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余命宣告
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しおりを挟む美佳の口から言われたのは・・・・・。
「子宮癌のステージ4」
一瞬で・・・・・。
何もかもが聞こえなくなった。
ただただ、自分の目から・・・・涙が零れたのがわかった。
美佳は、ハンカチで目を抑え・・・・・。
「もうね、何年か前から様子が変だったの・・・でもそんな大事だと思わなくて病院行かなかったのよ」
美佳は笑ってそう言った。
・・・・・・。
「自分が悪いの・・・・。去年の夏に小さな病院で検査したら、精密検査受けた方がいいって言われてね・・・その後も仕事忙しくて大きな病院に行ったのは年末・・・・」
嘘・・・・・・・。
遠隔転移があり、手術ができないと・・・そう言われたと・・・・・・・。
美佳は、何度も目をハンカチで拭いて・・・・・。
「もうね・・・・治療法・・・ないのよ・・・」
そう言った・・・。
嘘だよ・・・・・。
なんで?
美佳・・・・・・。
「美佳・・・・そんなこと・・・・・」
でも何を言ったらいいのか分からないの。
美佳も私も、ただ・・・涙を拭いて・・・・・・。
拭いて・・・・拭いて・・・・。
「一樹に言った?」
涼は・・・泣いている美佳にそう言った。
美佳は首を横に振って下を向いたまま何も言わない。
一樹・・・・・・・。
そして、鼻を啜って・・・・・
「私は・・・もうダメだから、一樹と優樹に余計な想いを持ってほしくないの・・・」
余計な・・・想い・・・・・・。
涼はじっと美佳を見つめ・・・・・。
「会わないとダメだよ・・・・一樹には俺等からじゃなくて、美佳ちゃんからちゃんと話してやって・・・・・」
美佳・・・・・・・。
美佳は何度も頷いて、涙を拭いて・・・・・・・・。
「逢いたい・・・・・・・・」
そう言った・・・。
―美佳side
今年の2月、大学病院での細胞診検査結果が出て私の子宮に癌があることが分かった。
その後、1か月ほどかけ他に転移がないか・・・色々調べ、3月末に・・・全てがわかった。
その結果は最悪で、
『子宮癌ステージ4』
肺とリンパに転移が見られ、手術はできないと言われた。
抗がん剤をやっても必ずしも効果が出るかは分からないと言われた。
もし何もしなければ1年弱。
治療をして少しでも進行を遅らせることができるらしく、新薬の処方を4月から開始。
今もその薬は続けていて・・・でも日々体がだるくて、食欲もないし・・・目眩も酷い。
仕事は殆ど在宅でやっていたがもう限界。
このフェスを最後に・・・退職しようって決めた。
兄貴は私のせいで彼女との結婚を延期し、度々マンションに来て世話を焼いてくれる。けどね・・・それも凄く辛いの。
毎日、
結城に会いたかった。
毎日そう思ってたの・・・・・・。
結城からくる電話も、中々出れなくて・・・ワザと忙しいふりをしてLINEで返した。
一樹の事も恋しかった。
優樹の事も、忘れたことはなかった。
何度も写真を見て、何度も電話したくなってた。
でも出来なかったの。
一樹の・・・負担になりたくないの。
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