妹にすべてを奪われましたが、最愛の人を見つけました

桜月雪兎

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話は戻りーー

私はまじまじと自身の化けた姿を見ていました。
伯爵家にいたらあり得なかったであろう姿が目の前にあるのです。
はっきり言って驚きです。
人はこんなにも変われるのですね。

しかし、よくよく考えればこれも当たり前でしよう。
この歓迎会は謂わば私のお披露目会でしょう。

この国の所有物となるをお披露目し、決まり事を発表すると思われます。

どの位のまでの者が相手していいか、どんな事までしてもいいか等々ですね。

所有物を綺麗に着飾るのは当たり前ですね。
人前に出すのですから。
ましてや所有するのは国です。
綺麗にしないといけませんよね。

そんなことを私が考えていると護衛の方に呼ばれました。

「歓迎会の前に皇族の方々にご面会となりまして、その準備が整いました。ご案内いたします」
「はい」

私は護衛の方に連れられて応接室に向かいました。

応接室の扉の前には1人の男性が居ました。
とても綺麗なライトブラウンの髪に、切れ長の綺麗な桔梗のような色の瞳をしてます。
私は驚きました。

私でも知っているこの方はこの国の第一皇子であるルートヴィッヒ様です。

私を見ると優しく微笑まれました。

「貴女がリーシェン・ルージュ伯爵令嬢ですね」
「はい」
「お待ちしていました。こちらへ、皆が待っています」
「はい」

ルートヴィッヒ様はさりげなく私の手をとりエスコートしてくださりました。
あまりにもさりげなくて感心してしまいました。

扉の中に入りますとそこには皇族の方々がおられました。
上座に皇帝陛下、后妃陛下、左右の席には第二皇子であられるユザリヤ様、第三皇子であられるクルト様、第四皇子であられるラインハルト様です。

私はルートヴィッヒ様にエスコートされるまま、両陛下の前の席に案内されました。
座るように促され、一礼してから座られていただきました。

「リーシェン・ルージュ伯爵令嬢、遠路遥々よく来られた。道中大変であったであろう」
「皇帝陛下、お気遣いありがとうございます」
「リーシェン嬢、来られてすぐにこんな話をされるのは不快かもしれないが確認のために良いか?」
「はい?なんでしょうか?」

両陛下は何やら話しにくそうにされていました。
そして、話の内容から驚きと呆れと申し訳なさで私は一杯になりました。

両陛下の話とは今回の一件の事でした。

どうやらアーノルド様と両親は私を早くどうにかしたいと考えて話が中途半端なままだったようです。

オリフィア皇国としては私を誰に嫁がせるかまで決めてからのつもりだったようですが、両親やアーノルド様がそれはオリフィア皇国についてからでも良いと言われたみたいです。

友好国でもない隣国同士です。
この結婚次第では国同士の繋がりの架け橋にもなります。

それほど重要性のある話であるのに中途半端には出来ないと両陛下は進言されたみたいですが、私を早く追い出したいがために話し半分だったようですね。

何とも嘆かわしいです。

何より隣国に迷惑をかけるなどあってはなりません。
私の方が恥ずかしかったです。

と言うより、我が国の王様や王妃様にもあれほど心配をかけてしまっているのです。
どういたしましょう?
まずはこちらの非礼を詫びましょう!

「我が両親たちが申し訳ありません」
「リーシェン嬢が悪いわけではない」
「そうよ。貴女は悪くないわ」

こちらの両陛下もお優しい方々です。

「こちらとしてはルートヴィッヒにと考えている」
「どうかしら?」
「リーシェン嬢が決めてくれて構わない。本来なら顔合わせをして相性を考える方が良いのだが、すでにこちらに嫁がれた事になっているのでな」
「この後の歓迎会で正式に言う予定なの。勿論、リーシェン嬢が望むなら他の息子でもいいわよ」

なんと言うことでしょう。
相手を選ぶ権利を与えられてしまいました。

私はどうすればいいのでしょう?!


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