その無防備が誘ってるみたいで。でも僕らはギリギリでまだ友達。

zanka

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【休憩中の親切】

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 結局、拓真は海翔のお手伝い、もしくはたまに思い物を運ぶ程度の手伝いだった。
 休憩し終えたアサミも加わり、海翔と二人で鉄板の上で次々作り、売っていく。
「わあ、凄い! 今日が一番売れてるじゃん。海翔君、やるね!」
「もう、どんどん売れるから楽しくて」   
 客足がやっと途絶え、アサミと海翔が談笑していた。
「海翔君もお昼食べなきゃ、ね。二人、休憩しなよ」
「あ、そういえば」
 拓真は運んできた氷をバケツに入れたところだった。
「拓真、休憩しよ」
 ビニール袋に食べ物を詰め込んだ海翔が迎えにくる。
「うん」
 あ、日焼けしてる、と拓真は思う。
 海翔の白い肌が赤くなっていた。
「ひやけどめ、塗った?」
「あ、忘れた」
「だめじゃん。はれるよ。俺持ってるから、貸すわ」

 屋根があり床にござをひいた場所をアサミが借りてくれていた。
 一応扇風機とテーブルもある。
 それも知り合いの所だから、格安だとアサミは言った。
「ああ、天国みたい。座りたーい! でもちょっと待って」
 海翔はタンクトップを脱ぐと近くと水道に行き、洗い出した。
「汗びっしょりだから、洗って乾かす」
 少し離れたところから海翔が言う。
 背中は白いのに腕が赤い。タンクトップから出ていたところを日焼けしたようだった。
 焼きそばとお好み焼きと缶のコーラをポテトとフランクフルトを並べ、近くのフェンスにひっかけられた黄色いタンクトップを見ながらの食事になった。
「アサミさん、かき氷しようかって言ってたよ。僕らがいる間だけでも。ちょっと安めで」 海翔はむしろ学校に居るときよりも生き生きしてみえる。
 大きな目を輝かせながら、客との会話、どんなものが売れたか、アサミの話をする。
 そこに拓真の話は全く出てこない。
「海翔もしかして、俺が居たの忘れてた?」
 軽く笑って拓真が言うと、海翔はにっこり笑って、
「覚えてるよ、勿論。後ろで何かしてたね」
 と言ったが、ちょっと気を遣った様子だった。
「焼けてんじゃん・・・日焼け止め塗っとくな」
「え、拓真、食べてからでいいよ」
「もう食べた」
 海翔がテーブルを見ると、もう拓真は焼きそばもお好み焼きも食べていた。
「体大きいと、食べるの早いね」
 海翔はまだ焼きそばを少しずつ食べている。
「あ、お願い。なんかひりひりしてきたし」
 日焼け止めを手のひらに落とし、拓真は海翔の背中に塗ろうとするところで手を止める。 じりじりと暑い中、扇風機の風が当たるときだけ涼しい。
 髪をひとつに結んだ海翔の、細いくびすじが見えている。
 触りたい、と思った。
 親切装ってこういう下心持つって良くないよな、と思ったが、拓真は海翔の背中に日焼け止めを塗り始める。
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