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家族
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しおりを挟む—由美ママside
達也君は凄く明るくて優しい青年だ。
由美から沖縄出身でお父様がご健在で、弟さんが1人いると聞いていた。
お母様の話は詳しくは聞いてはいなかったけど、こんなに家事ができることから・・・きっとご病気とかで亡くなられたのかなってそう思った。
達也君はパンを食べ・・・コーヒーを飲むと、
「親父は役所で働いてたんですけど・・・もう定年退職して、幼馴染のお爺と一緒に那覇のマンションで暮らしています・・・・」
達也君は笑顔で家族の話をしてくれた。
達也君のお父さんだとまだ定年したばかりかな???きっと私よりはお若いんだろうなー・・・。
すると達也君は、
「うちの母親はー・・・・・俺が小学生5年生の時に癌で亡くなりました・・・」
少し寂しそうな顔でそう言ったの。
達也君が・・・小学生の時??だとしたらまだお若かったんじゃ・・・・。
すると達也君は少し笑って、
「お袋はー・・・亡くなる3年前に乳癌が分かって・・・手術と抗がん剤をして少ししたらまた再発したんです。その時、他にも転移していて・・・凄く頑張ってくれていたけど亡くなりました・・・・」
癌・・・・・。
うちのお父さんも前立腺がんからの転移だった・・・・。
達也君は私の顔をジッと見つめ、また笑って
「親父も仕事が忙しかったですし、弟が・・・まだ幼稚園だったので結構バタバタで、気づいたら俺が家の事をやるようになっててー・・・だから料理とか洗濯掃除も結構好きなんですよ」
へぇー・・・・・。
だからお料理がこんなに上手なのか・・・・。
「達也君・・・ごめんね、なんだかすごく辛い事話させちゃった・・・」
私がそう言うと達也君はまた笑って首を横に振った。
そして、
「あの時は悲しかったけど・・・今はお袋に色々報告したいなーって思ってます。あ・・・この前親父にこっちからハムとか送ったらすっごい喜んでました!」
なんか、達也君がしっかりしてて優しい理由が分かった気がした。
—達也side
お袋が亡くなったのは・・・、自宅の寝室のベッドでだった。
あの時は知らなかったけど、お袋はもう延命はしないで欲しいと親父に言っていたらしい。
長く入院をしていたけど、最後は自宅で過ごしたいと・・・母の希望だったんだ。
お袋は、最後は眠るようにして・・・動かなくなったんだ。
俺は最初、お袋がまたすぐに起きるって思った。
でも、お袋は目を覚まさなくて・・・・どんどん冷たくなったんだ。
親父は俺と臨也を抱きしめ、
「俺が母さんとお父さん・・・両方やるから・・・」
そう言ったのを今でも覚えてる。
親父はその約束通り、以前までは残業を多くしていたがきっちりと定時で帰れる部署に異動してくれて、でも仕事が凄く大変そうだったから・・・俺が中学に入って直ぐに料理や掃除、洗濯をするようになったんだ。
でも親父は俺たち以上に寂しかったんだろうなって思う。
だから、同じように奥さんに先立たれた親父の幼馴染のお爺と一緒に、那覇に出来たマンションで第2の人生を楽しんでいる。
お母さんはずっと俺の目を見つめ、ちゃんと話を聞いていてくれた。
朝食を済ませると、外は晴れ間が出てきた。
お母さんは公民館に行ってくると言って家を出て行き・・・俺はリンゴを剥いて、由美が横になっている寝室に向かった。
部屋の前に立つと、部屋の中から物音は全く聞こえない。
コンコン・・と扉をノックしたが、反応は無し。
「由美???・・・・寝てる????」
そう言いながらゆっくり扉を開けると、ベッドの布団がこんもりと膨らんでいて・・・モゾモゾと動きながらこっちを見てくれた。
俺はそのままベッドの隣のテーブルにリンゴを置いて、窓の方に歩いて行った。
カーテンを開けると、窓の外は綺麗な雪景色。
「さっきまで吹雪いてたけど・・・もう凄く晴れてる・・・・お母さんも今公民館に行ったよ」
そう言うと由美は俺の顔をジッと見つめてきた。
スッピンでも・・・・超可愛いなー・・・。
椅子を出してベッドの横に置き、腰を掛け
「体調は???」
そう言って布団の中に手を入れると・・・由美が布団の中で俺の手を握ってくれた。
「ごめんね、達也君に甘えてばかり・・・・」
そう言ってきた。
年上で、凄くしっかりしているのに・・・こうやって甘えてくれるの・・・俺凄く嬉しい。
俺は手をすりすりと撫でながら、
「全然??リンゴ食べる??」
そう言うと、由美はゆっくりと体を起こし
「んー・・・もうそろそろ起きようかな・・・このままじゃ私一生布団から出なくなりそうー・・・」
そう言って少し笑った。
「無理するなよ・・・今日は寒いし布団の中に居たら???」
俺がそう言うと由美は体をゆっくり起こし・・・・。
「大丈夫・・・・真也君にああ言った以上、私も強くならないと・・・・。」
由美がショックを受けた気持ちは・・・男女の差はあるかもしれないけど、理解したい。
元々は、俺らの揉め事に由美を巻き添えにしてしまったのが始まりだし・・・由美にはゆっくりでも良いから元気になってほしいって思ってる。
—由美side
私が倒れてしまったあの日の翌日から、達也君はうちに来てくれて・・・・家の家事を手伝ってくれていた。
正直言って、ここまで家庭的だとは・・・思わなかった。
私が布団をめくって立ち上がろうとすると、達也君は私の肩にカーディガンを掛け、
「パン焼こうか?食欲ある??」
そう言って私を支えるようにして腰に手を回してきた。
てか・・・達也君って本当にこんなに優しいのが本当の姿??前と違い過ぎてちょっと・・・ビックリ。
一緒に居間の方に行くと達也君が食パンを焼いてオムレツを作ってくれたの。
ふわふわでチーズが入ってるオムレツ・・・。
メチャクチャ美味しい。
「ね・・・達也君って、本当は昔からこんなに優しかったの???」
私がそう言うと
「えーー??俺ってそんなに昔酷かった?」
そう言って笑いながら私の前に座ったの。
酷くはないけど、前はわんぱくというかー・・・もっと男の子っぽかったっていうか・・・
「んー・・・そうだねぇ、もっとさ・・・何か少年っぽかった!!」
そう言って笑うと、達也君もコーヒーを飲んで、
「由美はどっちが好き?」
って・・・・//////////
こんな風に言うキャラだったかって聞いてるのに!
なんか・・・前よりドキドキするかも。
「私は・・・以前の感じも好きだったけど・・・今の達也君はー・・・頼れて安心する・・・////////」
今まで男の人に甘えた事はあまりなかった。
翔太と付き合っていた時も、楽しかったけど・・・甘えたりしたことはあまりなかったかもな・・・。
達也君は笑って、
「えー・・・、じゃ、俺もうこのままこの感じで居ようかなー・・・」
そう言って笑ったんだ・・・。
「え??どっちが本当の達也君?」
私が言うと、
「どっちも本当だよ!でもー・・・・前はちょっと尖ってたのかもなー・・・。元々は俺、家族とか好きだし・・・こうやって皆で食事したり家の事やって過ごすの凄く好きなんだ!それに由美とはね・・・自分が格好つけないで一緒に居ると楽なんだ・・・・癒される」
・・・・・・・・//////////
「前は・・・そういう風には思わなかったの?」
私がそう言うと達也君は、
「前はね、年上のお姉さんをどうやって口説くかって事に必死でスッゴイ格好つけてばっかりいた!ここまで本気になったの、多分俺初めてだよ」
そう言った・・・・。
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