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「私は一目で貴女に恋慕してしまいました。貴女さえ良ければ私と一緒になってくださいませんか?」
私は今、何が起きたのか分かりません。
唐突に開いた大ホールの扉からオリフィア皇国の皇太子であるユリウス・オリフィア様が現れ、皇帝陛下をはじめ、皆さんをお叱りになりました。
そして、かの方は私に謝ってくださいました。
何だか展開が早すぎます。
そして、ユリウス様に頭を下げていただくほど私は出来た者ではありません。
ですが、何度も謝ってくださり労ってくださるユリウス様に感謝と喜びを感じてしまったのも事実です。
私はつい苦笑しながらユリウス様に頭を上げてくださるようにお願いしました。
そして、私とユリウス様ははじめて、お互いの顔を見ました。
ユリウス様はとても美しい方です。
天の光を全て集めたのではないかと思われるほどの金色の髪に全てを包む母なる海のごとき青い瞳をされ、正装越しにも分かるほどの無駄のない鍛えられたお姿をされています。
私は瞳を奪われてしまいました。
何でしょう?
私の胸がざわざわとし、動悸が速くなったように感じます。
何だか、顔や胸が熱くなったように感じます。
私がそんな自身の状態に戸惑っていると、ユリウス様は片ひざをつかれ、先程の言葉を言われました。
あ、あれはどういう意味でしょう?
い、いえ、分かっています、分かっているのですが……。
これはどうとらえれば良いのでしょうか?
先程の私なんかのために皆さんを一喝してくださる優しい方です。
私の現状に心を痛めてくださっての言葉かもしれません。
……いえ、違いますね。
それなら『一目惚れ』と聞こえる言葉は使わない筈です。
こ、言葉通りに受け取っても構わないのですかね?
そんなユリウス様が私なんかを。
私はどうして良いのか分からず、ユリウス様をジーっと見てしまいました。
かの優しい方の頬が少し赤みを帯びている気がします。
この方に今の私の思いを伝えましょう。
自身の状態も分からない私ですが、ユリウス様に偽りを言いたくありません。
それに私は最初に覚悟した国の所有物になるのではないと聞かされています。
皇帝陛下も皇族に嫁いだとはじめに言われましたから、良いですよね?
「ユリウス様、もったいないお言葉です。私はユリウス様にその様に言って頂ける程の者ではありません。ですが、ユリウス様が望んでくださるのなら、この手と御言葉を受け入れたく思います」
「ご自身を卑下する必要はありません。私はリーシェン嬢を心から望んでいます。私の手と言葉を受け取ってください」
「は、はい。慎んでお受けいたします」
私はユリウス様の手と御言葉を受け入れました。
どうしましょう、全身が熱くなりました。
私に片ひざをついていたユリウス様は立ち上がり、私を抱きしめ、包んでくださいました。
こ、こんなこと、両親にもしてもらったことありません!
「そういうことですので、兄上。私はリーシェン嬢と一緒になりますね」
私は今、何が起きたのか分かりません。
唐突に開いた大ホールの扉からオリフィア皇国の皇太子であるユリウス・オリフィア様が現れ、皇帝陛下をはじめ、皆さんをお叱りになりました。
そして、かの方は私に謝ってくださいました。
何だか展開が早すぎます。
そして、ユリウス様に頭を下げていただくほど私は出来た者ではありません。
ですが、何度も謝ってくださり労ってくださるユリウス様に感謝と喜びを感じてしまったのも事実です。
私はつい苦笑しながらユリウス様に頭を上げてくださるようにお願いしました。
そして、私とユリウス様ははじめて、お互いの顔を見ました。
ユリウス様はとても美しい方です。
天の光を全て集めたのではないかと思われるほどの金色の髪に全てを包む母なる海のごとき青い瞳をされ、正装越しにも分かるほどの無駄のない鍛えられたお姿をされています。
私は瞳を奪われてしまいました。
何でしょう?
私の胸がざわざわとし、動悸が速くなったように感じます。
何だか、顔や胸が熱くなったように感じます。
私がそんな自身の状態に戸惑っていると、ユリウス様は片ひざをつかれ、先程の言葉を言われました。
あ、あれはどういう意味でしょう?
い、いえ、分かっています、分かっているのですが……。
これはどうとらえれば良いのでしょうか?
先程の私なんかのために皆さんを一喝してくださる優しい方です。
私の現状に心を痛めてくださっての言葉かもしれません。
……いえ、違いますね。
それなら『一目惚れ』と聞こえる言葉は使わない筈です。
こ、言葉通りに受け取っても構わないのですかね?
そんなユリウス様が私なんかを。
私はどうして良いのか分からず、ユリウス様をジーっと見てしまいました。
かの優しい方の頬が少し赤みを帯びている気がします。
この方に今の私の思いを伝えましょう。
自身の状態も分からない私ですが、ユリウス様に偽りを言いたくありません。
それに私は最初に覚悟した国の所有物になるのではないと聞かされています。
皇帝陛下も皇族に嫁いだとはじめに言われましたから、良いですよね?
「ユリウス様、もったいないお言葉です。私はユリウス様にその様に言って頂ける程の者ではありません。ですが、ユリウス様が望んでくださるのなら、この手と御言葉を受け入れたく思います」
「ご自身を卑下する必要はありません。私はリーシェン嬢を心から望んでいます。私の手と言葉を受け取ってください」
「は、はい。慎んでお受けいたします」
私はユリウス様の手と御言葉を受け入れました。
どうしましょう、全身が熱くなりました。
私に片ひざをついていたユリウス様は立ち上がり、私を抱きしめ、包んでくださいました。
こ、こんなこと、両親にもしてもらったことありません!
「そういうことですので、兄上。私はリーシェン嬢と一緒になりますね」
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