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二章
野菜の解析結果
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「ねぇ聞いて聞いて~!」
朝一でハルトさんが家を訪ねてきた。
「……ハルト君、まだ朝の五時前なんだが……」
「え!? まだそんな時間なの!?」
どうやらハルトさんはあれから徹夜で野菜の解析をしていて、時間感覚が狂っていたようだ。面白い解析結果が出たから時計も確認せずに研究所を飛び出してきたらしい。
私もヨタヨタと起きてきたらお父さんに抱き上げられた。今日は子竜の姿になって両親のベッドに潜り込んでいたのだ。
う~ん、まだ眠いです。
目を擦っているとお父さんが私を仰向けにする形に抱き直してくれた。
「リアはまだ寝てていいぞ。ハルト君も一旦寝ていきなさい。話は朝食の時聞くから」
「え」
「そうねぇ。顔が疲れてるから一回寝た方がいいわ」
ハルトさんはお母さんに問答無用で背中を押され、客室に連れていかれた。
「きゅぁ~」
あくびが出ると、お父さんに頭を撫でられた。
「もう一回ねんねしような」
「きゅ~」
***
朝起きて人間の姿に変化し、階段を下りてリビングに向かう。そこにはお父さんとお母さんの姿しかなかった。
「あれ? ハルトさんもう帰っちゃいましたか?」
起きるの遅かったかな。
「まだ寝てるわよ」
「そうなんですか」
「ええ、ぐっすり寝てるからそのまま寝かせておいてあげましょう」
「はい」
ハルトさんも疲れてたんでしょうね。
私達は一足先に朝食を摂ることにした。
レタスとトマトが挟まれたサンドイッチを一口食べる。
「! おいしいです!」
「ほんとだな」
「うふふ、ありがとう」
お母さんの作ってくれた朝食に舌鼓を打っていると、二階からドタドタと足音が聞こえてきた。そして足音が階段を下ってくる。
「完全に寝過ごした!!」
「あら、おはよう」
「おはよう!」
早く話したくてしょうがないという様子のハルトさんをお母さんが椅子に座らせる。
「とりあえす席に着きましょう。ごはんを食べながら話を聞かせてくださいな」
「うん」
素直に席に着いて、別に取り分けられたサンドイッチを食べるハルトさん。
「おいしい! これもしかして昨日作った野菜を使ってる?」
「そうよ」
目を輝かせるハルトさんの質問にお母さんが答える。
「やっぱり、その辺に売ってるような普通の種を使ってるのに味が全然違うね……」
「そうだ、そういえばハルトさんは野菜の解析結果を伝えに来てくれたんですよね」
「そう!」
寝起きの筈なのにハルトさんのテンションが最高潮だ。ある意味すごいです。
「姫様達の魔術で作った野菜は栄養価も味も市販のものとは段違いだったんだよ! あの後、僕達も魔術で種から野菜を作ってみたけど市販のもの以下の出来にしかならなかった」
「おお」
「反応が薄いな~姫様。つまりは種の持つポテンシャルを魔術で最大限に引き出したってことなんだよ。大体の工程が魔術を使ってたからどの工程が一番影響があったのかはまだ分からないけど、絶対に姫様達の魔術の効果だよ!」
それってすごいことなんでしょうか。いまいちよく分からないですけど、ハルトさんが嬉しそうでよかったです。
「つまり、いつでもおいしいお野菜が食べられるってことですね」
「……まあそれは間違ってないけど……。まだ一晩しか経ってないからできた実験にも限りがあるんだ。もしかしたらもっと別の効果もあるかもしれないよ!」
「別の効果?」
「うん。なんせ竜が魔術で野菜を作ったなんて話聞いたことないからね。もしかしたら美肌効果とかもあるかもよ?」
美肌効果!
「ははは、姫様も女の子だね」
「うぅ……」
あからさまにテンションの上がった私をハルトさんが笑う。
私だってちゃんと乙女なので、美肌って言葉には弱いんです……。
朝一でハルトさんが家を訪ねてきた。
「……ハルト君、まだ朝の五時前なんだが……」
「え!? まだそんな時間なの!?」
どうやらハルトさんはあれから徹夜で野菜の解析をしていて、時間感覚が狂っていたようだ。面白い解析結果が出たから時計も確認せずに研究所を飛び出してきたらしい。
私もヨタヨタと起きてきたらお父さんに抱き上げられた。今日は子竜の姿になって両親のベッドに潜り込んでいたのだ。
う~ん、まだ眠いです。
目を擦っているとお父さんが私を仰向けにする形に抱き直してくれた。
「リアはまだ寝てていいぞ。ハルト君も一旦寝ていきなさい。話は朝食の時聞くから」
「え」
「そうねぇ。顔が疲れてるから一回寝た方がいいわ」
ハルトさんはお母さんに問答無用で背中を押され、客室に連れていかれた。
「きゅぁ~」
あくびが出ると、お父さんに頭を撫でられた。
「もう一回ねんねしような」
「きゅ~」
***
朝起きて人間の姿に変化し、階段を下りてリビングに向かう。そこにはお父さんとお母さんの姿しかなかった。
「あれ? ハルトさんもう帰っちゃいましたか?」
起きるの遅かったかな。
「まだ寝てるわよ」
「そうなんですか」
「ええ、ぐっすり寝てるからそのまま寝かせておいてあげましょう」
「はい」
ハルトさんも疲れてたんでしょうね。
私達は一足先に朝食を摂ることにした。
レタスとトマトが挟まれたサンドイッチを一口食べる。
「! おいしいです!」
「ほんとだな」
「うふふ、ありがとう」
お母さんの作ってくれた朝食に舌鼓を打っていると、二階からドタドタと足音が聞こえてきた。そして足音が階段を下ってくる。
「完全に寝過ごした!!」
「あら、おはよう」
「おはよう!」
早く話したくてしょうがないという様子のハルトさんをお母さんが椅子に座らせる。
「とりあえす席に着きましょう。ごはんを食べながら話を聞かせてくださいな」
「うん」
素直に席に着いて、別に取り分けられたサンドイッチを食べるハルトさん。
「おいしい! これもしかして昨日作った野菜を使ってる?」
「そうよ」
目を輝かせるハルトさんの質問にお母さんが答える。
「やっぱり、その辺に売ってるような普通の種を使ってるのに味が全然違うね……」
「そうだ、そういえばハルトさんは野菜の解析結果を伝えに来てくれたんですよね」
「そう!」
寝起きの筈なのにハルトさんのテンションが最高潮だ。ある意味すごいです。
「姫様達の魔術で作った野菜は栄養価も味も市販のものとは段違いだったんだよ! あの後、僕達も魔術で種から野菜を作ってみたけど市販のもの以下の出来にしかならなかった」
「おお」
「反応が薄いな~姫様。つまりは種の持つポテンシャルを魔術で最大限に引き出したってことなんだよ。大体の工程が魔術を使ってたからどの工程が一番影響があったのかはまだ分からないけど、絶対に姫様達の魔術の効果だよ!」
それってすごいことなんでしょうか。いまいちよく分からないですけど、ハルトさんが嬉しそうでよかったです。
「つまり、いつでもおいしいお野菜が食べられるってことですね」
「……まあそれは間違ってないけど……。まだ一晩しか経ってないからできた実験にも限りがあるんだ。もしかしたらもっと別の効果もあるかもしれないよ!」
「別の効果?」
「うん。なんせ竜が魔術で野菜を作ったなんて話聞いたことないからね。もしかしたら美肌効果とかもあるかもよ?」
美肌効果!
「ははは、姫様も女の子だね」
「うぅ……」
あからさまにテンションの上がった私をハルトさんが笑う。
私だってちゃんと乙女なので、美肌って言葉には弱いんです……。
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