妹にすべてを奪われましたが、最愛の人を見つけました

桜月雪兎

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「何も決めずに君に婚約破棄を言うのは心苦しくてね。大丈夫、ルージュ伯爵・・・・・・先方・・とで話はついているから」
「ああ、アーノルド様が自ら手を尽くしてくださったのだ」
「貴女には勿体ないことですよ」
「よかったですね、お姉様」

これはどう考えても良くない話ですね。
王様と王妃様が頭を抱えています。

「アーノルド、お前はいったい誰に許可を貰ったのだ?」
「そうですわ。このようなことになりましたが、貴方は王太子なのですよ。その元になるとはいえ婚約者をどのように決めたのです?」
「はい。隣国オリフィア皇国です」
「「はっ?」」
「はい?」

どういう事です?
隣国オリフィア皇国と言えば我がグレンタス王国とはそこまで仲良くありませんよ?
歴史学などで習っているはずですのに?

「アーノルド、お前は自分が言っている意味を分かっているのですか?」
「勿論です、母上」
「なら、何故友好国でもないオリフィア皇国にリーシェン嬢を嫁がせることになる!それにオリフィア皇国の誰に嫁ぐことになってるのだ!」
「誰でもありません。リーシェンにはオリフィア皇国嫁いで貰うのです」
「な、なんと言うことを」

王妃様が倒れてしまいました。
私も倒れたいです。
国に嫁ぐということは最悪の場合幽閉され、全ての者の慰みものになる可能性があるということです。
所謂、国の所有物ですね。
人権などありません。
そういうことを分かって言っているのでしょうか?

「お前は自分が言っている意味を分かっているのか!!!!」

王様が本気でお怒りです。
今までの比ではありません。
もうこの場の私も含めて全員が震えています。
あ、王妃様は倒れられたままです。
誰もいませんし、誰にも気にする余裕がありません。

「父上?」
「国に嫁ぐと言うのは王族に嫁ぐと言うことではない!国の所有物となり、王族・貴族関係無く慰みものにされるということだ!そんなことを許したのか!!」
「い、いえ。相手は向こうについてから決めると言う話に」
「それは体の良い言い訳ではないか!何故相手までちゃんと決めなかった!!ルージュ伯爵もだ!!娘がそんな事になると考えつかなかったのか!!!!」
「あ、その」

王様、両親はむしろそれでも構わないと思っていますよ。
妹さえ幸せならそれで良い人たちなので。
流石に王様のこの迫力で私は一言もいえませんが。
いえ、まともに話せてる者がいません。

「今すぐに取り消さぬか!」
「無理です!リーシェンにはこの話が終わればすぐな旅立つよう手筈が整っていますし、向こうにも伝えているのです!!」
「なっ!?…………何てことを」

王様がまた頭を抱えました。
そうですよね、アーノルド王太子・・・様が動いてると言うことで、向こうは国同士の話としてとらえている筈です。
と言うより、私はこのまま追い出されるのですね。
これは完全な『国外追放』ですね。
私は何故ここまでされるのでしょうか?
しかも、アーノルド様に。
そこまで仲良くありませんが、悪くもなかった筈なのですが?


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