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それぞれのクリスマス2
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しおりを挟む東京・銀座
—和也side
拓海と一緒に選んだクリスマスプレゼントを助手席に置き、昨夜宿泊したホテルに荷物を引き取りに行き、その後ある場所に向かった。
そう、実家に行っていた夏樹を有楽町駅まで迎えに行く。
今夜は那覇行き最終の20時15分の便に乗る為、羽田直結のホテル内で食事の予定。
胡桃さんからもらったプレゼントは・・・・デスクの引き出しに閉まったまま、持ってこなかった。
胡桃さんに特別な感情を持った事は今まで一度もない。
彼女は・・・・俺がまだ新人時代から御贔屓にしてくれて、俺が空いていない時は、涼や淳、一樹や達也、湊、仁
を指名したこともある、本当に常連顧客様。
物腰も柔らかく、無理なことも言って来ないし比較的可愛らしい人だからスタッフの中でも人気はある人。
彼女から個人的な感情を持たれていると気付いたのは・・・もう大分前だ。
でも、ストーカーみたいに付きまとってきたりしてきたわけではないから俺も何も言わないでいた。
そんな事を考えながら有楽町に向かっていると、ピローン・・・とラインが鳴った。
ん???
信号待ちの間に携帯を見ると、見覚えのないアイコンの人物からのラインメッセージ。
そこには、
『和也君今日はプレゼント受け取ってくれてありがとう』
・・・・・・。
えっ???
『気が向いたらライン下さい』
・・・・・ッ???
『胡桃』
・・・・・・。
はぁっ?!何で胡桃さんがッ???
・・・・・・・。
まさか、この前携帯出た時・・・俺の番号見たとか??
でもあんなわずかな時間で??
・・・・・・。
はぁ・・・。
またややこしい事になりそうだな・・・・。
胡桃さんにはとりあえず返事はせず、そのまま夏樹との待ち合わせ場所近くに向かう。
会社からその待ち合わせの場所までは車で5分。
車通りが少ない裏道に車を止め、国際フォーラムの方に向かった。
携帯を見ると、
『今フォーラムの前の信号ーー!』
と、夏樹からのライン・・・。
俺は夏樹に電話を掛けながらクリスマスのイルミネーションが光る中歩き・・・・少し先にフォーラムが見えてきた・・・・。
『もしもし??今どの辺―???』
夏樹が楽しそうにそう言ったんだ・・・・。
「俺ももう近いよ、信号の手前ー・・・・」
そう言って顔を上げると・・・横断歩道の向こう側に・・・ベージュの綺麗なコートに・・・白い大判のストールを巻き・・髪を綺麗にアップした夏希が立っているのが見えた。
こうやって人混みの中夏樹を見ると・・・・改めてやっぱり可愛いって思う俺は・・・バカなのかな。
俺は手を上げ、
「夏樹こっち・・・横断歩道のこっち側に今いるよ・・・」
俺がそう言うと・・・夏樹はキョロキョロ周りを見渡し・・・俺を見つけるとニッコリ笑った・・・。
・・・・・・・ッ???
「あ・・・っ」
思わず俺は・・・声を上げた・・・。
夏樹が笑うその後ろに・・・・・人影が見えた。
「胡桃さん・・・!!」
思わずそう言ってしまうと・・・。
『え・・??何??』
・・・・・・・。
確かに見えた・・・。
夏樹のすぐ背後に・・胡桃さんの・・・姿・・・。
—夏樹side
信号が青になると和也君は向こうから走って来て、私はゆっくり歩きだした・・・。
その時・・・後ろから・・・・。
ドンッ・・と・・背中を押され・・・。
「きゃぁっ・・・」
声を上げて手をついて転んだの・・・・・。
「夏樹!!!」
ビックリした・・・・。
こんな風に転ぶなんて・・・・中々ないから、恥ずかしいのもあったし・・・何か膝も痛くて、頭が真っ白になった。
すると、直ぐに和也君が私を抱き上げ・・・・。
「夏樹、大丈夫??怪我は??」
直ぐに立たせてくれて、私の服に付いた砂を落としてくれた。
でもそれよりも・・・その時の和也君の焦った顔が・・・・気になったの。
「あ・・・うん・・・ちょっとぶつかっちゃって・・・・」
押された気がしたけど・・・まさかそんな事される覚えないし。
きっとみんな急いでて・・ぶつかった・・・・。
和也君は私の腕をグイッと掴んで、
「怪我無い???ちょっと一回座ろう・・・・」
そう言って私が歩いてきた横断歩道を戻って歩道にあったベンチに座らせてくれた。
和也君は私の脚を見て、
「タイツが切れちゃってるね・・・買いに行こう・・・まだ店はやってる」
優しく足を撫でてそう言った・・・。
「うん・・・あの・・・何かあった???」
なんか・・・いつもとは違う、和也君の顔。
私が首を傾げて言うと・・・和也君は一回黙って首を横に振った・・・。
—和也side
さっき確かに見えた・・・胡桃さんの姿・・・。
でも何でここに俺らが居るって・・・わかったんだ?
「和也君・・・????」
は・・・・っ
思わず上の空だった俺・・・。
夏樹は俺の前でパスタを美味しそうに食べながら、
「さっきから上の空・・・やっぱり何かあったんだ???」
「ごめん、・・・仕事のことで気になる事があって・・・。」
ダメだダメだ・・・。
夏樹と居るのに・・・違う女性の事を考えるなんて・・・。
しかも今夜から沖縄だし!!!
きっと大丈夫。
食事を終えると、夏樹は俺の方に小さな紙袋を差し出してきた・・・。
・・・・・・。
え・・・・。
その袋を見て・・・ドキッとした俺。
「沖縄に着いてから渡しても良かったんだけどさー・・・・皆こうやってレストランでよく渡すじゃない?一回やって見たかったのッ!!!」
夏樹はそう言って笑った。
俺はその紙袋を受け取って・・・まさかなとは思ったが・・・。
「ありがとう・・・良かったのに・・・」
そう言って中を漁った。
何か見覚えがある箱だけど・・・・まさかね・・・。
小さな箱を・・・開けると~・・・。
あ・・・・あ~・・・・あ・・・。
同じ・・・だ!!
置いてきてよかった・・・・。
中から出てきたのは・・・胡桃さんが俺にくれたものと全く同じの、ルイヴィトンのカードケース・・・。
「夏樹ありがとう!・・・大事に使う・・・・。」
昼間のあれが無ければ・・・マジで超嬉しかったのに・・・今はどう反応したらいいのか分からない俺。
でもそれは夏樹には全く関係はない・・・・。
—夏樹side
和也君・・・あんまりって感じだったかなー・・・。
カードケース、やめた方がよかったかな。
はぁ・・・ちょっと失敗。
ワイングラスを持ってグビッと飲むと・・・和也君は私の顔をジッと見つめ・・・
何々ッ????/////////
「よし、・・・行こうか」
えっ?!
あ、そっか!!飛行機の時間もあるしね、早く行かないと不味いよね!!
私は一回頷き、
「そうだね・・・時間間に合うかな??」
私がそう言うと・・・和也君は笑って私の手を取って・・・エスコートしてくれる・・・。
—和也side
まさか、レストランで夏樹がプレゼントをくれるとは思わなかった。
しかも、胡桃さんと同じカードケース。
いや、勿論夏樹がくれたものを使う。
当たり前だ。
凄く嬉しいはずなのに・・・・複雑。
やっぱり胡桃さんからの物は・・・返そう・・・・。
頭の中でそんな事を思いながら店を出て夏樹の手を引き歩いた。
でもさっき・・・あの交差点で見かけたのは・・・・絶対に胡桃さん。
人が凄くてはっきりとは見れなかったけど・・・夏樹を押したのも・・・胡桃さん。
「和也君・・・???」
・・・・・・。
少し顔を下に向けると、夏希が俺の顔をジッとしたから見つめた。
「あ、ごめん!!歩くの早かったね・・・」
俺が言うと夏樹は口を尖らし、
「早いし、なんか無言で怒ってるみたいッ!!!」
俺は夏樹と繋いでいた手を解き腰に手を回し、
「ごめんね、・・・早く沖縄行ってー・・・ゆっくりしたいなーって、先走っちゃった!」
俺がそう言うと、夏樹はプイっとそっぽを向いて
「嘘ばっかり!!!」
第3ターミナル直結のホテルから出て、入り口で預けていた荷物を受け取り夏樹の手を引いてチェックインカウンターへ。
夏樹はやっぱりご機嫌斜めだ。
まぁ、俺が悪いんだけどね・・・・。
でも最近はこういう夏樹の顔も可愛くて・・・見ているの凄く好き。
チェックインを済ませ荷物も預け身軽になると、夏樹は俺の顔をチラッと見てきて、
「ねぇ・・・・・」
って言って俺の手をブンブン振ってきた。
子供みたいで可愛い。
「どうしたの??」
俺がそう言って夏樹の顔を覗き込むと、夏樹は上目遣いで俺を見て・・・・、
「あれ・・・カードケース・・・嬉しくなかった?」
って・・・・そう言ったんだ。
夏樹・・・・・。
ごめんね、プレゼントは本当に嬉しかった。
なのに、胡桃さんに貰ったものと全く同じだったから・・・・ビックリしたってだけなんだ。
でもそれは、言う必要はないかなって思う。
「夏樹ごめん、プレゼント凄く嬉しかったよ・・・・」
そう言うと夏樹は
「開けた瞬間、ちょっと眉間にしわ寄ってたよ??」
ってー・・・・・!!
けっこう見てるねー・・・・・。
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