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ネクタイ専門店。
なかなか珍しいかもしれない。
でもスーツ専門店があるんだからネクタイ専門店が在ってもいいと思う。
実際にあるんだし。
俺は勤め始めて今年で4年になる。
ネクタイ専門店で働こうと思ったのは、単純にネクタイが好きだからだ。
柄も色も種類が豊富で、人によって印象も変わる。
スーツを着る上で大事なパーツだと俺は思っている。
ネクタイ無しでも着れるスーツもあるから何とも言えないが…
その人に合ったネクタイを選ぶ。
そして気に良いってくれたら凄く嬉しい。
やり甲斐がある仕事だと思う。
後三日で父に日だからだろうか。
財布を握り締めて買いに来る子供が多い。
俺に写真を見せて一生懸命に選んでいる姿は可愛い。
子供のお客様には声を出来るだけ柔らかくなるように心掛けて会話をする。
「これとこれは似合うと思いますが、お父さんは好きそうな色ですか?」
「うーん…この色見た事ない」
「そうですか。無い色なら一本あってもいいと思いますけど、こっちの紺色も似合うと思いますよ?」
「うーーーん…」
最終的に決めるのはお客さまだ。
俺は何本か選ぶまでが仕事だと思ってる。
この子のお父さんはカッコイイから何でも似合いそうなんだけどね。
でもこの子が納得して選んで買わないと意味がない。
こんなに必死になって考えてるんだ。
プレゼントされるだけでも嬉しいだろうな。
「…決めた!こっちにする!」
「分かりました。じゃあプレゼント用に梱包させていただきますね」
「うん!お願いします」
「待ってる間にメッセージカード書きますか?」
「メッセージカード…書こうかな」
「ではこちらの席にお座りください。すぐに用意いたします」
椅子に座ったのを確認してすぐに林檎ジュースとクッキーを2枚、メッセージカードとボールペンを用意した。
カードは3枚用意した。失敗しても大丈夫なようにだ。
「では梱包してきますね。少々お待ちください」
作業台に向かいネクタイを丁寧に梱包していく。
皺にならないように見た目がちゃんと良く見えるように。
喜んでくれますように願いを込めて。
「お待たせいたしました。こちらで大丈夫ですか?」
梱包したネクタイを子供に見せて確認してもらう。
「うん!」
「メッセージカードはここに挟めるようになってます。手渡しでも良いと思いますよ」
「わかった」
「ではお会計、500円になります」
「はい!」
財布から500円を取り出して手渡しで渡してくれた。
「丁度ですね。ありがとうございます」
領収書を渡して、タイミングを見ながら品物を渡す。
出入り口に行き扉を開ける。
「ありがとうございました」
「有難うございました」
笑顔で去っていくお客さまを見送って扉を閉める。
店内に戻ると後片付けだ。
ネクタイを直して、食器類を片付ける。
お金をレジに閉まって、在庫入力と確認。
時刻はもうすぐ3時になろうとしている。
完全にお昼食べ損ねたな…
まぁ、鞄に朝買ったおにぎりがあるからそれを食べようか。
バックヤードに行って鞄からおにぎりを取り出し急いで食べる。
プレゼントで買うお客様には時間をかけて選んでいる。
本人じゃないからなかなか難しい。
好みの色やメーカーなんかがあるはずだから。
さっきの子みたいに写真があればまだ選びやすいんだけど。
閉店時間の7時まで頑張りますか。
ネクタイピンとのコーデを考えるのも楽しいし。
最近は暖色系の組み合わせにハマってる。
派手になりすぎないように、でも邪魔にならないよう存在感は出るように。
難しいが楽しい。
カランカラン
ベルが鳴って来店の合図があった。
バックヤードから店内に戻って接客を始める。
「いらっしゃいませ」
今度のお客さまは青年だった。
黒髪のキリッとした顔立ち、スラっとしたスタイル。
ブランド物のスーツがよく似合っている。
いかにも出来るエリートな感じだ。
「すいません、2本ほど買いたいのですが」
「かしこまりました。ご自由に見られますか?」
「あー、そうですね。少し見させてもらいます」
「何かあればお声がけください」
一礼をしてカンターに戻る。
脳内ではお客さまに合いそうなネクタイを何本かピックアップする。
この人なら何色でも似合いそうだな…
赤でも全然大丈夫そうだし、紫でも大丈夫そう。
茶色は…少し違うか。
年齢も若いしやっぱり明るい色をお勧めしたいかな。
あ、あれは似合いそう。
紺をベースに黄色のラインが一本入ってるやつ。
大体のお客さまは一色のネクタイを選ぶから、ラインが入ってるのとかはなかなか選ばない。
似合うと選んでも断られる事がほとんどだ。
でもこのお客さまは一色よりラインが入ってる品とか、柄物なんかも似合いそう。
選んでくれるかはわからないけど一応在庫から取り出しておく。
チラッと様子を伺うと真剣に選んでいた。
もしそのまま気に入ったのを見つけたらそれで良いし、聞いてくれたらこんなのもありますよって提示をしてみよう。
紺と黄色のネクタイは絶対におすすめしよう。
後は光の反射で浮かび上がる柄物のネクタイを一本。
一色のネクタイも一本用意した。
「すいません、意見を伺いたくて。良いですか?」
「はい。伺います」
「一本は今度友達の結婚式に使いたくて、もう一本は普段使いにしたくて」
「かしこまりました。スーツにもよりますが、こちらの一本はどうでしょう?」
結婚式用には一色のネクタイをおすすめした。
シンプルで使い勝手も良いと思うし、勿論普段使いにもできる。
「普段使いの方には、こちらの一本はいかがでしょう?爽やかな感じでお客様にお似合いかと思います」
紺と黄色のネクタイを普段使いにおすすめした。
後はお客様が決めることだ。
違うのがいいならまた選べが良いんだ。
真剣におすすめしたネクタイを見て考えてくれてる。
それだけで嬉しい。
なかなか珍しいかもしれない。
でもスーツ専門店があるんだからネクタイ専門店が在ってもいいと思う。
実際にあるんだし。
俺は勤め始めて今年で4年になる。
ネクタイ専門店で働こうと思ったのは、単純にネクタイが好きだからだ。
柄も色も種類が豊富で、人によって印象も変わる。
スーツを着る上で大事なパーツだと俺は思っている。
ネクタイ無しでも着れるスーツもあるから何とも言えないが…
その人に合ったネクタイを選ぶ。
そして気に良いってくれたら凄く嬉しい。
やり甲斐がある仕事だと思う。
後三日で父に日だからだろうか。
財布を握り締めて買いに来る子供が多い。
俺に写真を見せて一生懸命に選んでいる姿は可愛い。
子供のお客様には声を出来るだけ柔らかくなるように心掛けて会話をする。
「これとこれは似合うと思いますが、お父さんは好きそうな色ですか?」
「うーん…この色見た事ない」
「そうですか。無い色なら一本あってもいいと思いますけど、こっちの紺色も似合うと思いますよ?」
「うーーーん…」
最終的に決めるのはお客さまだ。
俺は何本か選ぶまでが仕事だと思ってる。
この子のお父さんはカッコイイから何でも似合いそうなんだけどね。
でもこの子が納得して選んで買わないと意味がない。
こんなに必死になって考えてるんだ。
プレゼントされるだけでも嬉しいだろうな。
「…決めた!こっちにする!」
「分かりました。じゃあプレゼント用に梱包させていただきますね」
「うん!お願いします」
「待ってる間にメッセージカード書きますか?」
「メッセージカード…書こうかな」
「ではこちらの席にお座りください。すぐに用意いたします」
椅子に座ったのを確認してすぐに林檎ジュースとクッキーを2枚、メッセージカードとボールペンを用意した。
カードは3枚用意した。失敗しても大丈夫なようにだ。
「では梱包してきますね。少々お待ちください」
作業台に向かいネクタイを丁寧に梱包していく。
皺にならないように見た目がちゃんと良く見えるように。
喜んでくれますように願いを込めて。
「お待たせいたしました。こちらで大丈夫ですか?」
梱包したネクタイを子供に見せて確認してもらう。
「うん!」
「メッセージカードはここに挟めるようになってます。手渡しでも良いと思いますよ」
「わかった」
「ではお会計、500円になります」
「はい!」
財布から500円を取り出して手渡しで渡してくれた。
「丁度ですね。ありがとうございます」
領収書を渡して、タイミングを見ながら品物を渡す。
出入り口に行き扉を開ける。
「ありがとうございました」
「有難うございました」
笑顔で去っていくお客さまを見送って扉を閉める。
店内に戻ると後片付けだ。
ネクタイを直して、食器類を片付ける。
お金をレジに閉まって、在庫入力と確認。
時刻はもうすぐ3時になろうとしている。
完全にお昼食べ損ねたな…
まぁ、鞄に朝買ったおにぎりがあるからそれを食べようか。
バックヤードに行って鞄からおにぎりを取り出し急いで食べる。
プレゼントで買うお客様には時間をかけて選んでいる。
本人じゃないからなかなか難しい。
好みの色やメーカーなんかがあるはずだから。
さっきの子みたいに写真があればまだ選びやすいんだけど。
閉店時間の7時まで頑張りますか。
ネクタイピンとのコーデを考えるのも楽しいし。
最近は暖色系の組み合わせにハマってる。
派手になりすぎないように、でも邪魔にならないよう存在感は出るように。
難しいが楽しい。
カランカラン
ベルが鳴って来店の合図があった。
バックヤードから店内に戻って接客を始める。
「いらっしゃいませ」
今度のお客さまは青年だった。
黒髪のキリッとした顔立ち、スラっとしたスタイル。
ブランド物のスーツがよく似合っている。
いかにも出来るエリートな感じだ。
「すいません、2本ほど買いたいのですが」
「かしこまりました。ご自由に見られますか?」
「あー、そうですね。少し見させてもらいます」
「何かあればお声がけください」
一礼をしてカンターに戻る。
脳内ではお客さまに合いそうなネクタイを何本かピックアップする。
この人なら何色でも似合いそうだな…
赤でも全然大丈夫そうだし、紫でも大丈夫そう。
茶色は…少し違うか。
年齢も若いしやっぱり明るい色をお勧めしたいかな。
あ、あれは似合いそう。
紺をベースに黄色のラインが一本入ってるやつ。
大体のお客さまは一色のネクタイを選ぶから、ラインが入ってるのとかはなかなか選ばない。
似合うと選んでも断られる事がほとんどだ。
でもこのお客さまは一色よりラインが入ってる品とか、柄物なんかも似合いそう。
選んでくれるかはわからないけど一応在庫から取り出しておく。
チラッと様子を伺うと真剣に選んでいた。
もしそのまま気に入ったのを見つけたらそれで良いし、聞いてくれたらこんなのもありますよって提示をしてみよう。
紺と黄色のネクタイは絶対におすすめしよう。
後は光の反射で浮かび上がる柄物のネクタイを一本。
一色のネクタイも一本用意した。
「すいません、意見を伺いたくて。良いですか?」
「はい。伺います」
「一本は今度友達の結婚式に使いたくて、もう一本は普段使いにしたくて」
「かしこまりました。スーツにもよりますが、こちらの一本はどうでしょう?」
結婚式用には一色のネクタイをおすすめした。
シンプルで使い勝手も良いと思うし、勿論普段使いにもできる。
「普段使いの方には、こちらの一本はいかがでしょう?爽やかな感じでお客様にお似合いかと思います」
紺と黄色のネクタイを普段使いにおすすめした。
後はお客様が決めることだ。
違うのがいいならまた選べが良いんだ。
真剣におすすめしたネクタイを見て考えてくれてる。
それだけで嬉しい。
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