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彼女の過去と俺の過去
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—由美side
今日は定食屋の仕事を終え・・・店の裏で、ある人と電話をしながら一服。
「うん・・・何か、達也君から聞いた・・・うん・・・」
達也君と再会する少し前、凛に電話をした私。
凛の事はずっと気になってた。
いつかはちゃんと会って・・・また昔のようにしたいってそう思ってたの。
だから、あの日電話をかけた。
それからはたまにラインや電話でやり取りをして、達也君の話もした。
『淳の方にも達也君から連絡が来て・・・・私と淳も由美さんに会いたいなって・・・そう思ってるんです』
「うん・・・そうだよね。私も会いたいって思っているけどー・・・うん・・・・」
凛はきっと、あの日の事を・・・自分のせいだと、そう思っているはず。
そういう子だ・・・・。
でもね、あれは・・・私と翔太の事情に付け込まれたという・・・私と翔太の責任でもある。
あの男が凛たちを探し回っていると知っていたのだから、私ももっと注意深くするべきだった。
凛は電話の向こうで一度黙り、
『淳と、夏の間に北海道に行きたいって・・・そう言っていたんです。お子さんにも会いたいし・・・・・』
えっ?!
ちょっと焦った。
そんなに急に???
私はバッグを持って駐車場の方へ向かい、
「そんな無理しないで、沖縄と北海道ってー・・・かなり遠いしさ・・・」
私も会いたいけど・・・でも・・・。
駐車場に向かう手前で立ち止まり、
『ん・・・でも・・・ちゃんと話したくて・・・。』
話???
って、あの話?
「あ・・・あー・・凛、話って・・・そのー・・・あの話ならもう大丈夫。なるべくあの事は思い出したくないの・・・・・もう大丈夫だから・・・・」
凛と淳君からしたら・・・巻き込んだという罪悪感があるのだろう。
それも分かってる。
でも・・・私と翔太の責任。
『由美さん・・・あの・・・。』
「いいの~・・・あれはね、私と翔太の注意力も足りなかった・・・だから凛たちが気にしてずっと過ごす必要はないの」
『でも由美さん・・・』
「いいの、・・・大丈夫よ、凛たちももう・・・あの事は忘れて?」
そんな簡単なことじゃないよね。
ごめんね・・・でもそう言うしかないの。
『あの・・由美さん・・・』
その時・・・もう私の心の容量が溢れた・・・・。
「もうやめて!その話はしないで!あの日、私がアイツらに暴行されたって、もう私の中では凄く小さくなってきたの!それをまた蒸し返すのっ?!」
つい・・・言ってしまった・・・・。
凛は・・・いや、・・・凛も被害者なのに・・・・。
私の大事な・・・妹分なのに。
—真也side
夕方、定食屋の前を通ったら由美さんの車が止まっているのを見て、ちょっとだけ挨拶をするつもりで車を止めた。
別に下心はなかった。
さっき達也さんとも話したし、一人の友人として・・・と思った。
すると、店の脇の方から由美さんの声が聞こえた。
何だか、誰かと電話で話しているようだ。
盗み聞きをする気は・・・なかった。
しかし・・・俺の耳にしっかりと届いた・・・・。
由美さんの声。
『あの日、私がアイツらに暴行されたって・・・・』
と・・・・。
体が凍り付いた。
耳の奥が・・・キーンと・・・遠くなって耳鳴りをしたような感覚に襲われた。
由美さんが・・・・暴行された?
俺は動けなくなった脚を引きずり、何とか自分の車の方まで歩いて運転席のドアを開けたんだ。
由美さんが・・・暴行?
由美さんが・・・。
俺の頭の中では、結城ちゃんや・・・龍さんの恋人の美晴さん、そして・・・・仁さんの恋人になった・・・幸。
その他にも沢山の女性の髪を掴んで、殴ったり・・・首を絞めたり、乱暴を・・・した俺。
手が震えて・・・足がガクガクした。
ゆっくり振り返ると、電話を終えた由美さんが定食屋の脇から顔を出しこっちを見たんだ・・・。
由美さんの・・・真ん丸な目。
俺は・・・・・・。
・・・・・・。
「真也君・・・・・」
俺を見て、向こうも驚いた顔をして立っていたんだ。
由美さん・・・由美さんが・・・暴行された・・・・。
その事が頭の中をグルグルと・・・回った。
由美さんは電話を終えながら俺の方まで来て、
「真也君・・・いつからそこに?」
そう言ったんだ。
手が震え、声が出ない・・・・。
ごめん・・・俺・・・・。
「ね・・・真也君?あの・・・・」
由美さんも泣きそうな声でそう言った。
俺は慌てて、
「あ、・・・今・・・顔だけ見ようと思ってちょっと寄ろうかなって思って・・・でも用事を思い出して・・・・」
由美さんは俺をジッと見て・・・・。
「・・・・聞いてた???・・・・」
そう言った。
—由美side
真也君、今の・・・・きっと聞いたよね。
私もつい、声を荒げてしまい・・・駐車場の方から扉を開けた音がして・・・電話を切って見てみると真也君の後姿が見えた。
私が近付くと、真也君は一歩下がって
「もう遅いから俺帰るね、あ・・・また食いにくるよ!」
そう言ったの。
「ねぇ・・・話聞いてた?」
私が言うと真也君は慌てた顔をして、
「聞いてない・・何も聞いてない・・・・・」
私はドアを掴み、
「じゃ何でそんな顔をするの???」
真也君は目を泳がせ、
「ごめん、・・・今日はもう帰るね・・・早く帰らないといけなかったんだ・・・」
・・・・・・・。
私がドアを離すと・・・真也君は車の中から・・・悲しい顔で・・・私を見たの。
そして、バンッ・・・と、扉を閉め・・・行ってしまった・・・。
—真也side
車を走らせ・・・駐車場に取り残してしまった由美さんを・・・ミラーで見ることは出来なかった。
牧場の入り口で車を止め、ハンドルに顔を付けた。
彼女は・・・東京で暴行された??
その相手はきっと・・・達也さんではない。
そう思うと・・以前、ラベンダー畑に来てくれた時・・・携帯を忘れたと言ってトイレで取った由美さんの行動も・・・・全てが合致する。
そんな彼女を達也さんはきっと・・・追いかけてきた。
グッとハンドルを握って・・・涙を堪えた。
俺が、今まで傷付けた女性たちも・・・ああやって苦しんでいるんだ・・・・。
由美さんみたいに今もずっと・・・・。
自分を殺してしまいたいくらい・・・・苦しい。
グッとハンドルを握るとその手に俺の涙がいっぱいついた。
俺が泣く立場じゃない。
泣いた女性の気持ちを考えろ・・・。
俺は・・・世界一・・・・。
最低な人間だ・・・・。
今日は定食屋の仕事を終え・・・店の裏で、ある人と電話をしながら一服。
「うん・・・何か、達也君から聞いた・・・うん・・・」
達也君と再会する少し前、凛に電話をした私。
凛の事はずっと気になってた。
いつかはちゃんと会って・・・また昔のようにしたいってそう思ってたの。
だから、あの日電話をかけた。
それからはたまにラインや電話でやり取りをして、達也君の話もした。
『淳の方にも達也君から連絡が来て・・・・私と淳も由美さんに会いたいなって・・・そう思ってるんです』
「うん・・・そうだよね。私も会いたいって思っているけどー・・・うん・・・・」
凛はきっと、あの日の事を・・・自分のせいだと、そう思っているはず。
そういう子だ・・・・。
でもね、あれは・・・私と翔太の事情に付け込まれたという・・・私と翔太の責任でもある。
あの男が凛たちを探し回っていると知っていたのだから、私ももっと注意深くするべきだった。
凛は電話の向こうで一度黙り、
『淳と、夏の間に北海道に行きたいって・・・そう言っていたんです。お子さんにも会いたいし・・・・・』
えっ?!
ちょっと焦った。
そんなに急に???
私はバッグを持って駐車場の方へ向かい、
「そんな無理しないで、沖縄と北海道ってー・・・かなり遠いしさ・・・」
私も会いたいけど・・・でも・・・。
駐車場に向かう手前で立ち止まり、
『ん・・・でも・・・ちゃんと話したくて・・・。』
話???
って、あの話?
「あ・・・あー・・凛、話って・・・そのー・・・あの話ならもう大丈夫。なるべくあの事は思い出したくないの・・・・・もう大丈夫だから・・・・」
凛と淳君からしたら・・・巻き込んだという罪悪感があるのだろう。
それも分かってる。
でも・・・私と翔太の責任。
『由美さん・・・あの・・・。』
「いいの~・・・あれはね、私と翔太の注意力も足りなかった・・・だから凛たちが気にしてずっと過ごす必要はないの」
『でも由美さん・・・』
「いいの、・・・大丈夫よ、凛たちももう・・・あの事は忘れて?」
そんな簡単なことじゃないよね。
ごめんね・・・でもそう言うしかないの。
『あの・・由美さん・・・』
その時・・・もう私の心の容量が溢れた・・・・。
「もうやめて!その話はしないで!あの日、私がアイツらに暴行されたって、もう私の中では凄く小さくなってきたの!それをまた蒸し返すのっ?!」
つい・・・言ってしまった・・・・。
凛は・・・いや、・・・凛も被害者なのに・・・・。
私の大事な・・・妹分なのに。
—真也side
夕方、定食屋の前を通ったら由美さんの車が止まっているのを見て、ちょっとだけ挨拶をするつもりで車を止めた。
別に下心はなかった。
さっき達也さんとも話したし、一人の友人として・・・と思った。
すると、店の脇の方から由美さんの声が聞こえた。
何だか、誰かと電話で話しているようだ。
盗み聞きをする気は・・・なかった。
しかし・・・俺の耳にしっかりと届いた・・・・。
由美さんの声。
『あの日、私がアイツらに暴行されたって・・・・』
と・・・・。
体が凍り付いた。
耳の奥が・・・キーンと・・・遠くなって耳鳴りをしたような感覚に襲われた。
由美さんが・・・・暴行された?
俺は動けなくなった脚を引きずり、何とか自分の車の方まで歩いて運転席のドアを開けたんだ。
由美さんが・・・暴行?
由美さんが・・・。
俺の頭の中では、結城ちゃんや・・・龍さんの恋人の美晴さん、そして・・・・仁さんの恋人になった・・・幸。
その他にも沢山の女性の髪を掴んで、殴ったり・・・首を絞めたり、乱暴を・・・した俺。
手が震えて・・・足がガクガクした。
ゆっくり振り返ると、電話を終えた由美さんが定食屋の脇から顔を出しこっちを見たんだ・・・。
由美さんの・・・真ん丸な目。
俺は・・・・・・。
・・・・・・。
「真也君・・・・・」
俺を見て、向こうも驚いた顔をして立っていたんだ。
由美さん・・・由美さんが・・・暴行された・・・・。
その事が頭の中をグルグルと・・・回った。
由美さんは電話を終えながら俺の方まで来て、
「真也君・・・いつからそこに?」
そう言ったんだ。
手が震え、声が出ない・・・・。
ごめん・・・俺・・・・。
「ね・・・真也君?あの・・・・」
由美さんも泣きそうな声でそう言った。
俺は慌てて、
「あ、・・・今・・・顔だけ見ようと思ってちょっと寄ろうかなって思って・・・でも用事を思い出して・・・・」
由美さんは俺をジッと見て・・・・。
「・・・・聞いてた???・・・・」
そう言った。
—由美side
真也君、今の・・・・きっと聞いたよね。
私もつい、声を荒げてしまい・・・駐車場の方から扉を開けた音がして・・・電話を切って見てみると真也君の後姿が見えた。
私が近付くと、真也君は一歩下がって
「もう遅いから俺帰るね、あ・・・また食いにくるよ!」
そう言ったの。
「ねぇ・・・話聞いてた?」
私が言うと真也君は慌てた顔をして、
「聞いてない・・何も聞いてない・・・・・」
私はドアを掴み、
「じゃ何でそんな顔をするの???」
真也君は目を泳がせ、
「ごめん、・・・今日はもう帰るね・・・早く帰らないといけなかったんだ・・・」
・・・・・・・。
私がドアを離すと・・・真也君は車の中から・・・悲しい顔で・・・私を見たの。
そして、バンッ・・・と、扉を閉め・・・行ってしまった・・・。
—真也side
車を走らせ・・・駐車場に取り残してしまった由美さんを・・・ミラーで見ることは出来なかった。
牧場の入り口で車を止め、ハンドルに顔を付けた。
彼女は・・・東京で暴行された??
その相手はきっと・・・達也さんではない。
そう思うと・・以前、ラベンダー畑に来てくれた時・・・携帯を忘れたと言ってトイレで取った由美さんの行動も・・・・全てが合致する。
そんな彼女を達也さんはきっと・・・追いかけてきた。
グッとハンドルを握って・・・涙を堪えた。
俺が、今まで傷付けた女性たちも・・・ああやって苦しんでいるんだ・・・・。
由美さんみたいに今もずっと・・・・。
自分を殺してしまいたいくらい・・・・苦しい。
グッとハンドルを握るとその手に俺の涙がいっぱいついた。
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