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16 sideユリウス
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私は頭が痛いです。
昼間、書類仕事をしている私のもとに甥っ子であるルートヴィッヒから内密の手紙が届きました。
そこには私がつい頭を抱えてしまうほどの内容がかかれてました。
『ユリウス叔父上。
本日、隣国グレンタス王国よりリーシェン・ルージュ伯爵令嬢が我が国に嫁いできたのだが、相手が決まっていない。父上と母上はかの令嬢を射止めたものを次の皇帝にしようと策を巡らせている可能性が高い。弟たちも獲物を狙っているような瞳になっている。この状況では貴族たちにあらぬ意味に捉えられかねない。今夜、かの令嬢の歓迎会がある。どうか、忙しいだろうけど出席して欲しい。
ルートヴィッヒ』
こんなのは寝耳に水です!
まったく、兄上は何を考えているのやら。
いえ、分かっているのです。
兄上はルートヴィッヒたち、我が子に跡目を継いで貰いたいと。
しかし、私と言う皇太子がいてはそれが出来ない。
私も可愛い甥っ子たちです。
彼らの誰かが就くのを嫌だとは思いませんが、優秀であるルートヴィッヒことルーイですら不安が残ると言うのに。
ルーイは自身の足りない部分を分かって改善しているから良いですが、その他はまだまだひよっこもよいところです。
我が父上が何故十にも満たない私に皇太子としたのかすぐに分かりました。
兄上の足りない部分を補うためです。
弟たちはそういう所を受け継いでいるので心配です。
私は早急に書類仕事を終わらせ、屋敷に帰り、パーティー出席の用意をしました。
こういう時、皇太子で良かったと思います。
服装が定められていますので。
急でも対応できます。
そして、私がパーティーに入るとルーイがあんじたようにかの令嬢を獲物のように見る弟皇子たち、我が子を皇帝にするための道具のように見ている兄上と義姉上、憎悪・嫉妬・値踏み等の瞳で見る貴族たち。
私は情けないやら、恥ずかしいやら、腹立たしいやらで頭を抱えました。
とりあえず、全員を一喝しておきました。
ルーイは私が来て安堵したようです。
あの子は本当に兄上の子供かと言う程しっかりしていますが、私を頼るなどまだまだです。
それはそうと、兄上からの返事がありません。
「兄上?」
「ひっ!」
なんと情けない。
私の呼び掛けにそのような姿をさらすなど、まだまだ教育が足らないようですね。
一先ず、かの令嬢に謝罪しなくてはなりませんね。
私はかの令嬢ことリーシェン・ルージュ伯爵令嬢の方を向き、頭を下げました。
「この度は我が皇帝をはじめ、后妃、皇子たち、貴族たちが申し訳ありませんでした。貴方の不名誉には絶対にさせません」
「い、いえ。勿体ないです」
「いえいえ。我が国に来ていただいたのに何も段取りがなっておらず、このようなことになりました。本当に申し訳ありません」
「いえ……本当に私のような者に勿体ないです。お顔をおあげください。私は気にしていません」
私はリーシェン嬢に言われるまま顔をあげました。
どうやら、こちらの誠意は通じたようで安心しました。
そして、私は初めてリーシェン嬢を見ました。
そこには美しい女性がいました。
光輝く新雪のような白銀の髪は綺麗に結われ、朝露に濡れた若葉のような薄緑色の瞳は優しい。
少々痩せすぎであるように感じますが美しい女性です。
困り気味に微笑まれているリーシェン嬢に私の心は奪われてしまったようですね。
上座のルーイを見ますとしてやったりと言う顔をしています。
なるほど、本当にしてやられました。
ルーイ程私を知っている者はいませんね。
降参です。
私はルーイの策にはまったようです。
リーシェン嬢からは諦めと孤独、渇望するほどの愛情への飢え、自身を律する姿勢などを感じます。
私は愛情が重いようなので、私の愛を受け止め、潰れない相手でなければいけないので誰かと一緒になることは諦めていたのですがね。
リーシェン嬢、貴女が私を受け入れてくれるなら私は全てのものから貴方を守ります。
「先程の今で本当に申し訳ありません」
「いえ、ですから…」
私はリーシェン嬢が更に言おうとしている言葉を自身の唇に人差し指を持っていくことで防いだ。
リーシェン嬢が黙ったのを見計らって私はリーシェン嬢の前で片ひざをつき、その左手をとった。
「私は一目で貴女に恋慕してしまいました」
「っ?!」
「貴女さえ良ければ、私と一緒になってくださいませんか?」
「「「「「「「「っっ!!?」」」」」」」」
私のリーシェン嬢に対する愛の告白は全員の息を飲ませてしまったようですね。
さぁ、強引になってしまいましたが、リーシェン嬢のお気持ちを聞かせてください。
昼間、書類仕事をしている私のもとに甥っ子であるルートヴィッヒから内密の手紙が届きました。
そこには私がつい頭を抱えてしまうほどの内容がかかれてました。
『ユリウス叔父上。
本日、隣国グレンタス王国よりリーシェン・ルージュ伯爵令嬢が我が国に嫁いできたのだが、相手が決まっていない。父上と母上はかの令嬢を射止めたものを次の皇帝にしようと策を巡らせている可能性が高い。弟たちも獲物を狙っているような瞳になっている。この状況では貴族たちにあらぬ意味に捉えられかねない。今夜、かの令嬢の歓迎会がある。どうか、忙しいだろうけど出席して欲しい。
ルートヴィッヒ』
こんなのは寝耳に水です!
まったく、兄上は何を考えているのやら。
いえ、分かっているのです。
兄上はルートヴィッヒたち、我が子に跡目を継いで貰いたいと。
しかし、私と言う皇太子がいてはそれが出来ない。
私も可愛い甥っ子たちです。
彼らの誰かが就くのを嫌だとは思いませんが、優秀であるルートヴィッヒことルーイですら不安が残ると言うのに。
ルーイは自身の足りない部分を分かって改善しているから良いですが、その他はまだまだひよっこもよいところです。
我が父上が何故十にも満たない私に皇太子としたのかすぐに分かりました。
兄上の足りない部分を補うためです。
弟たちはそういう所を受け継いでいるので心配です。
私は早急に書類仕事を終わらせ、屋敷に帰り、パーティー出席の用意をしました。
こういう時、皇太子で良かったと思います。
服装が定められていますので。
急でも対応できます。
そして、私がパーティーに入るとルーイがあんじたようにかの令嬢を獲物のように見る弟皇子たち、我が子を皇帝にするための道具のように見ている兄上と義姉上、憎悪・嫉妬・値踏み等の瞳で見る貴族たち。
私は情けないやら、恥ずかしいやら、腹立たしいやらで頭を抱えました。
とりあえず、全員を一喝しておきました。
ルーイは私が来て安堵したようです。
あの子は本当に兄上の子供かと言う程しっかりしていますが、私を頼るなどまだまだです。
それはそうと、兄上からの返事がありません。
「兄上?」
「ひっ!」
なんと情けない。
私の呼び掛けにそのような姿をさらすなど、まだまだ教育が足らないようですね。
一先ず、かの令嬢に謝罪しなくてはなりませんね。
私はかの令嬢ことリーシェン・ルージュ伯爵令嬢の方を向き、頭を下げました。
「この度は我が皇帝をはじめ、后妃、皇子たち、貴族たちが申し訳ありませんでした。貴方の不名誉には絶対にさせません」
「い、いえ。勿体ないです」
「いえいえ。我が国に来ていただいたのに何も段取りがなっておらず、このようなことになりました。本当に申し訳ありません」
「いえ……本当に私のような者に勿体ないです。お顔をおあげください。私は気にしていません」
私はリーシェン嬢に言われるまま顔をあげました。
どうやら、こちらの誠意は通じたようで安心しました。
そして、私は初めてリーシェン嬢を見ました。
そこには美しい女性がいました。
光輝く新雪のような白銀の髪は綺麗に結われ、朝露に濡れた若葉のような薄緑色の瞳は優しい。
少々痩せすぎであるように感じますが美しい女性です。
困り気味に微笑まれているリーシェン嬢に私の心は奪われてしまったようですね。
上座のルーイを見ますとしてやったりと言う顔をしています。
なるほど、本当にしてやられました。
ルーイ程私を知っている者はいませんね。
降参です。
私はルーイの策にはまったようです。
リーシェン嬢からは諦めと孤独、渇望するほどの愛情への飢え、自身を律する姿勢などを感じます。
私は愛情が重いようなので、私の愛を受け止め、潰れない相手でなければいけないので誰かと一緒になることは諦めていたのですがね。
リーシェン嬢、貴女が私を受け入れてくれるなら私は全てのものから貴方を守ります。
「先程の今で本当に申し訳ありません」
「いえ、ですから…」
私はリーシェン嬢が更に言おうとしている言葉を自身の唇に人差し指を持っていくことで防いだ。
リーシェン嬢が黙ったのを見計らって私はリーシェン嬢の前で片ひざをつき、その左手をとった。
「私は一目で貴女に恋慕してしまいました」
「っ?!」
「貴女さえ良ければ、私と一緒になってくださいませんか?」
「「「「「「「「っっ!!?」」」」」」」」
私のリーシェン嬢に対する愛の告白は全員の息を飲ませてしまったようですね。
さぁ、強引になってしまいましたが、リーシェン嬢のお気持ちを聞かせてください。
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