です。それではご搭乗ください。」

悠たちはジェットコースターに乗りこみ、出発した。名物ということだけあって、宙づり状態で急降下、旋回などかなりスリリングな乗り物だった。

 「だいぶスリリングだったな。」

 「パパ~次メリーゴーランド行きたい。」

 「はいはい、みんな行くよ。」

 「はーい。」

その後も遊び続け、あっという間にお昼に時間になった。フードコーナーで昼食をとりつつ、次に行くところを決めていた。

 「次どこに行こうか。乗り物は結構乗ったしな。」

彼岸が1枚にチラシを取り出して

 「旦那様、次ここに行かない?」

 「屋内プール?」

そのチラシは新しくできた屋内プールの広告のチラシだった。

 「うん、今日結構熱いし楽しいと思うよ。ここならみんなで遊べるし。」

 「でも水着なんて持ってきてないし。」

 「こんなこともあろうかと全員分持ってきてるよ。あるじ君。」

夜行が自慢げに持ってきたカバンから水着を取り出した。

 「準備がいいことで、業たちはそれでいい?」

 「うん、プール楽しそうだし。」

 「わかった、食べ終わったら行こうか。」

その後、昼食を食べ終わった悠たちは屋内プールへ向かった。

 「結構人が多いな。じゅあ着替えたら噴水の近くに集合で。」

 「はーい。」

 「業行こうか。姫香たちをお願いね。」

 「任せて。」

悠が更衣室で着替えていると、業魔が

 「なぁ悠。」

 「?どうした。」

 「暑いのに上着着るの?」

 「あぁ、流石に傷を見せるわけにはいかないからな。」

悠の体には今までの戦いで負い、意味だけで痛々しく消えきらなかった傷が体にびっしり残っている。

 「着替えたし行こうか、夜行たちを待たせるわけにはいかないし。」

着替えを済ませ、噴水のほうに向かうとすでに着替え終わっていた夜行たちが待っていた。

 「ごめん、お待たせ。」

 「遅いよ、あるじ君。女の子待たせたらだめだよ。」

 「ごめんね、みんな水着似合ってるね。」

 「でしょ、昨日買ったんだ。」

悠はこの時すごい視線を感じていた。夜行たちは顔もスタイルも良いため視線を集めやすい。特に男性からの嫉妬と羨望の眼差しが悠に降りかかる。

 「じゃあ行こうか。まず普通に泳ごうか。」

みんなで流れるプールに向かった。

 「結構深いな。業たち浮き輪あったほうがいいな。持ってくるよ。」

 「私も行くよ、ご主人。」

浮き輪を取りに行き、その後しばらく泳いだ後、ウォータースライダーに向かっていた。

 「悠トイレ行きたい。」

 「わかった行こうか、桜たち姫香と姫乃見ててトイレに行ってくるよ。」

 「わかった。」

業魔をトイレに連れて行き、戻ると桜たちが複数の男性からナンパに会っていた。

 「またか、見た目いいもんなあいつら。そりゃナンパにも合うか。」

 「なぁ、早く行こうよ悠。」

 「そうだな。」

悠はナンパにあっている桜たちのもとに戻り、声をかけた。

 「ごめん待った?トイレ混んでてさ。」

 「あ?誰だこのガキすっこんでろ。」

そう言ってナンパしていた男性の一人が悠の腹部の蹴りを入れた。
しかし、悠はびくともしなかった。腹を立てた男性の一人が悠が着ていた服を掴みあげた。そのせいで悠の鍛え上げられた腹筋と多数の傷が見えてしまった。

 「あーあ、見えちゃった。お兄さんたち暴力で解決しようとしたらだめだよ。」

 「あと、お兄さん後ろ見たほうがいいよ。」

 「あ?後ろ?」

男性が後ろを見ると、桜たちが鬼のような形相で男性をにらみつけていた。

 「ねぇお兄さん。何私たちの命ともいえる大事な人を蹴ってるのかな?」

 「地獄みたいの?」

桜たちの威圧に負けたのか男たちは逃げていった。

 「お前らナンパ会いすぎだろ。確かに見た目いいけど。」

 「そんなあるじ君照れる。褒めすぎよ。」

 「あと、あんなに切れなくてもいいだろ。」

 「いや、旦那様に危害を加えるなんて万死に値するわ。」

その時の彼岸の目は完全に冷酷な処刑人の目であった。

 「まぁいいや。ほら、ウォータースライダー行くぞ。」

その後、悠たちは満足するまで遊びつくし遊園地を後にした。

 「楽しかったね、ご主人。」

 「あぁ、業たちも疲れて寝たみたいだし、満足してくれただろ。」

 「私は大満足だったよあるじ君。」

 「私もだよ旦那様。」

悠が桜たちを指輪に戻そうとした時

 「今日は最後まで付き合うよ。お土産いっぱいあるし。」

 「ありがとう。」

電車に乗った悠は疲れたのか夜行の肩にもたれかかり寝てしまった。

 「あるじ君寝ちゃったね。」

 「そりゃそうよ。この2日間私たちの行きたいところに連れて行ってくれて、体力無限の子供組の面倒までみてたんだから。」

 「まぁでも、たまにはこういう疲れもいいのかしらね。」

 「そうね、こんな幸せな疲れ方をもっとさせてあげたいわね。」

その後、電車は基地の最寄に着いたが悠たちは起きなかったため、桜たちが悠たちを各自抱えて基地へと帰った。

 「おかえりなさいっ師団長どうしたの?」

 「疲れて寝ちゃったみたい、部屋に運ぶわね。」

 「えぇ、ありがとう。変なことしちゃだめよ。」

 「寝てるときはしないわよ、するなら起きてるときにしかしないわよ。」

 「起きてるときもだめだけど、まあいいわ。お願いね。」

桜たちは悠を寝室へと運び、ベットに寝かせみんなで一緒に寝た。

翌日、悠が目を覚ますと自分の武器全員が一緒に寝ている光景に理解が追い付かなかったが、そのまま寝かせてあげることにしてオペレーター室へと向かった。

 「師団長おはようございます。」

 「おはよう彩音、2日間ありがとな。」

 「いえ、楽しめたようでよかったです。」

 「今日から無理ない程度で頑張るよ。」
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みんなの感想(1件)

谷 亜里砂
2024.04.25 谷 亜里砂

更新がんばってください!また来ます🐬

ゆうさん
2024.04.25 ゆうさん

コメントありがとうございます。
励みになります。

解除
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