大人女子の恋愛方程式♡

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片桐由美

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仕事が終わるのは15時。

裏に行きエプロンを外してバッグに入れていると、
「由美ちゃんー・・・ちょっと良いかねー?」
と、お店の方から女将さんの声が聞こえた。

私は髪の毛を直しながら店の方に歩いて行き、
「はーい・・・・」

お店は夜の19時半までやっているが、私は明のお迎えがあるので15時に上がる。
夜はお酒を飲みに来る人も多いし、ご飯を食べにくる近所の人も多い。

女将さんはカウンターに置かれてる大きな箱を私に渡してきて、
「今日お母さん誕生日でしょー??私からの誕生日プレゼント!明ちゃんにもまた遊びにおいでって言っておいて?」
そう言って笑った。

「わー・・・すっごい・・・大きなケーキ!!いいんですかー?明も母も凄い喜ぶ!」
それは大きなホールケーキ・・・。
「今日外食するって言ってたからー・・・迷惑になっちゃったかしら?ごめんねー?」
女将さんがそう言うとご主人も出てきて、
「だから確認してから用意しろって言っただろー???」
と・・・笑った。

2人はお子さんはおらず、こんな感じでいつも・・・なんだかんだ言って仲良しだ。

「いえいえ、迷惑なんて!明・・・スッゴイ喜ぶ!ありがとうございますー!!」
私はケーキを抱え笑って言った。


都会ではなかった・・・こういうアットホームな感じ。
こうやって、近所の人が気遣ってくれて・・・大きな家族みたいなそんな感じ。

私はケーキを持って2人に見送られながら店を出た。
すると、駐車場の一番道路側に見覚えのある軽トラック。

あれ??あのトラックって・・・・。

じーっと見ながら自分の軽自動車の扉を開けケーキを助手席に乗せると、軽トラックの運転席の扉が開いて・・・・

「あ・・・・・・」
私は思わず声を出した。

運転席から降りてきたのは、豚丼の真也君だった。
真也君は小さな紙袋を持って私の方に歩いてきて、
「今日、お母様の誕生日だって女将さんにチラッと聞いて・・・・」

えっ?!
女将さんーー!!////////真也君にも言ったの??
「えー・・・やだぁ、母の誕生日が皆に知れ渡ってるー・・」
少し笑うと真也君は持ってた紙袋を差し出してきて、
「多分ケーキとかは食べるかなって思って、焼き菓子なんだけど・・・」

ぇえっ・・・・。
「やだー・・・そんな気を遣わないで??わー・・でもここのお菓子屋さん、行った事ないんだー・・あそこいつも混んでるよね?」
それは街のはずれにあるケーキ屋さんの紙袋。
中には焼き菓子の綺麗な箱と、クッキーの小さな箱が何個か入っていた。
真也君は
「明ちゃんにまた遊びにおいでって言っておいてください・・・俺、結構明ちゃんと話すの好きで!」

明は・・・最近真也君の事が大好き。
幼稚園の帰りによく寄ったりもしている・・・・。
「いつもすいません・・・うさぎちゃんとかと遊ぶの嬉しいみたいで・・・真也君の事も大好きだし」
「いえいえ、俺等も明ちゃんやお友達が来てくれると癒されますしね・・いつでも来てください・・・じゃ・・・あまり引き止めたら明ちゃんに怒られそうなので・・・・」
真也君はそう言って頭を下げて軽トラックの方に歩いて行った。




達也君。
達也君は・・・・元気にしているかな。

真也君の後姿を見つめながら、私は達也君の顔を思い出していた。
あの後、結局・・・明の事もちゃんと伝える事は出来なかったね。
きっと・・・困惑したんじゃないかな?

でも、貴方はまだ若いし・・・とても素敵な人だから、私なんかじゃなくてもっと素敵な女性がいると思う。





—真也side



車に戻ってミラーを見ると、由美さんがまだこっちを見ていた。

俺は窓を開けてだけ振って牧場に戻った。


昼間、俺が豚丼を食ってたら・・・店の女将さんが来て
「今日由美ちゃんのママの誕生日なのよー・・・私の幼馴染なんだけどね??」
って話をしてきた。

女将さんは凄く楽しそうに昔の話をしながら笑ってた。

こうやって、昔を思い出して楽しく笑えるって・・・多分凄く幸せなんだろうなって思った。
俺は昔を思い出して笑えることはあまりない・・・。

あー・・でも、中学位までは楽しかったかな?
でもなっちゃんとの事も・・・今思えばいい経験だったのかもな。

あ、話しは戻って・・・由美さんのお母さんには会った事はないけどー・・・明ちゃんはよく会うんだ。
すっごく元気で可愛い子。

明ちゃんもお菓子好きだしって思い・・・さっき、仕事の買い出しの時に直樹と直之と買いに行ったんだ。

まぁ・・・由美さんの顔、また見たいなって素直に思ったのもあるんだけどね。



由美さんとどうにかなりたいとか・・・そういう事は思っていない。
ただ・・・たまにこうやって少し話すだけで、俺は・・・満たされる。




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