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娘
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しおりを挟む達也君に何度か手を触られたけど・・・・、私は震えなかった。
温かくて大きな手が・・・懐かしく感じた。
その日は、達也君と2時間位コーヒーを飲みながらそのカフェで過ごし、帰った。
「ママァー・・・今日何処行ってたの?帰り遅かったー・・・・・」
家に帰ると明が口を尖らせて私に抱き付いてきた。
「ごめんねー・・・ちょっとお友達に会ってきたのー・・・あ、明にお土産あるんだよ」
お店を出る時、達也君がお店のケーキを沢山買ってくれたの。
ケーキの箱を明に見せると、
「わー・・・ケーキ?何ケーキー・・・?」
と、興味津々。
するとお母さんが奥から出てきて、
「あらあら、もっと遅いかと思った・・・ご飯ね、明ちゃんがオムライスが良いって言うから今チキンライス作ってるのー・・・」
そう言った。
「お母さん・・・明・・・ちょっと話して・・・いい?」
さっきね、久しぶりにあの事以外の話を達也君といっぱいしたの。
この前、凛に電話をした時の話や・・・今、凛が淳君と一緒に暮らす家を沖縄の北谷の海が見える素敵な場所に建設中・・・とか。
結城ちゃんのお子さんがもうヨチヨチ歩いてて物凄く可愛いとか・・・。
飯田さんの事務所に所属しているHADUKIが淳君の弟の湊君と結婚し、沖縄に帰ってきたとか・・・。
沢山・・・話を聞いた。
お母さんは何かを察して、明の頭をポンッと撫でると
「さーーて、ケーキは冷蔵庫に入れようかー・・・ごはんの前にママとお話ししようねー・・・」
そう言って笑ったの。
私ね、あの事件から1年以上が経って・・・・色々考えたの。
正直達也君がここまで来るなんて思っていなかったし、私の心の中で自然と消化していけばいいって・・・そう思ってた。
でも達也君は突然現れ、また・・・私の胸の中にしっかりとその存在を焼き付けてきた。
あの事を話さなくても、よく逢っていた時の話や、沖縄の達也君のお友達の話。
凛と淳君の話・・・。
凄く楽しくて、久々・・・笑ったの。
リビングに行き、明とお母さんが座った正面に腰かけ・・・ケーキの箱を置いた。
そして、
「この前・・・明の膝に可愛いハンカチを巻いてくれたお兄さん覚えてる?」
私が明にそう言うと、明は私の顔をジッと見つめ
「覚えてるよ!凄く優しいお兄さん!」
そうだね。
凄く・・・優しい人だよね。
お母さんの顔を見るとお母さんはニッコリ笑って頷いた。
私は、深く考え過ぎなのかな?
まだ、別に・・・達也君と・・・そういう感じに戻ったわけではない。
だから話さないほうが良い?
いや、私は・・・そうなる前にちゃんと話したい。
「あの人は、新垣達也君って言うの・・・ママが・・・東京に居る時から仲良くしていた人なの」
そう言うと明は笑って、
「たっちゃん??」
た・・・っちゃんか・・・・。
「そう、たっちゃん・・・凄く優しくてね、良い人なのよ・・・。」
そう言うと、明はまた少し笑って
「ママの携帯にたっちゃんいっぱいいたよね?明、見たよ!」
・・・・・・・・/////////////
懐かしいな。
前に・・・達也君がいつかは沖縄に戻っちゃうってそう思って、写真を何枚か撮ったの。
「そう・・・ママね、隠し撮りしたのーー!!」
そう言って笑うと明もケタケタ笑って
「えーーーー!!!隠し撮りーー???」
って・・・・。
お母さんも笑って、
「え・・・そのさ、たっちゃんはさー?今日はもう帰っちゃったの?」
って・・・・。
「うん、今日は帰ったよ・・・でもね、明と・・・お母さんに逢いたいってそう言ってたの・・・。」
そう言うと明はお母さんと顔を見合わせて・・・ニヤリと笑い、
「明も会いたい~!!!!!!」
私・・・また・・・、
恋愛できるのかな?
明に達也君の話をして、少しでも嫌な顔をされたら止めようって思った。
でも明はやっぱり私の子。
達也君をあの日で気に入ったらしい・・・・・。
お母さんもね。
自分の中では、あの事件が心の中から消えない以上は・・・もう恋愛なんてできないってそう思っていたんだけど、もしかしたら・・・それはただの言い訳で、あの事件を超える気持ちになった時・・・。
また恋愛が出来るのかもしれないって。
「ね、ママー・・・次いつたっちゃん来る?ケーキご馳走様とね、ハンカチのお礼あげるの!」
って・・・・明が私の方まで歩いてきて言ったの。
明????
明は笑って私の手を掴み、
「ママー・・・・たっちゃんにいつ会えるか聞いておいてね?」
って言うの。
明は私の心の底に閉まっていた事、本当の気持ちは何も知らない筈なんだけどね・・・・明の優しさが今凄く伝わってきた。
明は私を揺さぶるようにして、
「明がー・・・・会いたいって言ってるって言ってねー・・・・ママー・・・」
って、・・・笑って私の顔を覗き込むの・・・・。
明・・・・ありがとう・・・・・。
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