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残った悪者たち
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しおりを挟む—真也side
達也さんが、入り口に居るのが見えた。
ダメだ・・・達也さんはここに来ちゃダメだ・・・。
由美さんと・・・明ちゃんと・・・お母さんの傍に居てください。
俺は拳をギュッと握って、
「金は今手元にはないから・・・・。一度ここを出よう・・・。」
そう言うと栄治はニヤッと笑って・・・俺に近づいてきて、
「直樹に金下しに行かせろよ・・・お前はここに居ろ・・・。」
・・・・・・ッ
俺は・・・栄治を睨み、
「200万って額だと本人確認があるかもしれない・・・。」
俺が言うと・・・栄治は俺の胸ぐらをつかみ、
「そうやって・・・また俺たちを追い出す気だろ?!」
・・・・・・。
「ここで揉めたくない・・・牧場の持ち主ももうすぐやって来る・・・・。」
俺がそう言うと、栄治は俺をジッと睨み・・・。
「・・・・1000万・・・1000万よこせ・・・・。」
そう言って笑う。
・・・・・・・。
「いい加減にしろ・・・。もうそんなに金はない・・・。」
ないわけじゃないけど・・・もう切りがない。
俺がそう言うと・・・栄治はニヤッと笑って、右手を振り上げ・・・・ボコッ!と・・・・俺の頬を殴った・・・・・。
—達也side
アイツッ!!!
俺が慌てて出て行こうとすると、背後から俺の腰を掴んでくる・・・凄い力。
えっ?!
振り返ると・・・。
・・・・・・。
えっ?!
・・・・・・今この人俺引っ張ったッ?!・・・・・・
ボコッボコッ!!!と・・・凄い音が聞こえ、また中を見ると・・・真也は馬乗りになられて殴られている。
俺はまたスコップを握って、真也を助けに行こうとすると
・・・・・・・・。
「止めんかッ!!!!」
と・・・、牛舎に響き渡る・・・かなり貫禄がある声。
その声は、いつも聞いている・・・聞きなれた・・・あの人の声。
真也に馬乗りになった男は一度殴るのを止め・・・振り返って・・・
「・・・なに・・・・???死に損ないのくそババァ・・・・。」
そう言って気味悪く笑う。
・・・・・・ッ!?
そう・・・。
俺の事を止めたのは、マツさんだった。
マツさんは俺を抑えて中に入って行き、
「死に損ないか・・・。なかなかお迎えが来ないもんでねぇ~・・・」
マ、マ、マ、マツさん!!!!そんなアイツ等に近づいたらマジでお迎え来ちゃうぞ!
—真也side
・・・・・・。
大して殴られてないのに久々だからか?
目が開けにくい。
少し体を起こすと、栄治の向こう側に・・・小さな・・・マツさん。
「あ・・・マツさ・・・・」
俺が声を上げると、マツさんはニッコリ笑って俺の顔をジッと見つめ、
「ほぉ・・・良い顔が台無しだなぁ」
そう言ったんだ。
・・・・・・・。
マツさんが・・・危ない・・・。
そう思っても体が動かない・・・。
タバコを吸っていた陽はニヤニヤ笑ってマツさんに近づき・・・顔を覗き込んだ・・・。
マツさん危ないッ!!!
「何だこのくそババァ・・・・死にたくなかったらあっち行けよ、ババァを抱く趣味もねーし・・・」
そう言うと・・・マツさんは、
「はっはっは~!!!笑わせるんじゃないよ、私だってお前たちみたいな不細工趣味じゃないッ!!!」
そう言った!!!
ゲゲッ・・・。
そんな事言ったら~ッ!マジでぶっ殺されるぞーー!!!!
すると奥から達也さんが出てきて・・・・陽がそれに気づき、陽はマツさんを掴み・・・・。
「何だとッ?!くそババァ、ぶっ殺してやる!!!」
そう言って、拳を振り上げた・・・。
思わず俺は・・・目を瞑ってしまった・・・。
マツさんはもう・・・90近い。
殴られたらきっと・・・・・。
すると、ドカドカドカ・・・・っと・・・ものすごい音がして・・・・・。
「うわぁぁああああああ~ッ!!!!!!!!!!!」
・・・・と・・・・
物凄い悲鳴。
・・・・・・・。
んっ?!この声・・・。
マツさんの声じゃ・・・ない。
・・・・・・・。
ゆっくり目を開けると・・・マツさんはさっきと変わらない場所に立って・・・手を叩いていた・・・。
その後ろで達也さんは口を大きく開けっぱなしでマツさんを見つめ、
陽は????
・・・・・。
陽は・・・牛の・・餌入れに尻を突っ込んだ状態で牛に顔を舐められて・・悲鳴を上げた。
俺の上に居た栄治は立ち上がり、
「何だくそババア・・・お前・・・何者だよ・・・・。」
そう言ってマツさんに近づいたんだ。
マツ・・・・さんっ?!
俺の後ろに居た直樹と直之は硬直し・・・俺に寄って来て肩を貸してくれた・・・。
すると、マツさんはニコッと笑い、
「さぁ、・・・黙ってあの不細工を連れて帰るか・・・お前も牛の餌になりたいか・・・どっちだい???」
—達也side
マツ・・・さんっ?!
・・・・・。
何あの・・・ばあちゃん。マジで何者?
真也に覆い被さっていた男は笑って、
「まぐれだろッ?!・・・おいくそババァ!!調子乗ってんじゃねぇよッ!!!」
そう言ってマツさんに襲い掛かった!!
「危ないッ!!!」
俺が言うと、
マツさんは・・・・まるで漫画の様に・・・・襲い掛かってきた男を掴み・・・・そのまま・・・。
超ーーーーーーーー・・・・綺麗な・・・・背負い投げ!!!!!
うーーーーーーーーわぉ!!!!
マジでしびれたッ!!!ドッカ――ん!!!と、凄い音を立てて・・・その男も牛のエサ入れに・・・・。
スゲェ・・・・。
—真也side
・・・・・・・///////////
マツさん・・・マツさんは・・・。
一体・・・。
俺が・・・ボーッとマツさんの姿を見ていると、マツさんは俺たちの方を見て・・・笑った。
そして黙ってまた2人の方へ行き、両手でそれぞれの胸ぐらを掴み・・・・。
「ほれ起きろ!!!・・・・」
そう言って2人を少し持ち上げた。
・・・・・・ッ?!
てか、スッゲー力・・・・。
栄治はマツさんの手を振りほどこうとしながら・・・・。
「おいくそババァ!!離せ!!!・・・・こんな臭いとこッもう出て行くから離せ!!」
そう言いながら餌箱から出れずにもがいている。
・・・・・・。
マツさんは栄治を掴み・・・グッと顔を寄せると、
「お前は牛乳やバターや・・牛肉も食わんのか???」
・・・・・・。
栄治は悔しそうな顔をして、
「生きてる臭い牛と・・・売ってる肉は違う!!こんな奴ら、食われるために生きてるんだ!!!」
・・・・・・・ッ?!
マツさんは栄治を餌入れから引っ張り出し、
「こっちに来い!!!」
ッッッ?!
マツさんは栄治を引きずったまま達也さんの横をスルーし・・・牛舎の裏に連れて行ってしまった・・・・・。
俺も慌てて直樹と直之に肩を借り外に出ると、達也さんも追いかけてきた。
一体何をするのかって思って見ていたら・・・・マツさんは牛舎の裏にあった・・・あの山。
イヤイヤ・・・まさかな・・・・いや!!まさかそれはぁ~・・・・と、思ったが・・・。
牛舎の裏に山積みになった・・・馬糞と牛糞、近くの農家さんが引き取りにくる・・・肥料の中に・・・マツさんは何のためらいもなく・・・・。
「うわっ!!やめろぉぉぉーーーーーー!!やめてくれ!!!」
栄治が泣きながら言うのも聞かず・・・・。
・・・・・・。
グチャッ!!!
「あっ・・・・・・・・」
思わず俺たちは声を揃えて言った・・・・。
栄治は・・・あっけなく・・・肥料の中に顔から落とされた。
マツさん・・・。
マツさんはやっと手を離し・・・後ろで手を組んで、肥料にまみれてやっと大人しくなった栄治を見ると、
「・・・真面目に更生を誓う人間を笑うな・・・・。」
そう言った。
・・・・・・・・。
マツ・・・さん・・・。
マツさんは俺たちを見て・・・ニッコリ笑い、また栄治を見て・・・。
「この子達は、私のかわいい孫同然・・・。お前らに傷つけられて堪るか・・・。」
・・・・・・・ッ
栄治はうつろな目でマツさんを見た。
「いいか?・・・・牛は・・この糞さえも役に立つ・・・神の動物・・・。お前の糞は役に立つのか???トイレに流すだけだろ??」
・・・・・・・。
「・・・・全てに感謝をし・・・生きるもの全てに・・・・敬意を持て。・・・そしてもう・・悪に染まるな・・・。」
・・・・・。
「悪に染まりそうになったら・・・・。」
・・・・・・。
「また私が、こうやってな??・・・身も心も洗ってやるから・・・」
ッッ?????
「今のお前はまだ・・・・糞以下じゃ!!!!!」
そう言って・・・笑った。
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