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昔の仲間
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しおりを挟む—凛side
空港の外に出ると、物凄い冷たい風がビュオッと吹いて・・・・思わず
「寒いっ・・・・」
そう言って体を縮こませた。
「大丈夫か???」
淳は自分のネックウォーマーを私の首に付けてそう言った。
「だ・・・大丈夫ーー・・・なんか久しぶりにこんなに冷たい風を浴びた!」
そう言うと、
「温度差が凄いから風邪ひくなよ」
淳はそう言って私の手をギュッと繋いでレンタカーの受付の方まで歩いた。
そう、私と淳は・・・北海道に到着。
沖縄に戻ってからずっと沖縄でヌクヌクしていた私達。
冬の寒さなんて・・・忘れていた。
レンタカーの受付で、足をスリスリさせて手続きをしている淳の方を眺めながら・・・壁に貼ってある富良野のポスターに目をやった。
それは、夏のラベンダー畑と秋の紅葉・・・そして雪の富良野のポスターだ。
冬もすごく綺麗だな・・・。
本当は夏に来たかったけど・・・沖縄は何度も台風にやられ飛行機が何度も欠航。
穏やかな日は観光客の予約が集中し、淳が仕事に出ないといけなくなってしまったりで・・・結局夏はバタバタだった。
手続きを終えた淳は私の手を繋いで、
「よし、行くか!」
そう言って荷物をガラガラと引きながら外に出た。
—淳side
由美さんから凛に電話があって、由美さんが今北海道にいると分かった。
その少し後に、達也から連絡があって・・・・達也ももうしばらく富良野にいたいと言ってきたんだ。
凛は由美さんとマメに連絡を取るようになり、今回は・・・俺たちの結婚式の話をしに北海道に来たんだ。
レンタカーに荷物を乗せ、凛を助手席に座らせドアを閉めた。
それにしても北海道って・・・メチャ寒いな。
東京にいた時何度か北海道には来たことあったけど、そこまで感じなかった寒さ。
でも、沖縄にずっと居て・・・急に北国に来ると・・・リアルに寒い。
俺も運転席に座りエンジンを掛けると、凛は嬉しそうにスマホをいじって
「楽しみだな~・・・旅行久しぶり!とりあえずラーメン食べたいなー・・・あとね、海鮮丼!あ・・・でも今夜達也君と由美さんとご飯食べるでしょ?何食べるのかなー?かぶらないようにしないと・・・」
と・・・・、相変わらず食いしん坊な凛。
「確かジンギスカンの店予約したって言ってたかな??美味い富良野牛も食える店なんだって」
俺がそう言って車を出すと、
「お肉かー・・じゃ、お昼はラーメンか・・・海鮮かなぁ・・・あ!あとさ、白い恋人パーク行きたいけど・・・あー・・・でも富良野とは方向違うから無理かー・・・・」
凛はそう言って携帯マップを見つめていた。
「大丈夫だろ、アイツと会うのは夕方だし!」
俺がそう言うと凛は嬉しそうに笑った。
沖縄生活に入ってから、休日も本島内をドライブしたり・・・何度かお袋に会いに石垣に行ったが・・・全部沖縄県内。
「今度皆で温泉でも行くか?九州とか・・・・」
俺がそう言うと、
「でも・・・来年のハワイでお金いっぱいかかっちゃうから、大丈夫・・・・」
俺たちは結局、湊と瑠衣ちゃんとも話し合い・・・結婚式をハワイで挙げる事になった。
湊と瑠衣ちゃんもハワイで挙げようと考えていたようで、同じタイミングで挙げる事になったんだ。
地図で見ると千歳空港から札幌市内まで近く見えるが、1時間ほどかかる。
「北海道って大きいよねー・・富良野までも結構かかるんだね・・・由美さんと達也君って一緒に暮らしてる訳じゃないの?」
凛はお得意の観光本を手に取ってそれをめくりながら言う。
「なんか、由美さんの家のすぐ近くに空き家があってー・・そこを市から購入して、自分で内装とか綺麗にしたって言ってたぞ」
達也は由美さんと一緒には暮らしていないようだ。
由美さんの家の近くの空き家を購入し、地元の人達にも手伝ってもらいながら家の中を直して今はそこに住んでいるとか。
元々農家と牧場をやっていたところみたいで、土地もかなり広いらしい。
「達也君、由美さんのお子さんと仲良くなったんでしょ??流石だよねー・・・・」
そう・・・達也って意外と子供に好かれる。
高校時代から近所の子供とか臨也の友達とかにはかなり人気がある。
うちの仲間内は最近子供がまた増え・・・優樹を始め・・・碧・・・そして美晴ちゃんのお兄さんのところの自衛隊3兄弟。
そして、少し前には・・・新しい命が生まれたんだ。
—達也side
もうだいぶ寒いなー・・・・・。
家のリビングからテラスに出るともうヒヤッと冷たい風が吹く。
でも天気はかなりいい。
由美の家みたいにサンルームを付けたマイホーム!
ここは由美のログハウスから車で5分くらいの所にある結構可愛い平屋。
元々2LDKだったが1LDKにリフォームした。
もっと時間がかかると思ったけど、この近所に暮らす地元の人達が毎日手伝いに来てくれて・・・もうほぼ完成!!
リビングにはお洒落な暖炉があって、木のぬくもりを感じられるロッジ風の家。
庭も広くて、最近近所の牧場のタケちゃんがヤギをくれた。
めぇぇえーー・・・って、外から聞こえてきて・・・俺が顔を出すとヤギは俺の顔を見てまためぇぇ―って・・・また鳴く。
俺は結構動物も好きだから、沖縄に帰る時コイツ連れて行こうかなって思ったりしてる。
洗濯物をサンルームに干し、キッチンに行きパンを焼いて目玉焼きを焼いて、コーヒーを入れてー・・・1人で朝食。
今日、淳さんと凛さんが北海道に到着した。
さっき、淳さんからラインが来て・・・・早速朝一で札幌市内でラーメンを食べたみたいで、凛さんが味噌ラーメンを食べている写真が送られてきた。
俺も由美の店で昼飯を食ったら淳さん達と合流するつもりだ。
今夜は富良野にあるジンギスカンの店を予約したんだ・・・・・。
2人は今日から1週間居るようで、その間明ちゃんも誘って皆でどこかに行こうかと思っている。
由美と俺は、毎日のように逢ってはいるけど・・・・特に進展があった訳ではない。
凄く触れたいし、前に進みたいけど・・・焦りたくもない。
由美の気持ちを第一に考えたい。
しかし、セックスが大好きな俺にとって・・・この禁欲生活はかなり過酷。
かといって旭川とかに女遊びをしに行く気も・・・ない。
支度を整え、家を出ると・・・・すぐ隣の畑の大村さん夫婦が手を振ってきた。
「あー・・・こんにちはー・・・・」
俺も手を振って2人の方まで走って行くと、大村さんの奥さんが俺に1枚の紙を見せてきて
「なんかまたあったらしいよ、暴行事件―・・・イヤだねー・・・・」
紙を受け取って見ると、そこには少し前に多発していた婦女暴行事件。
夏が終わって、静かになったと思ったのに・・・またあったのか。
「外から来た人間かって思っていたけど・・・違うんですかね・・・・」
俺がそう言うと、旦那さんが
「皆、観光の人かって思ってたよ・・・だけど最近観光客も少ないからなぁ・・・」
そう言った。
「昨夜またあったんだ、前の時のもまだ捕まってないですよね?危ないな・・・・」
俺がそう言って大村さんの奥さんに紙を返すと、奥さんは笑って
「由美ちゃん・・・この辺では一番の美人さんだから気を付けた方が良いよ!」
そう言ったんだ。
何処にでもいるんだな。
変態って。
危ないのは都会ばかりじゃない・・・・・・。
家の方に戻って車に乗り込むと、手に持っていた携帯がブブッと鳴った。
画面を見ると、由美からの1通のラインメッセージ。
『今日の日替わり、富良野牛で作ったハンバーグだって!』
おお!!あそこのハンバーグ俺大好き!!
大きな旦那さんの大きな手で作る大きなハンバーグ!しかも富良野牛のって超美味いんだよなー・・・。
俺はそのまま由美が働く定食屋に車を走らせた。
その途中にある、真也達が働く牧場・・・その入り口付近に差し掛かった時・・・。
ん????
見覚えのない男2人を、真也が掴んで追い返している光景が目に飛び込んできた。
誰だ??あの男2人・・・・・。
俺は直ぐに車を止め、窓を開け、
「真也・・・何かあった??」
声を掛けると真也はバツの悪そうな顔をし1人の男を離して
「いや、何でもないっす・・・大丈夫です・・・。」
そう言った。
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