33 / 133
近いけど遠い
1
しおりを挟む
8月中旬
富良野の8月は・・・・1年のうちで一番人が増える時期。
—由美side
8月のこの時期、内地に働きに出ていた人、大学生等も戻ってくるし・・・観光客がまた一層増えるこの時期。
「暴力事件?」
私は定食屋に置いてあった回覧板を手に取って言った。
女将さんが手を拭きながら厨房から出てきて、
「そうそう、なんか最近ー・・・ここらで多発してて、犯人がまだ捕まっていないんだって」
そう言った。
回覧板には、『不要な夜の外出は避け、なるべく1人では行動しない事』と、書かれていた。
今朝、うちのポストにもこんなビラが入ってたっけ・・・・。
「これって・・被害者の人って・・・」
私が女将さんにそう言うと、女将さんは
「皆観光客の子みたいよ?バイクで来てた女子大生がー・・・短期バイト先のホテルに出勤してこなくて探してみたら寮のアパートで怪我して泣いてたって・・・若い男2人に乱暴されたってー・・・怖いよねぇ・・・」
胸が痛かった。
若い男2人と聞き・・・あの時の記憶が少し蘇る。
「でー・・・2日前にも観光客の2人組の20歳の女の子!街中で飲んで帰る時に声を掛けられてー・・車内で乱暴されて上富良野で車から降ろされて近くの店に助けを求めたって・・・」
観光で来て、そんな事に・・・。
可哀想・・・・。
酷い・・・北海道にもそんな酷い事をする人が居るの??
「でもー・・・そんな事件ここらじゃ珍しいよ?・・・だからー・・・内地から来た・・・観光客か・・・リゾートバイトとかで来てる若者かねぇ?」
ご主人も厨房からそう言ってため息をついた。
「由美ちゃんも帰り道とか気を付けな。明ちゃんやお母さんにもちゃんと言っておいて。」
私は車だし、知らない人とは店以外では喋る事はないし・・・。
でも、気を引き締めなきゃ・・・・。
達也君とカフェで話したあの日から、達也君は毎日連絡をくれ・・・店にも食べに来るし、私が上がる時間にまた来て、私の車の後を走ってくれて私が家に入るのを見届けてから・・・帰る。
仕事が無い日は、明がお友達と約束している時に富良野や美瑛のカフェでお茶をしたり、旭川の方まで行ってみたりと・・・少しずつ2人の時間を増やしていった。
店がオープンして直ぐに、
「いらっしゃーい!!!」
女将さんの元気な声と共に顔を上げると・・・達也君が笑って店に入ってきた。
私はメニューを持って達也君がいつも座る席の方に歩いて行き、
「いらっしゃい!今日は早いね?」
そう言うと、達也君は笑って
「んー・・・この後さー・・上富良野のホームセンターに行こうかなって思ってる!由美何か買うものある?」
達也君って・・・・もの凄くマメ。
今泊っているホテルはあと1週間だけで、その後は・・・・うちから車で5分ほどの場所にある空き家を市から買い取ったらしい。
で、そこを自分の手で少しずつ直しているとか・・・・。
「んー・・・・あ、上富良野のー・・・チーズ工房のピザ用チーズ買って来てほしいかもー・・・大袋のやつ!」
そう言うと達也君は笑って
「はいはーい!あと何かあったらラインして??」
そう言ってメニューを見出した。
まだ・・・明やお母さんにはちゃんと紹介していなくって・・・明には毎日、『いつたっちゃん来るのー?』って・・・急かされてる。
達也君はメニューを見ながら、
「ハンバーグ定食にしようかなー・・・・」
そう言って私にメニューを渡してきた。
最近真也君は・・・ラベンダー畑に行っているようで・・・この店には殆ど来ない。
牧場に真也君が居ないから、テンションダダ下がりな明のご機嫌を取れるのは・・・・私でも母でもない。
達也君だ。
明は達也君に逢えるのを楽しみにしていて、この前のケーキのお礼とハンカチのお礼だって言って達也君に沢山の絵を書いている。
富良野の8月は・・・・1年のうちで一番人が増える時期。
—由美side
8月のこの時期、内地に働きに出ていた人、大学生等も戻ってくるし・・・観光客がまた一層増えるこの時期。
「暴力事件?」
私は定食屋に置いてあった回覧板を手に取って言った。
女将さんが手を拭きながら厨房から出てきて、
「そうそう、なんか最近ー・・・ここらで多発してて、犯人がまだ捕まっていないんだって」
そう言った。
回覧板には、『不要な夜の外出は避け、なるべく1人では行動しない事』と、書かれていた。
今朝、うちのポストにもこんなビラが入ってたっけ・・・・。
「これって・・被害者の人って・・・」
私が女将さんにそう言うと、女将さんは
「皆観光客の子みたいよ?バイクで来てた女子大生がー・・・短期バイト先のホテルに出勤してこなくて探してみたら寮のアパートで怪我して泣いてたって・・・若い男2人に乱暴されたってー・・・怖いよねぇ・・・」
胸が痛かった。
若い男2人と聞き・・・あの時の記憶が少し蘇る。
「でー・・・2日前にも観光客の2人組の20歳の女の子!街中で飲んで帰る時に声を掛けられてー・・車内で乱暴されて上富良野で車から降ろされて近くの店に助けを求めたって・・・」
観光で来て、そんな事に・・・。
可哀想・・・・。
酷い・・・北海道にもそんな酷い事をする人が居るの??
「でもー・・・そんな事件ここらじゃ珍しいよ?・・・だからー・・・内地から来た・・・観光客か・・・リゾートバイトとかで来てる若者かねぇ?」
ご主人も厨房からそう言ってため息をついた。
「由美ちゃんも帰り道とか気を付けな。明ちゃんやお母さんにもちゃんと言っておいて。」
私は車だし、知らない人とは店以外では喋る事はないし・・・。
でも、気を引き締めなきゃ・・・・。
達也君とカフェで話したあの日から、達也君は毎日連絡をくれ・・・店にも食べに来るし、私が上がる時間にまた来て、私の車の後を走ってくれて私が家に入るのを見届けてから・・・帰る。
仕事が無い日は、明がお友達と約束している時に富良野や美瑛のカフェでお茶をしたり、旭川の方まで行ってみたりと・・・少しずつ2人の時間を増やしていった。
店がオープンして直ぐに、
「いらっしゃーい!!!」
女将さんの元気な声と共に顔を上げると・・・達也君が笑って店に入ってきた。
私はメニューを持って達也君がいつも座る席の方に歩いて行き、
「いらっしゃい!今日は早いね?」
そう言うと、達也君は笑って
「んー・・・この後さー・・上富良野のホームセンターに行こうかなって思ってる!由美何か買うものある?」
達也君って・・・・もの凄くマメ。
今泊っているホテルはあと1週間だけで、その後は・・・・うちから車で5分ほどの場所にある空き家を市から買い取ったらしい。
で、そこを自分の手で少しずつ直しているとか・・・・。
「んー・・・・あ、上富良野のー・・・チーズ工房のピザ用チーズ買って来てほしいかもー・・・大袋のやつ!」
そう言うと達也君は笑って
「はいはーい!あと何かあったらラインして??」
そう言ってメニューを見出した。
まだ・・・明やお母さんにはちゃんと紹介していなくって・・・明には毎日、『いつたっちゃん来るのー?』って・・・急かされてる。
達也君はメニューを見ながら、
「ハンバーグ定食にしようかなー・・・・」
そう言って私にメニューを渡してきた。
最近真也君は・・・ラベンダー畑に行っているようで・・・この店には殆ど来ない。
牧場に真也君が居ないから、テンションダダ下がりな明のご機嫌を取れるのは・・・・私でも母でもない。
達也君だ。
明は達也君に逢えるのを楽しみにしていて、この前のケーキのお礼とハンカチのお礼だって言って達也君に沢山の絵を書いている。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった
naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】
出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。
マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。
会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。
――でも、君は彼女で、私は彼だった。
嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。
百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。
“会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる