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9、見本
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ユキを追いかけて行ってソウとアキはユキの装備が変わっていることに気付き、レイを見た。レイはそれに対して苦笑した。
「ユキは初期装備をいまだに保管しているんだよ」
「何のために?」
「この紙装備でどこまでやれるか、自身の実力を測るためにな。装備や武器やアクセサリーの効果も大事だが、それを除いた実力を知っておきたいらしい」
「すっげー」
ユキはあたりを見渡してさっきと同じようにランビーを標的にした。
ランビーの前に行き、剣を向けた。数匹は逃げたが一匹のランビーは攻撃態勢に入った。
「相手をしっかり見る」
ユキはそういうと向かってきたランビーから目を離さずに横に動くだけでその攻撃を避けた。それを何度か繰り返していく。
ソウとアキはその動きを見ていた。
「避けきれない時、盾」
ユキは言うや否や盾代わりの剣の方を使ってランビーの攻撃を防いだ。
ソウとアキはそれに驚いた。盾代わりにしているとはいえ剣だ、面積の問題で普通なら防ぎきれない。だけど、ユキは本当に盾の要領で攻撃を防いでいる。
「行動が見切れたり、相手の動きが鈍くなったら攻撃」
ユキはスタミナが落ちて動きが鈍くなったらランビーに一線切り裂いた。
そうするとランビーはHP切れで光の粒子になり、アイテムに変わった。ユキはすかさずアイテムをインベントリにしまった。
レイは感心し、ソウとアキは驚いていた。
紙装備でもユキ自身のステータスが高いから一撃で終わらせれたのだ。
「アイテムは一定時間を過ぎると無くなるからなるべくすぐに回収する方がいいぞ。二人ともわかったか?」
「ユキ兄がすごすぎるのは分かった」
「兄さん、すごい」
「おいおい、せっかくユキが見本見せてくれたんだから、それを活かせよ」
「分かってるよ。分かっててもユキ兄がすごいって思っちまうだろ」
「まぁ、そこは俺も否定しない。よくこの紙装備とステップだけでやれるもんだ」
三人が話をしている間にユキは水筒から水を飲み、給水値を回復させた。
ユキは一応、周りを警戒しながら三人を見ていた。特に問題はないし、ファース平原は初期のモンスターしか出ないので問題は起こりにくいが、ファース平原の東方向にあるガガル森林には20~30ぐらいのモンスターが出ることがあり、稀に挑んだはいいが力不足でこっちまで逃げてくる者がいる。
そういう者が他プレイヤーと接触してモンスターの標的が変わってしまい戦闘に入るはめになる、いわゆるMPKと言われる最低行為だ。
実は最近このあたりでその事件が多発している。
MPKを仕掛ける方はうまい具合に姿が見られておらず、常習犯の可能性がレスに報告されている。
初めてプレイするヤツをカモにしているのだ。
「ユキ兄はステップだけで躱したって言っていたけど、それってスキル『受け流し』のこと?」
「そうだ。行動スキルなので宣言しなくても大丈夫だぞ」
「なるほど、そこまでうまくいかなくてもちょっと方向を変えたり、盾を使って流してもいいかも」
「あ!そうだね。僕は兄さんに言われたように『隠密』で気配を消してから放ってみるよ。練習あるのみだもんね!」
「そうだな、二人の方向性が決まったところでもうちょっと狩りを続けるか。なぁ、ユキ。ユキ?」
レイはユキを見て不審に思った。
一点を見て反応しないユキに違和感を覚えたのだ。それはソウもアキも同じだった。二人はお互いを見てからユキを見た。ユキは視線を離さずにレイに言った。
「来る」
「来るって何が?」
「ガガル森林のモンスター」
「はぁ?!」
「数人のプレイヤーが引き連れてる」
「例のMPKか?!」
「ああ、二人を」
「え?ユキ兄?兄貴?」
「兄さん?レイ兄?」
レイはユキに言われ、一回頷くとソウとアキを連れてその場からできるだけ離れた。いきなりのことにソウとアキは驚き、ユキとレイを交互に見ている。
「お前たちは俺の後ろにいろ。危ないぞ」
「いったい何が?」
「MPKって分かるか?」
「うん、こういうゲームで最低なマナー違反行為の一つだろ?」
「最近増えているんだよ。それも意図的にやっているのが」
「「え?!」」
「だから、お前たちは俺から離れないようにな。俺がお前たちを守るから」
「でも、兄さんが!」
「いい機会だから、ユキの本当の実力を見ておけ。大丈夫、ガガル森林のモンスターが複数攻めてきてもユキの敵じゃない」
レイがそう不敵に笑いながら言うのでソウとアキは不安になりながらも見守ることにした。
実際、二人が行ったところで足手まといになるのは目に見えているからだ。
ユキは三人が距離を取ったのを確認して、装備を変更した。ファース平原に最初に来た時に着ていた漆黒の薔薇(黒金)シリーズにだ。
「来た」
ユキがつぶやくとそこには土煙を巻き上げてこっちに迫ってくるモンスターの群れが見えてきた。
小さい影が数人横にそれるのをユキは確認していた。
それを見たユキは不敵に笑いながら双剣を構えた。
「ユキは初期装備をいまだに保管しているんだよ」
「何のために?」
「この紙装備でどこまでやれるか、自身の実力を測るためにな。装備や武器やアクセサリーの効果も大事だが、それを除いた実力を知っておきたいらしい」
「すっげー」
ユキはあたりを見渡してさっきと同じようにランビーを標的にした。
ランビーの前に行き、剣を向けた。数匹は逃げたが一匹のランビーは攻撃態勢に入った。
「相手をしっかり見る」
ユキはそういうと向かってきたランビーから目を離さずに横に動くだけでその攻撃を避けた。それを何度か繰り返していく。
ソウとアキはその動きを見ていた。
「避けきれない時、盾」
ユキは言うや否や盾代わりの剣の方を使ってランビーの攻撃を防いだ。
ソウとアキはそれに驚いた。盾代わりにしているとはいえ剣だ、面積の問題で普通なら防ぎきれない。だけど、ユキは本当に盾の要領で攻撃を防いでいる。
「行動が見切れたり、相手の動きが鈍くなったら攻撃」
ユキはスタミナが落ちて動きが鈍くなったらランビーに一線切り裂いた。
そうするとランビーはHP切れで光の粒子になり、アイテムに変わった。ユキはすかさずアイテムをインベントリにしまった。
レイは感心し、ソウとアキは驚いていた。
紙装備でもユキ自身のステータスが高いから一撃で終わらせれたのだ。
「アイテムは一定時間を過ぎると無くなるからなるべくすぐに回収する方がいいぞ。二人ともわかったか?」
「ユキ兄がすごすぎるのは分かった」
「兄さん、すごい」
「おいおい、せっかくユキが見本見せてくれたんだから、それを活かせよ」
「分かってるよ。分かっててもユキ兄がすごいって思っちまうだろ」
「まぁ、そこは俺も否定しない。よくこの紙装備とステップだけでやれるもんだ」
三人が話をしている間にユキは水筒から水を飲み、給水値を回復させた。
ユキは一応、周りを警戒しながら三人を見ていた。特に問題はないし、ファース平原は初期のモンスターしか出ないので問題は起こりにくいが、ファース平原の東方向にあるガガル森林には20~30ぐらいのモンスターが出ることがあり、稀に挑んだはいいが力不足でこっちまで逃げてくる者がいる。
そういう者が他プレイヤーと接触してモンスターの標的が変わってしまい戦闘に入るはめになる、いわゆるMPKと言われる最低行為だ。
実は最近このあたりでその事件が多発している。
MPKを仕掛ける方はうまい具合に姿が見られておらず、常習犯の可能性がレスに報告されている。
初めてプレイするヤツをカモにしているのだ。
「ユキ兄はステップだけで躱したって言っていたけど、それってスキル『受け流し』のこと?」
「そうだ。行動スキルなので宣言しなくても大丈夫だぞ」
「なるほど、そこまでうまくいかなくてもちょっと方向を変えたり、盾を使って流してもいいかも」
「あ!そうだね。僕は兄さんに言われたように『隠密』で気配を消してから放ってみるよ。練習あるのみだもんね!」
「そうだな、二人の方向性が決まったところでもうちょっと狩りを続けるか。なぁ、ユキ。ユキ?」
レイはユキを見て不審に思った。
一点を見て反応しないユキに違和感を覚えたのだ。それはソウもアキも同じだった。二人はお互いを見てからユキを見た。ユキは視線を離さずにレイに言った。
「来る」
「来るって何が?」
「ガガル森林のモンスター」
「はぁ?!」
「数人のプレイヤーが引き連れてる」
「例のMPKか?!」
「ああ、二人を」
「え?ユキ兄?兄貴?」
「兄さん?レイ兄?」
レイはユキに言われ、一回頷くとソウとアキを連れてその場からできるだけ離れた。いきなりのことにソウとアキは驚き、ユキとレイを交互に見ている。
「お前たちは俺の後ろにいろ。危ないぞ」
「いったい何が?」
「MPKって分かるか?」
「うん、こういうゲームで最低なマナー違反行為の一つだろ?」
「最近増えているんだよ。それも意図的にやっているのが」
「「え?!」」
「だから、お前たちは俺から離れないようにな。俺がお前たちを守るから」
「でも、兄さんが!」
「いい機会だから、ユキの本当の実力を見ておけ。大丈夫、ガガル森林のモンスターが複数攻めてきてもユキの敵じゃない」
レイがそう不敵に笑いながら言うのでソウとアキは不安になりながらも見守ることにした。
実際、二人が行ったところで足手まといになるのは目に見えているからだ。
ユキは三人が距離を取ったのを確認して、装備を変更した。ファース平原に最初に来た時に着ていた漆黒の薔薇(黒金)シリーズにだ。
「来た」
ユキがつぶやくとそこには土煙を巻き上げてこっちに迫ってくるモンスターの群れが見えてきた。
小さい影が数人横にそれるのをユキは確認していた。
それを見たユキは不敵に笑いながら双剣を構えた。
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