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8、反省会
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ソウとアキが一息ついたところで城壁の所まで戻った。平原に留まるのは今のソウとアキには危ないので安全地帯である城壁付近に戻る必要があったのだ。
城壁の所に来た四人は二畳はありそうなレジャーシートを敷いて休憩兼反省会を行うことにした。
「…レジャーシート」
「おう、武器の整備をするのに欠かせないんだと」
「物がなくなりやすい…土がついてやりづらい」
「ユキ兄が整備するのな」
「生産職だからな。ほら、ユキに武器を渡せ。メンテナンスだ」
「「はーい」」
ユキは二人から武器を預かり、メンテナンスを始めた。道具なんかを広げているため一畳半ほどはユキの作業スペースで残りの半畳をレイたち三人が休憩するスペースとなった。
ユキが作業している間に三人は反省会を始めた。
「はじめての狩りはどうだった?」
「うーん、思った以上に攻撃が当たらなかった」
「うん。最初の矢も当らなかった」
「なんでだと思う?」
「「う~~ん」」
二人は先ほどの戦いを思い出しながら自分たちの悪かった面を思い出していた。
レイはそれを急かさずに待った。自分で考えていかないと次に繋がらないからだ。こういうのは色んな所で同様にいえる。結局は他人の言葉より自身の経験なのだ。
二人は話し合いをしながら考えていた。
レイはそんな二人を頬ましく、懐かしそうに見ていた。レイとユキもよくこうやってお互いの行動を振り返ってはどうするべきかを考えてきた。それはこのゲームに限らず、現実でもそうしてきた。
「う~ん、兄貴、やっぱり扱いなれない物だからかなぁ」
「僕もそう思う。弓には憧れていたけど、実際に使ったことはなかったし」
「まぁ、それもあるな」
「ちがう」
「「え?」」
二人は驚いた。
メンテナンスに集中しているのだろうと思ったユキから否定が来たからだ。話を聞いていたレイには苦笑されながらも肯定されたのにだ。
レイは急に口を挟んできたユキの方を見た。
相変わらず、メンテナンスをしているのにこちらの話を聞きながら話に入ってきている。器用なやつだと思いながらもちゃんと輪の中に入ってきているのに感心した。
実はメンテナンスを理由に輪に入らないだろうとレイは勝手に思っていた。そんなレイの考えが分かったのかユキは一度レイを睨んだ。
「……ソウは攻撃時敵をちゃんと見てない。動きを何パターンか予測、それに対処案を考える」
「う、うん」
「あと目測、剣の長さと相手までの長さを考慮」
「うん」
「スキル『闇魔術』を持っているなら使う」
「あ!そうだね」
「使える『闇魔術』確認しないとな」
「うん」
ユキはメンテナンスの手を休めずにソウの悪かった指摘した。どんなに自分で考えても答えが出ない時だってある、そういう時は先輩・先生の出番になるってことだ。
レイはユキがちゃんと教えに回っているのを微笑ましく見ている。
ユキは別に頭もまわるし、教えるのも下手ではない。だが、本人が他者と関わるのを嫌がっているのでそういうことが伝わらない。レイ以外の今のギルメン兼リア友たちはそういうユキの拒否オーラにも負けずに関わってきてユキの信頼を勝ち取った面子なのだ。
ソウは肩を落としながらレイに励まされていた。
ユキはそれを眼の端にとどめながら一瞬、アキを見た。
アキは寂しそうにしている。ユキからの助言はないとアキ自身思っている。そんなアキの姿を見てユキはレイの方を見た。
レイは顎でアキの方を指した。ユキにアキの助言もするように促したのだ。ユキはそれが分かり、一通りのメンテナンスが終わった二人の武器を置いて話し始めた。
「……弓は訓練が必要。だが、最初に当たらなかったのは気配消してない」
「気配?」
「何故、スキル『隠密』使わない」
「あ!」
「草食系の魔物は気配に敏感」
「気配を消せれば当たる?」
「弓は訓練。しっかりと狙い定める」
「はい!」
アキは嬉しそうにいい返事をした。
それを見たユキは目を見開いて驚いていた。レイはそんなユキのそばに行き、小声で話した。
「アキ自身はお前のことを尊敬してんだよ」
「は?」
「あいつは自他ともに認めるブラコンだからな」
「ブラコン?」
「ああ」
ユキはアキの方を見た。楽しそうにソウと次の狩りの作戦をたてている。
そんな二人をユキはしばらく見ていたが視線を落として渋い顔をしている。レイはそんなユキに苦笑し、肩を上げた。
ユキには分からないのだ。
ユキは狭い世界でしか行動してこなかった。この≪インフィニティ≫でリア友たちとギルドを立ち上げてから少しずつ交流は増えていっているがそれでも殻にこもりがちなのだ。
事実、作業部屋に籠ったユキを引っ張り出せるのは初期幹部たちだけだ。
ユキはメンテナンスの終わった二人の武器をレイに渡してから再度、装備を変更した。それに驚いたのはレイだった。
「え?ユキ」
「動く」
「は?」
「動く」
「そ、そう、ユキがいいならいいけど」
レイが慌てるのも仕方ない。今のユキの装備は冒険者の服(上・下)、冒険者のロングブーツ、木の双剣っていう初期装備だ。レイにはユキが何しようとしているのか分かった。ユキは実際にやって見せようというのだ。
「おーい、二人とも、ユキが例を見せてくれるんだと」
「「え?」」
「弓はできない。剣は似たようなもの。右を剣、左を盾。技術は使わない」
「「う、うん」」
「ユキは双剣士だからファイターのように盾は使えない。だから、左手の剣を盾に見立ててやってくれるらしいよ。しっかりと見て参考にするように」
「「はーい」」
「あ、それとここでのファイターと剣士の違いは盾が使えるかどうかだ。ファイターは片手剣と盾を使えるが剣士が片手剣か両手剣しか使えない」
「あ、そういう違い?」
「ああ、だけど、この違いは後々に大きな違いになって出てくる。こういえば分るか?剣士はアタッカーでファイターはタンクだ」
「「ああ!」」
二人はレイの説明でわかった。
ユキはため息をついた。レイが説明している間にメンテナンス道具をしまい、二人の武器をよけて、レジャーシートもしまった。そうして、準備が出来た所で平原に向かって進み始めた。
「メンテ、終わった。行く」
「ちょっ!だから待てって!ほら、武器を回収しろ」
「ああ」
「兄さん、待って」
三人はユキを追いかけて行った。
城壁の所に来た四人は二畳はありそうなレジャーシートを敷いて休憩兼反省会を行うことにした。
「…レジャーシート」
「おう、武器の整備をするのに欠かせないんだと」
「物がなくなりやすい…土がついてやりづらい」
「ユキ兄が整備するのな」
「生産職だからな。ほら、ユキに武器を渡せ。メンテナンスだ」
「「はーい」」
ユキは二人から武器を預かり、メンテナンスを始めた。道具なんかを広げているため一畳半ほどはユキの作業スペースで残りの半畳をレイたち三人が休憩するスペースとなった。
ユキが作業している間に三人は反省会を始めた。
「はじめての狩りはどうだった?」
「うーん、思った以上に攻撃が当たらなかった」
「うん。最初の矢も当らなかった」
「なんでだと思う?」
「「う~~ん」」
二人は先ほどの戦いを思い出しながら自分たちの悪かった面を思い出していた。
レイはそれを急かさずに待った。自分で考えていかないと次に繋がらないからだ。こういうのは色んな所で同様にいえる。結局は他人の言葉より自身の経験なのだ。
二人は話し合いをしながら考えていた。
レイはそんな二人を頬ましく、懐かしそうに見ていた。レイとユキもよくこうやってお互いの行動を振り返ってはどうするべきかを考えてきた。それはこのゲームに限らず、現実でもそうしてきた。
「う~ん、兄貴、やっぱり扱いなれない物だからかなぁ」
「僕もそう思う。弓には憧れていたけど、実際に使ったことはなかったし」
「まぁ、それもあるな」
「ちがう」
「「え?」」
二人は驚いた。
メンテナンスに集中しているのだろうと思ったユキから否定が来たからだ。話を聞いていたレイには苦笑されながらも肯定されたのにだ。
レイは急に口を挟んできたユキの方を見た。
相変わらず、メンテナンスをしているのにこちらの話を聞きながら話に入ってきている。器用なやつだと思いながらもちゃんと輪の中に入ってきているのに感心した。
実はメンテナンスを理由に輪に入らないだろうとレイは勝手に思っていた。そんなレイの考えが分かったのかユキは一度レイを睨んだ。
「……ソウは攻撃時敵をちゃんと見てない。動きを何パターンか予測、それに対処案を考える」
「う、うん」
「あと目測、剣の長さと相手までの長さを考慮」
「うん」
「スキル『闇魔術』を持っているなら使う」
「あ!そうだね」
「使える『闇魔術』確認しないとな」
「うん」
ユキはメンテナンスの手を休めずにソウの悪かった指摘した。どんなに自分で考えても答えが出ない時だってある、そういう時は先輩・先生の出番になるってことだ。
レイはユキがちゃんと教えに回っているのを微笑ましく見ている。
ユキは別に頭もまわるし、教えるのも下手ではない。だが、本人が他者と関わるのを嫌がっているのでそういうことが伝わらない。レイ以外の今のギルメン兼リア友たちはそういうユキの拒否オーラにも負けずに関わってきてユキの信頼を勝ち取った面子なのだ。
ソウは肩を落としながらレイに励まされていた。
ユキはそれを眼の端にとどめながら一瞬、アキを見た。
アキは寂しそうにしている。ユキからの助言はないとアキ自身思っている。そんなアキの姿を見てユキはレイの方を見た。
レイは顎でアキの方を指した。ユキにアキの助言もするように促したのだ。ユキはそれが分かり、一通りのメンテナンスが終わった二人の武器を置いて話し始めた。
「……弓は訓練が必要。だが、最初に当たらなかったのは気配消してない」
「気配?」
「何故、スキル『隠密』使わない」
「あ!」
「草食系の魔物は気配に敏感」
「気配を消せれば当たる?」
「弓は訓練。しっかりと狙い定める」
「はい!」
アキは嬉しそうにいい返事をした。
それを見たユキは目を見開いて驚いていた。レイはそんなユキのそばに行き、小声で話した。
「アキ自身はお前のことを尊敬してんだよ」
「は?」
「あいつは自他ともに認めるブラコンだからな」
「ブラコン?」
「ああ」
ユキはアキの方を見た。楽しそうにソウと次の狩りの作戦をたてている。
そんな二人をユキはしばらく見ていたが視線を落として渋い顔をしている。レイはそんなユキに苦笑し、肩を上げた。
ユキには分からないのだ。
ユキは狭い世界でしか行動してこなかった。この≪インフィニティ≫でリア友たちとギルドを立ち上げてから少しずつ交流は増えていっているがそれでも殻にこもりがちなのだ。
事実、作業部屋に籠ったユキを引っ張り出せるのは初期幹部たちだけだ。
ユキはメンテナンスの終わった二人の武器をレイに渡してから再度、装備を変更した。それに驚いたのはレイだった。
「え?ユキ」
「動く」
「は?」
「動く」
「そ、そう、ユキがいいならいいけど」
レイが慌てるのも仕方ない。今のユキの装備は冒険者の服(上・下)、冒険者のロングブーツ、木の双剣っていう初期装備だ。レイにはユキが何しようとしているのか分かった。ユキは実際にやって見せようというのだ。
「おーい、二人とも、ユキが例を見せてくれるんだと」
「「え?」」
「弓はできない。剣は似たようなもの。右を剣、左を盾。技術は使わない」
「「う、うん」」
「ユキは双剣士だからファイターのように盾は使えない。だから、左手の剣を盾に見立ててやってくれるらしいよ。しっかりと見て参考にするように」
「「はーい」」
「あ、それとここでのファイターと剣士の違いは盾が使えるかどうかだ。ファイターは片手剣と盾を使えるが剣士が片手剣か両手剣しか使えない」
「あ、そういう違い?」
「ああ、だけど、この違いは後々に大きな違いになって出てくる。こういえば分るか?剣士はアタッカーでファイターはタンクだ」
「「ああ!」」
二人はレイの説明でわかった。
ユキはため息をついた。レイが説明している間にメンテナンス道具をしまい、二人の武器をよけて、レジャーシートもしまった。そうして、準備が出来た所で平原に向かって進み始めた。
「メンテ、終わった。行く」
「ちょっ!だから待てって!ほら、武器を回収しろ」
「ああ」
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