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家族
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11月
—由美side
真也君が・・・以前、卑劣な男だったと、あの日その懺悔をされた。
私は、そのまま倒れた。
「ママ・・・まだ元気でない???」
部屋の外から明の声が聞こえた。
私は布団をかぶって・・・その声を遮った。
私、母親失格。ごめんね、明、体に力が入らないの。
—達也side
俺は最近、毎日片桐家に通い毎日料理を振舞う。
今日も明が持って行く弁当をセットし、蓋を閉める・・・と、朝ご飯を食べている明が
「ねーねー・・・今日のお弁当何が入ってるー?」
そう言って笑った。
「今日はー、ハンバーグが入ってるよ~!明ハンバーグ好き?」
俺がそう言うと、明は笑って
「大好きー!!」
すると洗面所の方から歩いてきたお母さんが、俺の方を見て
「もうたっちゃん家に越してきたらいいのにー・・・、あー・・でもたっちゃんの家の方が広くて綺麗か!」
そう言った。
俺が住んでいる家と由美のこの家は結構近い。
歩いてでも行ける距離だけど・・・転がり込むのもなぁって思い、俺は毎日通い。
「今度皆で遊びに来てくださいよー・・・あ!!今日雪が凄いから明の送り俺が行きますね」
そうそう・・・。
昨夜からこの辺はかなり吹雪いてて、俺がこっちに来る時もかなり凄かった。
正直言うとここまでの吹雪は初めて見た。
スノボーとかでスキー場に行って雪は全然見た事があったけど、ここまでの大雪はまだ未体験。
するとお母さんが外を見て、
「たっちゃん、雪用の長靴持ってる?この前ね、安かったから買っておいたのよー・・・サイズが合えばいいけどー・・・」
和室から紙袋を持って俺の所に来て言った。
紙袋の中には黒い長靴。
「わー・・・すいません!幾らでした?」
俺がそう言って財布を出すと、お母さんは笑って
「いいのいいの!いつもさー・・・ごちそうしてもらったり最近食材だっていつも買ってもらってばっかりでー!これくらいはさせてー??」
由美のお母さんは・・・凄く優しい。
俺はこういう母親とのやり取りには・・・全く慣れていない。
幼少時代、母親が手を繋いでくれた事や・・・夜、本を読んでくれた事。
かすかに覚えているくらいだ。
すると、明が
「ねーねー・・・ママ・・・まだ病気?」
そう言ったんだ。
俺は明の頭を撫でて、
「ママはー・・ちょっと風邪ひいちゃったんだ、疲れてたのかなー?もう少し休んでもらおうなー・・・」
そう言うと明は笑って、
「たっちゃんは明のパパ?」
って、ドキッとすることを聞いてくる。
するとお母さんがニヤニヤと笑って
「そうなるといいわよねー・・・・」
そう言った。
由美はあの日の夜俺と真也の前で倒れてた。
直ぐに近くの病院に連れて行き、念のため1日だけ入院したが・・・特に問題はないと診断。
真也は由美の傍にずっと座ったまま・・・泣いていた。
すると由美が目を覚まして真也に言ったんだ。
「貴方なら、ちゃんと人生やり直してまた新しい人生を送れるはず」
そう言った。
由美は家に帰った後も起き上がる事が出来ず、明には風邪をひいていると説明した。
明に暖かいダウンを着させ、ニット帽も被せた。
「今日はもの凄く寒いからなー・・・風邪ひかないようにしようなー・・・」
玄関でそう言うと、明は笑って
「ね、たっちゃん今夜も家に帰っちゃうの?お泊りしない?」
最近俺は明の事を呼び捨てにする様になった。
それは別に何かを狙っているとかではなく、明と話すことが増えたから自然にそうなったってだけ。
「ごめんねー・・たっちゃん足元気を付けてねー・・・」
お母さんに見送られながら、俺と明は家を出た。
さっきまで吹雪いていたが今は少し止んだようだ。
でも・・・凄い雪が積もっている。
俺たちは手を繋ぎ、
「今日は明はー・・・夕飯何が食べたい?」
俺がそう言うと、明は笑って
「んー・・・あのね、たっちゃんのから揚げ―!」
明はすごく素直で、人懐こくて・・・可愛い子だ。
俺も甘えられると・・・すっごく嬉しくて張り切ってしまう。
「んじゃー・・・今夜は唐揚げ作ろうかなー??」
幼稚園バス乗り場に行くとすぐに幼稚園のバスが到着し、幼稚園の先生に挨拶をして―・・明はブンブン手を振ってバスに乗り込んだ。
最近ちょこちょこ俺も送迎に来る・・・見送る時は決まって毎回・・・ちょっと寂しく感じるんだ。
家に帰ると、お母さんが朝食を用意して待っててくれた。
「たっちゃんごめんね~・・・寒かったでしょ?」
「はぁ~・・・今夜はまた降りそうですね・・・部屋の中暖かい~・・・・」
冷たくなった頬を触ってストーブ前に行くと、
「温かいコーヒー入れたからご飯食べようー・・・」
由美ママはそう言って食パンを焼いてくれた・・・。
母親と一緒に食事をするなんて20年ぶりくらいかな。
うちの母親が亡くなってからは、大体食事の準備は俺がやって親父と弟の臨也と3人で食べていた。
懐かしいな。
野菜サラダとトーストと目玉焼きとソーセージ!さっくさくの食パンを食べて、
「あーー・・・美味しいー・・!!!」
そう言ってお母さんが入れてくれたコーヒーを飲んだ。
はぁぁ・・・至福の時間。
するとお母さんは
「このコーヒーさ、駅前のコーヒー屋さんで買ったんだけど結構美味しいね!」
そう言って笑った。
「そうですね、あ!!今度俺また買って来ますね?」
するとお母さんもパンを食べながら、
「たっちゃんは生まれも育ちも沖縄?」
そう言った。
「はい、北海道は旅行できたことがあったんですが~・・・こんなに長い期間いた事が無かったので美味しいものが多すぎてメチャクチャ太りました!」
そう言うと由美ママはケタケタ笑って、
「私もー!!!こっち実家なんだけどさ、住んでいたのは高校生の時までだったからね。こっちに戻ったら色々美味しくて太っちゃったのよー!!」
沖縄の料理も好きだけど、北海道ってマジで最強だって思う。
凛さんなんか1か月こっちにいたいって言いながら泣き泣き帰って行ったし・・・・。
「でも本当に美味しいもの多いですよねー?今度明ちゃんと由美さんと4人で十勝の方とか温泉行きましょうよ!」
4人での家族旅行って・・・俺は子供の頃一回だけ渡嘉敷に行き、1泊しただけ。
母親が亡くなってからは、親父が九州に何度か連れて行ってくれたくらいで温泉とかは行った事が無い。
「えーー??温泉っ??楽しそうー!ねね・・・でもさー・・沖縄ってやっぱり海綺麗??」
お母さんは何故か少しコソコソ話みたいな感じで聞いてきた。
俺に沖縄を語らせたらヤバいっすよー???って思ったが、少し控えめに、
「海・・・メチャクチャ綺麗です!・・・俺今北谷っていう街で暮らしているんですけど、マンションの目の前が海だしー・・・先輩たちが最近戸建てを建てたんですが・・・その場所がもうスッゴイ良い景色なんですよー!!」
「へぇー・・・あ!この前来た淳君と凛ちゃんも家建ててるって言ってたよね?」
「あー・・!!そうなんですよ!あの2人と、あと他の2人の先輩が横並びで家建てててー・・・すっごく良い所なんですよ」
いつか・・・由美やお母さん、明にもあの景色を見せてあげたいなー・・・。
—由美side
真也君が・・・以前、卑劣な男だったと、あの日その懺悔をされた。
私は、そのまま倒れた。
「ママ・・・まだ元気でない???」
部屋の外から明の声が聞こえた。
私は布団をかぶって・・・その声を遮った。
私、母親失格。ごめんね、明、体に力が入らないの。
—達也side
俺は最近、毎日片桐家に通い毎日料理を振舞う。
今日も明が持って行く弁当をセットし、蓋を閉める・・・と、朝ご飯を食べている明が
「ねーねー・・・今日のお弁当何が入ってるー?」
そう言って笑った。
「今日はー、ハンバーグが入ってるよ~!明ハンバーグ好き?」
俺がそう言うと、明は笑って
「大好きー!!」
すると洗面所の方から歩いてきたお母さんが、俺の方を見て
「もうたっちゃん家に越してきたらいいのにー・・・、あー・・でもたっちゃんの家の方が広くて綺麗か!」
そう言った。
俺が住んでいる家と由美のこの家は結構近い。
歩いてでも行ける距離だけど・・・転がり込むのもなぁって思い、俺は毎日通い。
「今度皆で遊びに来てくださいよー・・・あ!!今日雪が凄いから明の送り俺が行きますね」
そうそう・・・。
昨夜からこの辺はかなり吹雪いてて、俺がこっちに来る時もかなり凄かった。
正直言うとここまでの吹雪は初めて見た。
スノボーとかでスキー場に行って雪は全然見た事があったけど、ここまでの大雪はまだ未体験。
するとお母さんが外を見て、
「たっちゃん、雪用の長靴持ってる?この前ね、安かったから買っておいたのよー・・・サイズが合えばいいけどー・・・」
和室から紙袋を持って俺の所に来て言った。
紙袋の中には黒い長靴。
「わー・・・すいません!幾らでした?」
俺がそう言って財布を出すと、お母さんは笑って
「いいのいいの!いつもさー・・・ごちそうしてもらったり最近食材だっていつも買ってもらってばっかりでー!これくらいはさせてー??」
由美のお母さんは・・・凄く優しい。
俺はこういう母親とのやり取りには・・・全く慣れていない。
幼少時代、母親が手を繋いでくれた事や・・・夜、本を読んでくれた事。
かすかに覚えているくらいだ。
すると、明が
「ねーねー・・・ママ・・・まだ病気?」
そう言ったんだ。
俺は明の頭を撫でて、
「ママはー・・ちょっと風邪ひいちゃったんだ、疲れてたのかなー?もう少し休んでもらおうなー・・・」
そう言うと明は笑って、
「たっちゃんは明のパパ?」
って、ドキッとすることを聞いてくる。
するとお母さんがニヤニヤと笑って
「そうなるといいわよねー・・・・」
そう言った。
由美はあの日の夜俺と真也の前で倒れてた。
直ぐに近くの病院に連れて行き、念のため1日だけ入院したが・・・特に問題はないと診断。
真也は由美の傍にずっと座ったまま・・・泣いていた。
すると由美が目を覚まして真也に言ったんだ。
「貴方なら、ちゃんと人生やり直してまた新しい人生を送れるはず」
そう言った。
由美は家に帰った後も起き上がる事が出来ず、明には風邪をひいていると説明した。
明に暖かいダウンを着させ、ニット帽も被せた。
「今日はもの凄く寒いからなー・・・風邪ひかないようにしようなー・・・」
玄関でそう言うと、明は笑って
「ね、たっちゃん今夜も家に帰っちゃうの?お泊りしない?」
最近俺は明の事を呼び捨てにする様になった。
それは別に何かを狙っているとかではなく、明と話すことが増えたから自然にそうなったってだけ。
「ごめんねー・・たっちゃん足元気を付けてねー・・・」
お母さんに見送られながら、俺と明は家を出た。
さっきまで吹雪いていたが今は少し止んだようだ。
でも・・・凄い雪が積もっている。
俺たちは手を繋ぎ、
「今日は明はー・・・夕飯何が食べたい?」
俺がそう言うと、明は笑って
「んー・・・あのね、たっちゃんのから揚げ―!」
明はすごく素直で、人懐こくて・・・可愛い子だ。
俺も甘えられると・・・すっごく嬉しくて張り切ってしまう。
「んじゃー・・・今夜は唐揚げ作ろうかなー??」
幼稚園バス乗り場に行くとすぐに幼稚園のバスが到着し、幼稚園の先生に挨拶をして―・・明はブンブン手を振ってバスに乗り込んだ。
最近ちょこちょこ俺も送迎に来る・・・見送る時は決まって毎回・・・ちょっと寂しく感じるんだ。
家に帰ると、お母さんが朝食を用意して待っててくれた。
「たっちゃんごめんね~・・・寒かったでしょ?」
「はぁ~・・・今夜はまた降りそうですね・・・部屋の中暖かい~・・・・」
冷たくなった頬を触ってストーブ前に行くと、
「温かいコーヒー入れたからご飯食べようー・・・」
由美ママはそう言って食パンを焼いてくれた・・・。
母親と一緒に食事をするなんて20年ぶりくらいかな。
うちの母親が亡くなってからは、大体食事の準備は俺がやって親父と弟の臨也と3人で食べていた。
懐かしいな。
野菜サラダとトーストと目玉焼きとソーセージ!さっくさくの食パンを食べて、
「あーー・・・美味しいー・・!!!」
そう言ってお母さんが入れてくれたコーヒーを飲んだ。
はぁぁ・・・至福の時間。
するとお母さんは
「このコーヒーさ、駅前のコーヒー屋さんで買ったんだけど結構美味しいね!」
そう言って笑った。
「そうですね、あ!!今度俺また買って来ますね?」
するとお母さんもパンを食べながら、
「たっちゃんは生まれも育ちも沖縄?」
そう言った。
「はい、北海道は旅行できたことがあったんですが~・・・こんなに長い期間いた事が無かったので美味しいものが多すぎてメチャクチャ太りました!」
そう言うと由美ママはケタケタ笑って、
「私もー!!!こっち実家なんだけどさ、住んでいたのは高校生の時までだったからね。こっちに戻ったら色々美味しくて太っちゃったのよー!!」
沖縄の料理も好きだけど、北海道ってマジで最強だって思う。
凛さんなんか1か月こっちにいたいって言いながら泣き泣き帰って行ったし・・・・。
「でも本当に美味しいもの多いですよねー?今度明ちゃんと由美さんと4人で十勝の方とか温泉行きましょうよ!」
4人での家族旅行って・・・俺は子供の頃一回だけ渡嘉敷に行き、1泊しただけ。
母親が亡くなってからは、親父が九州に何度か連れて行ってくれたくらいで温泉とかは行った事が無い。
「えーー??温泉っ??楽しそうー!ねね・・・でもさー・・沖縄ってやっぱり海綺麗??」
お母さんは何故か少しコソコソ話みたいな感じで聞いてきた。
俺に沖縄を語らせたらヤバいっすよー???って思ったが、少し控えめに、
「海・・・メチャクチャ綺麗です!・・・俺今北谷っていう街で暮らしているんですけど、マンションの目の前が海だしー・・・先輩たちが最近戸建てを建てたんですが・・・その場所がもうスッゴイ良い景色なんですよー!!」
「へぇー・・・あ!この前来た淳君と凛ちゃんも家建ててるって言ってたよね?」
「あー・・!!そうなんですよ!あの2人と、あと他の2人の先輩が横並びで家建てててー・・・すっごく良い所なんですよ」
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