6 / 46
野宿の夜
しおりを挟む
ユルはにんまりと満足げな笑みを浮かべて頷き、火が高くなるまで待ち、大牙狼の肉塊を右手で掴む。
摩擦を解除、耐熱+5を付与。
勢いを増した炎の中へ右手を入れ、必要以上に口を尖らせながら口笛を吹き、肉塊が焼けるのを心待ちにし始める。
ふと、その顔が曇った。
「さぶい……」
肌に触れる空気の冷たさに、ユルは耐冷を解除していたことを思い出す。
だが、耐熱を解除すれば焼いた肉で体が温まるかな、それもいいな、と考え、久しぶりの寒さを享受することに決めた。
時間をかけて火を通したが、大牙狼の肉は繊維質で硬く、生臭かった。美味いとは言えない食事を終え、ユルは耐冷+3を付与。
ふと、大牙狼が潜んでいた穴の存在に気を留めた。
そういえば大牙狼は2匹で行動することが多い獣だったはず。まだ潜んでいるかも。
念のため中を確認すべきかと少し迷ったが、襲われたとしても、あの獣なら+3以上の剛性を付与しておけば傷にはならないはず。何より、面倒くさいしと、ユルは確認を行わずに大地へ背を預けた。
長い欠伸のあとに新月の月を眺め、ユルは県を巡る自分の旅に思いを巡らせ、物憂げな表情で深く長いため息を吐く。
国府資料館に納められている、把握されている県についての資料に記載されていた内容。
全県民が2つの巨大な“宿”で暮らす県、抽象的で意味がわからなかったが、県の総力を上げて“指輪”を育てている県。
2500メートルの高さをもつ、巨大という言葉では表現しきれない一枚岩の上に居を構えた県や、大船団を組んで世界の海を旅する県。
ユルにはもはや気が触れているとしか思えないが、獣の中でも危険度が飛び抜けて高い、単眼竜が住む沼のほとりに居を構えた県もあった。
(……移動する県なんて、探しようもないし)
間違いなく、苦労苦心の連続だろう。
ベッドで、できれば柔らかいベッドで眠る夜は幾つあるだろうか。
考えれば不安や不満は際限なく湧いてくる。
(やめよう。眠れなくなる)
座り直して頭と幹の間に枕を挟んでから、ユルはもういちど長いため息を吐く。
そのまま暫くの間、茫洋と月を眺めていたが、やがて深い眠りへと落ちていった。
***
小石のような雲が1つのみ浮かぶ、快晴に近い青空。
降り注ぐ柔らかな陽光に瞼の裏を刺激され、ユルは穏やかな気持ちで目覚めた。
起き抜けに日向でまどろむ猫のような欠伸をし、屈伸運動を繰り返す。
(よし、水浴びー)
興奮で少し鼻腔を膨らませたユルは、吹き抜ける風に水の匂いを嗅ぎとり、考える。
近くに川か沢があるはず。枕を押し込めた背嚢を背負い、風が吹き込んでくる方角へずんずんと進んでいく。
数分ほど歩くと、大人の足で4歩ほどの横幅がある川があった。
ユルは歩きながら器用に服を脱いでいき、川の側で背嚢を投げ捨て、全裸に。
まだ冷たい初春の水を両手で汲み取り、猫と例えられる顔に似つかわしくない、筋肉で引き締まった体に何度も浴びせかける。
水浴びを満喫し終え、麻袋に入った白い石鹸を背嚢から取り出し、水に浸した服を洗い始めた。
必要以上に唇を尖らせて口笛を吹きながら洗濯を終え、剛性を解除。
濡れた服と石鹸にそれぞれ速乾性と凝固性を+3で付与し、服の白さと石鹸の乾き具合に満足、したり顔で2つの強言を解除。
だがユルは突然、渋い顔になった。
(あー、首から上か……)
心の底から面倒くさそうに頭を水に浸し、手指で髪の毛の汚れを流す。
国府からの支給品に頭髪や体を洗える石鹸が入っていなかったことを思い出し、国府長に腹を立てながら。
仕上げの洗顔までを終えて、ふう、ひと仕事終えた、とため息を吐くユルの耳に、ふと人の声が飛び込んできた。
(んー?)
振り向いたユルの目に、底の深い容器を手にした数人の男女が映る。何かを議論しながら近づいてきた彼らもユルに気づき、その場で一斉に足を止めた。
「あ……」
生活に使われているのかと考え、かつ自分が全裸であることに非常の気まずさを感じたユルは、顔を歪めながら低く唸り、ほうぼうに跳ねた髪をするりと撫でる。
「きゃーっ!!」
栗毛の少女と母親らしき中年女性が両手で顔を覆い、鋭く叫んだ。これはまずい、面倒くさいことになると、ユルは大慌てで服を着ようと立ち上がる。
「アンタ、川で体を洗ったの? ちょっと……もう……勘弁してよ!」
中年女性が大股で近づき、大事な部分を隠しながら慌てて服を拾い集めるユルの目の前で大股を開いて立ち、腰に手を当てて続ける。
「この川の水はねえ……そう、使っている人もいるんだよ! アンタの汚い垢とか何とかを共有しろって? え?」
奥歯に何か詰まったような物言いではあったが、女性とは思えない野太い声。
迫力満点で圧力をかける女性に、どうにか服を着終えたユルは素直に事情を説明。自分が旅人であること、数日ぶりに水を見つけたので、何も考えずに使ってしまったことまでを伝え、そこから反撃に転じた。
「でもですね。そもそも、自由に使えない川なら看板か何かでそう教えておくべきじゃないですか? 僕のような旅人は知らないんですよ」
理は自分にあると確信を持つユルの横に薙いだ剣の軌道を思わせる細い目には、相手への挑発と批判の色が乗っていた。
「はいぃ? アンタさ、なに言ってんのよ? ここに入るとき、事務所で管理隊に注意されたでしょ!」
(……あー)
なるほど。わざわざ防護防護壁を越えなくても、どこかに管理事務所があったのか。まあ確かに、それが当然か。
中年女性の言葉から事態を察知し、ユルは渋い顔でぼりぼりと頭を掻くが、それでも旅人である自分への説明が足りないからこうなるのだと、素直に謝りはしなかった。
「防護防護壁を越えたので、事務所は通ってません。第一、そういう決まりがあるなら県に入るときにしっかり伝えてもらわないと……」
意地を張っていたが、ユルの声には少しずつ張りがなくなり、言い終えたころにはバツが悪そうに頭を掻きながら首部を垂れていた。
中年女性は相手が怯んだと見たのか、止めを刺さんとばかりにユルへ理詰めで迫り、最終的に何も反論できなくなったユルが頭を下げる形になった。
「最初からそうやって素直に謝りなさいよ。……それよりアンタ、管理隊の許可なしでここにいるんでしょ? ここは旅人が来るところじゃないし。今すぐ出て行ってよ」
ユルは薄い唇を真一文字に結んで不満を前面に押し出し、背嚢を背負う。
周囲を取り囲む県民たちの目に明確な敵意を感じながら、県民たちが来た道へと。
摩擦を解除、耐熱+5を付与。
勢いを増した炎の中へ右手を入れ、必要以上に口を尖らせながら口笛を吹き、肉塊が焼けるのを心待ちにし始める。
ふと、その顔が曇った。
「さぶい……」
肌に触れる空気の冷たさに、ユルは耐冷を解除していたことを思い出す。
だが、耐熱を解除すれば焼いた肉で体が温まるかな、それもいいな、と考え、久しぶりの寒さを享受することに決めた。
時間をかけて火を通したが、大牙狼の肉は繊維質で硬く、生臭かった。美味いとは言えない食事を終え、ユルは耐冷+3を付与。
ふと、大牙狼が潜んでいた穴の存在に気を留めた。
そういえば大牙狼は2匹で行動することが多い獣だったはず。まだ潜んでいるかも。
念のため中を確認すべきかと少し迷ったが、襲われたとしても、あの獣なら+3以上の剛性を付与しておけば傷にはならないはず。何より、面倒くさいしと、ユルは確認を行わずに大地へ背を預けた。
長い欠伸のあとに新月の月を眺め、ユルは県を巡る自分の旅に思いを巡らせ、物憂げな表情で深く長いため息を吐く。
国府資料館に納められている、把握されている県についての資料に記載されていた内容。
全県民が2つの巨大な“宿”で暮らす県、抽象的で意味がわからなかったが、県の総力を上げて“指輪”を育てている県。
2500メートルの高さをもつ、巨大という言葉では表現しきれない一枚岩の上に居を構えた県や、大船団を組んで世界の海を旅する県。
ユルにはもはや気が触れているとしか思えないが、獣の中でも危険度が飛び抜けて高い、単眼竜が住む沼のほとりに居を構えた県もあった。
(……移動する県なんて、探しようもないし)
間違いなく、苦労苦心の連続だろう。
ベッドで、できれば柔らかいベッドで眠る夜は幾つあるだろうか。
考えれば不安や不満は際限なく湧いてくる。
(やめよう。眠れなくなる)
座り直して頭と幹の間に枕を挟んでから、ユルはもういちど長いため息を吐く。
そのまま暫くの間、茫洋と月を眺めていたが、やがて深い眠りへと落ちていった。
***
小石のような雲が1つのみ浮かぶ、快晴に近い青空。
降り注ぐ柔らかな陽光に瞼の裏を刺激され、ユルは穏やかな気持ちで目覚めた。
起き抜けに日向でまどろむ猫のような欠伸をし、屈伸運動を繰り返す。
(よし、水浴びー)
興奮で少し鼻腔を膨らませたユルは、吹き抜ける風に水の匂いを嗅ぎとり、考える。
近くに川か沢があるはず。枕を押し込めた背嚢を背負い、風が吹き込んでくる方角へずんずんと進んでいく。
数分ほど歩くと、大人の足で4歩ほどの横幅がある川があった。
ユルは歩きながら器用に服を脱いでいき、川の側で背嚢を投げ捨て、全裸に。
まだ冷たい初春の水を両手で汲み取り、猫と例えられる顔に似つかわしくない、筋肉で引き締まった体に何度も浴びせかける。
水浴びを満喫し終え、麻袋に入った白い石鹸を背嚢から取り出し、水に浸した服を洗い始めた。
必要以上に唇を尖らせて口笛を吹きながら洗濯を終え、剛性を解除。
濡れた服と石鹸にそれぞれ速乾性と凝固性を+3で付与し、服の白さと石鹸の乾き具合に満足、したり顔で2つの強言を解除。
だがユルは突然、渋い顔になった。
(あー、首から上か……)
心の底から面倒くさそうに頭を水に浸し、手指で髪の毛の汚れを流す。
国府からの支給品に頭髪や体を洗える石鹸が入っていなかったことを思い出し、国府長に腹を立てながら。
仕上げの洗顔までを終えて、ふう、ひと仕事終えた、とため息を吐くユルの耳に、ふと人の声が飛び込んできた。
(んー?)
振り向いたユルの目に、底の深い容器を手にした数人の男女が映る。何かを議論しながら近づいてきた彼らもユルに気づき、その場で一斉に足を止めた。
「あ……」
生活に使われているのかと考え、かつ自分が全裸であることに非常の気まずさを感じたユルは、顔を歪めながら低く唸り、ほうぼうに跳ねた髪をするりと撫でる。
「きゃーっ!!」
栗毛の少女と母親らしき中年女性が両手で顔を覆い、鋭く叫んだ。これはまずい、面倒くさいことになると、ユルは大慌てで服を着ようと立ち上がる。
「アンタ、川で体を洗ったの? ちょっと……もう……勘弁してよ!」
中年女性が大股で近づき、大事な部分を隠しながら慌てて服を拾い集めるユルの目の前で大股を開いて立ち、腰に手を当てて続ける。
「この川の水はねえ……そう、使っている人もいるんだよ! アンタの汚い垢とか何とかを共有しろって? え?」
奥歯に何か詰まったような物言いではあったが、女性とは思えない野太い声。
迫力満点で圧力をかける女性に、どうにか服を着終えたユルは素直に事情を説明。自分が旅人であること、数日ぶりに水を見つけたので、何も考えずに使ってしまったことまでを伝え、そこから反撃に転じた。
「でもですね。そもそも、自由に使えない川なら看板か何かでそう教えておくべきじゃないですか? 僕のような旅人は知らないんですよ」
理は自分にあると確信を持つユルの横に薙いだ剣の軌道を思わせる細い目には、相手への挑発と批判の色が乗っていた。
「はいぃ? アンタさ、なに言ってんのよ? ここに入るとき、事務所で管理隊に注意されたでしょ!」
(……あー)
なるほど。わざわざ防護防護壁を越えなくても、どこかに管理事務所があったのか。まあ確かに、それが当然か。
中年女性の言葉から事態を察知し、ユルは渋い顔でぼりぼりと頭を掻くが、それでも旅人である自分への説明が足りないからこうなるのだと、素直に謝りはしなかった。
「防護防護壁を越えたので、事務所は通ってません。第一、そういう決まりがあるなら県に入るときにしっかり伝えてもらわないと……」
意地を張っていたが、ユルの声には少しずつ張りがなくなり、言い終えたころにはバツが悪そうに頭を掻きながら首部を垂れていた。
中年女性は相手が怯んだと見たのか、止めを刺さんとばかりにユルへ理詰めで迫り、最終的に何も反論できなくなったユルが頭を下げる形になった。
「最初からそうやって素直に謝りなさいよ。……それよりアンタ、管理隊の許可なしでここにいるんでしょ? ここは旅人が来るところじゃないし。今すぐ出て行ってよ」
ユルは薄い唇を真一文字に結んで不満を前面に押し出し、背嚢を背負う。
周囲を取り囲む県民たちの目に明確な敵意を感じながら、県民たちが来た道へと。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる