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花屋の男
ヒントの花束
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麻美は輝樹からの電話を受け取る。
その内容は龍之介はあの場所で移動販売をしている以外は普通に花屋で働いているということ。そして、龍之介はあの場所でしか移動販売をしていないということ。
「わかったわ。ありがとう輝樹くん。もうそのままオフィスまで戻っていいわ。私も少し寄り道したら戻るから」
麻美は電話を切って腕時計に目をやる。
時計の針はもうすぐ午後4時を刺そうとしていていた。
麻美は車に乗り込みエンジンをかける。
車をある場所まで走らせる。
龍之介の過去を誰も話したがらない。
それは龍之介を守ろうとしてなのか。
それともその事実をなかったことにしたいからか。忘れたいからなのか、、
この真実は直接聞かないとわからない。
麻美は車をスーパー伊藤の駐車場に停める。
駐車場の隅で龍之介が片付けの準備を始めていた。
近づいてくる麻美に気づいて龍之介は手を止める。
「どうも、麻美さん。今日はもうそろそろ終了です」
そう言ってまた片付けを始める。
「龍くん。もうギブアップよ」
片付ける龍之介の背中に麻美は言う。一瞬手が止まったがすぐにまた片付けを続ける。
「あなたは13年前にこの町から引っ越している。でも、誰もその理由を話そうとしない。それは話したくないからなのか、話さない方があなたの為だと思っているのか。
そこに答えがあるのよね。そして、それはあなたの口からも言えない。いや、言いたくない、そうよね?」
龍之介がこちらを振り返る。その顔はとても悲しい顔だった。
「そうです。その通りです。でも、その答えは僕の口からは言えない。申し訳ないですが、言いたくないんです」
またすぐにいつもの優しい顔に戻る。そうやって龍之介は悲しさを心の奥底に押し込んでいる。
「もしかして、あなたは自分の周りの人たちに取材したらその答えを言う人が出てくると思って自分への直接の取材を無しにしたのね」
「その通りです。でも、そんなに甘くなかったですね。そんな人生はうまくいかない」
そう言って龍之介は車から一つの花束を取り出した。
「僕から真実を話すことはできない。ですが、この花束がヒントです。受け取って下さい」
龍之介が麻美に花束を受け渡す。
お金は、という麻美に
「大丈夫です。元々売り物の花束ではないのでお気になさらずに」
とだけ言った。
花束は3種類の花で構成されていた。
ぱっと見ではどれが何の花なのかはわからない。
3種類とも小さい花だった。2種類は同じ種類の色違いだということは見て分かる。
1つは小さい紫色の細長い花びらに真ん中の柱頭部分が黄色になっている。2つは小さい花びらのみの花がいくつも束になって形成されていて薄い紫と白のグラデーションと青と白のグラデーションの花びらだ。
「その花たちがなんの花なのか調べてみてください。それがヒントであり、答えです」
そう言うと龍之介は全ての花を車に詰め込み終えた。
「記事、楽しみにしてます。どんな記事になったとしても僕は構いませんので、納得の行く原稿を作って下さい」
龍之介は車に乗り込み、麻美の前からいなくなった。
麻美の元に残ったのはヒントと言われた花束のみ。この花束で全てがわかるというのだろうか。
その内容は龍之介はあの場所で移動販売をしている以外は普通に花屋で働いているということ。そして、龍之介はあの場所でしか移動販売をしていないということ。
「わかったわ。ありがとう輝樹くん。もうそのままオフィスまで戻っていいわ。私も少し寄り道したら戻るから」
麻美は電話を切って腕時計に目をやる。
時計の針はもうすぐ午後4時を刺そうとしていていた。
麻美は車に乗り込みエンジンをかける。
車をある場所まで走らせる。
龍之介の過去を誰も話したがらない。
それは龍之介を守ろうとしてなのか。
それともその事実をなかったことにしたいからか。忘れたいからなのか、、
この真実は直接聞かないとわからない。
麻美は車をスーパー伊藤の駐車場に停める。
駐車場の隅で龍之介が片付けの準備を始めていた。
近づいてくる麻美に気づいて龍之介は手を止める。
「どうも、麻美さん。今日はもうそろそろ終了です」
そう言ってまた片付けを始める。
「龍くん。もうギブアップよ」
片付ける龍之介の背中に麻美は言う。一瞬手が止まったがすぐにまた片付けを続ける。
「あなたは13年前にこの町から引っ越している。でも、誰もその理由を話そうとしない。それは話したくないからなのか、話さない方があなたの為だと思っているのか。
そこに答えがあるのよね。そして、それはあなたの口からも言えない。いや、言いたくない、そうよね?」
龍之介がこちらを振り返る。その顔はとても悲しい顔だった。
「そうです。その通りです。でも、その答えは僕の口からは言えない。申し訳ないですが、言いたくないんです」
またすぐにいつもの優しい顔に戻る。そうやって龍之介は悲しさを心の奥底に押し込んでいる。
「もしかして、あなたは自分の周りの人たちに取材したらその答えを言う人が出てくると思って自分への直接の取材を無しにしたのね」
「その通りです。でも、そんなに甘くなかったですね。そんな人生はうまくいかない」
そう言って龍之介は車から一つの花束を取り出した。
「僕から真実を話すことはできない。ですが、この花束がヒントです。受け取って下さい」
龍之介が麻美に花束を受け渡す。
お金は、という麻美に
「大丈夫です。元々売り物の花束ではないのでお気になさらずに」
とだけ言った。
花束は3種類の花で構成されていた。
ぱっと見ではどれが何の花なのかはわからない。
3種類とも小さい花だった。2種類は同じ種類の色違いだということは見て分かる。
1つは小さい紫色の細長い花びらに真ん中の柱頭部分が黄色になっている。2つは小さい花びらのみの花がいくつも束になって形成されていて薄い紫と白のグラデーションと青と白のグラデーションの花びらだ。
「その花たちがなんの花なのか調べてみてください。それがヒントであり、答えです」
そう言うと龍之介は全ての花を車に詰め込み終えた。
「記事、楽しみにしてます。どんな記事になったとしても僕は構いませんので、納得の行く原稿を作って下さい」
龍之介は車に乗り込み、麻美の前からいなくなった。
麻美の元に残ったのはヒントと言われた花束のみ。この花束で全てがわかるというのだろうか。
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