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俺の兄貴
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しおりを挟むその頃 東京
—幸助side
こんなに辛くて厳しい年末は・・・人生で初めてだったかもしれない。
でも少し前に和也が金を振り込んでくれて、生き延びた。
こうなったのは全て、アイツ等のせいだ。
美晴と、あの男が俺を苦しめた。
実家が火事になって、俺は警察に色々聞かれて・・・・マジで迷惑だった。
今はお袋が刑務所にいて、親父は何故かあの火事の日をきっかけに喋るようになりやがって・・・・和也が親父を良い病院に入れたんだ。
俺は・・・・家の敷地内にあるあの離れで過ごしている。
金もなくて、携帯代だってしょっちゅう止まって・・・・もうどうしたら良いか分からない。
でも、昨夜少しいいことがあった。
クリスマスの夜、俺はもう少し金を貰えないか銀座に行った・・・・が、いくら待っても和也は会社から出てこず・・・・。
すると、会社の前にいた警備員に『年内の業務は本日までなので明かりを全て消しますよ』と言われてしまった。
俺は慌てて、滝本和也の兄だと名乗り和也は帰ったか聞いたが・・・・警備員の男は『それは教えられませんが、もう設備のスタッフしか残っておりません』と言われたんだ。
仕方なく有楽町の方まで歩いて、駅の直ぐ近くのBARで1杯だけ飲んで帰ろうと思い店に入ったら・・・・少し可愛い女がカウンターで1人で飲んでたんだ。
その女は結構酔っぱらっていて、常連なのか飲みながらバーテンと結構デカい声で話をしている。
俺はその女と少し離れたカウンターに腰かけ、
「ジントニック・・・・」
そう言ってポケットに入れていた煙草を出し口に咥えた。
すると、
「でさぁー・・・・その和也君の彼女がね、またものすっごい・・・綺麗でさー・・・あのね、夏樹って名前なの・・・・スタイルも良くてね、モデルさんみたいでねぇ・・・・・」
って・・・・カウンターにいた女はテーブルにもたれながらそう言った。
え・・・・??
和也?
てか・・・・夏樹???
その女をジッと見ると、女はテーブルに伏せて
「私ね・・・・その夏樹さんのSNSまた見ちゃったんだー・・・・そうしたらさ・・・・・さっき羽田の写真上っててね・・・沖縄に行くっぽいの・・・・いいなぁ・・・・・」
って・・・そう言った。
沖縄????
まさか・・・やっぱりこの女が言ってる夏樹と和也って・・・俺の弟の和也と、美晴の親友の・・・あの気が強そうなあの夏樹??
バーテンはその女に水を出し、
「胡桃さん、胡桃さんも沖縄行っちゃったら??明日とかの便とってさ!」
そう言った。
すると、
「えー・・・・沖縄行ってもさ、一体どこに居るか分からないじゃん?」
と・・・・、確かに・・・・。
俺は気付いたら、その女とバーテンの会話に聞き耳を立てていた。
すると、その女は
「でもね、私さー・・・・・少し前に和也君の後輩の子と話したことがあってー・・・・年末年始、先輩たちがみんな沖縄に行くってそう言ってたのー・・・でさ、今日その会社が仕事納めでー・・・その翌日に出発する先輩もいて~ッて・・・聞いたんだよね」
と・・・・、言ったんだ。
皆で沖縄なんて・・・随分贅沢だな。
和也のやつ、俺を邪険に扱ったくせに自分は沖縄かよ。
くそ・・・・・・。
でも待てよ?
美晴が再婚したあの龍っていう男は・・・沖縄出身だったような・・・・。
美晴が以前勤めていた湘南のモールに最近行ったが・・・美晴もあの男ももうあそこでは働いていないよう。
もしかしてアイツら沖縄に引っ越したとか?
するとバーテンが、
「じゃ、明日羽田に行けばー・・・・誰か知ってる人いたりするんじゃないんですか?」
って・・・・・。
そうか・・・、なんでか知らんけど和也が勤めていた会社は・・・会社内のスタッフ同士仲が良いようで、以前も和也は沖縄に行ってたことがあったような・・・・。
他にも会社のやつと温泉に行ったりしていたから・・・もしかしたらあっちで皆で合流するとか?
すると、その女は酒をグビグビっと飲み
「えー・・・でもそこまでしたらマジでストーカーっぽくない?」
って笑った。
いやいや、もう既にストーカーだろ?
その女の持ち物を見ると、高そうなブランドバッグに・・・・高そうな時計。
この女・・・金持ってる??
でも、何繋がりで和也と知り合いなんだ?
俺は席を立ち、その女の方に少し近付いて
「お姉さん・・・・・和也の知り合いなの?」
そう言うと、その女は項垂れながら俺を見て
「そぉー・・・・・・何?アンタ和也君の事知ってるの?」
そう言って俺を品定めするように見てきた。
俺はその女の隣に座り、
「俺、和也の兄貴だよ!和也って・・・滝本和也でしょ?」
そう言うと、一瞬女は眉間にしわを寄せ・・・・俺を疑いの目で見てきた。
まぁ、血の繋がりは無いから顔は全く似てないしな。
俺は自分の免許証を出しその女に見せ、
「血の繋がりはない・・・親同士が再婚して俺達は連れ子同士だし・・・でも夏樹さんの事も知ってるし和也とも少し前に電話で話したよ」
そう言うと女は直ぐに目をパチパチさせて、
「えっ・・・・マジでお兄さんなの??」
そう言った・・・・。
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