17 / 23
一章 終わりから始まりへ
照れ隠しで咄嗟についてしまった嘘だった【クリム視点】
しおりを挟む
オリビアが可愛すぎて辛い。
何故こんなに可愛いのだ。
スライムに似ている髪が好き? わたしは阿呆か。そんなわけないだろう。
照れ隠しで咄嗟についてしまった嘘をまさかオリビアが納得するとは思わなかったのだ。
まぁ、それはそれで可愛いのだが。
ーー今更言えぬ。一目惚れしたなどと。
弱っているスライムを助けてもらったお礼をしに王宮の客間(事前に調べた)に行くと、驚いた。
服は若干ボロボロだというのに、目を引くほど美しい水色の髪。白く透明感がある肌。
なのだが、誰かに暴力を振るわれているのだろう。
肌からは痣が何ヶ所もある。幸い顔には怪我がないのだが、それでも痛々しい。
周りから雑に扱われているせいか自尊心は無さそうに常にビクビクしている。
護ってやりたいと思うほど、愛くるしいと思った。だからまずはその自尊心を強く持ってほしくて声をかけたのが始まりだった。
けれど話してみれば自分がどうしたいのか、考えるのを諦めて現状から逃げているだけだった。
深く話を聞いてみれば今が辛いことを理解したようだった。それでこのままじゃ終わりたくないというオリビアの願いを組み、提案させてもらった。
「魔王城をお前の好きに使うといい。全てが終わったその時はわたしの好きにさせてもらおう」
そう、それがわたしの精一杯の告白だった。
言い切ってから無性に恥ずかしくなり、ついつい付け足してしまう。
「お前のその髪は、スライムのようでとても惹かれてしまう」
何故、そんな嘘をついてしまったのか。スライムに似てるとは思っていないというのに。
寧ろ、原石のように磨けば輝きを増すであろう水色の髪は、バサバサ感はあるものの透明感があり、どこか儚くも美しさがある。スライムに似てるというよりも水のようだと感じてしまった。
それを一目惚れという人生で初めての経験だったとはいえ、緊張と恥ずかしさのあまり『スライムに似てる』等と、失言してしまうとは。
今は後悔でしかない。
だが、オリビアは違う風に解釈してどこか納得している様子だ。
「なるほど。復讐の為に魔王城を使うかわりに、復讐が終われば私の命を貰うということですね。わかりました、その契約で大丈夫です」
なぜ……そうなったのだ!? 内心焦って訂正しようとしたが、今更好きだとか愛してるとかハッキリと言葉にするのが恥ずかしかった為、それで了承した。
血の契約までされてしまっては何も言えない。
それから、
処刑ギリギリでなんとか瞬間魔法を使った。
ドラゴンのヨダレがついていたことに自分の不甲斐なさが身に染みて、急いで洗い流そうとした。
ドワーフ村では、長の家でオリビアがトラウマになっているであろうドラゴンの造りものが襲いかかってきた。
さらに吼える息でオリビアのフードがめくれてしまい、美しい水色の髪が見えてしまった。(今では、バサバサだったのが艶があり、透明感がある美しい髪質となっている。傷んだ髪用に調合した薬のおかげだな)
ドラゴン如きにもう二度とオリビアを汚されたくはないと思うと我を忘れていた。
オリビアは可愛くて美しい。だから、可愛い姿を誰にも見せたくはなかった。
そもそも外出されるのが嫌だというのに。
オリビアに嫌われたくないので渋々承諾しただけの事。オリビアは可愛いのだ。悪い虫がついたらどうする。
武器屋が気になって立ち止まるオリビアも可愛かったのだが、何よりも許せないのは足下を見て高値で売りつけようとした店主だ。
オリビアが落ち込みながら外に行くのを見届けた後、店主を軽く脅した。
店主はみるみるうちに青ざめ、震えながらもオリビアが気になっていた武器をわたしに渡してくれた。
外へ行くと、オリビアは顔を青くしていた。何故だ? と思っていると、妖精のイタズラでオリビアの悪評を直接聞いてしまったのだと理解した。
そっと頭に触れれば驚いたオリビアがわたしを見た。
嗚呼……、驚いたオリビアも可愛い。
武器を渡すと、ほのかに笑うオリビアが可愛らしく、抱き締めたい衝動を必死に抑えて歩き出した。
顔がニヤケているだろうが、それも仕方の無いこと。
何故なら、こんなに可愛い子と一緒にいて、ニヤケない方がおかしいのだから。
何故こんなに可愛いのだ。
スライムに似ている髪が好き? わたしは阿呆か。そんなわけないだろう。
照れ隠しで咄嗟についてしまった嘘をまさかオリビアが納得するとは思わなかったのだ。
まぁ、それはそれで可愛いのだが。
ーー今更言えぬ。一目惚れしたなどと。
弱っているスライムを助けてもらったお礼をしに王宮の客間(事前に調べた)に行くと、驚いた。
服は若干ボロボロだというのに、目を引くほど美しい水色の髪。白く透明感がある肌。
なのだが、誰かに暴力を振るわれているのだろう。
肌からは痣が何ヶ所もある。幸い顔には怪我がないのだが、それでも痛々しい。
周りから雑に扱われているせいか自尊心は無さそうに常にビクビクしている。
護ってやりたいと思うほど、愛くるしいと思った。だからまずはその自尊心を強く持ってほしくて声をかけたのが始まりだった。
けれど話してみれば自分がどうしたいのか、考えるのを諦めて現状から逃げているだけだった。
深く話を聞いてみれば今が辛いことを理解したようだった。それでこのままじゃ終わりたくないというオリビアの願いを組み、提案させてもらった。
「魔王城をお前の好きに使うといい。全てが終わったその時はわたしの好きにさせてもらおう」
そう、それがわたしの精一杯の告白だった。
言い切ってから無性に恥ずかしくなり、ついつい付け足してしまう。
「お前のその髪は、スライムのようでとても惹かれてしまう」
何故、そんな嘘をついてしまったのか。スライムに似てるとは思っていないというのに。
寧ろ、原石のように磨けば輝きを増すであろう水色の髪は、バサバサ感はあるものの透明感があり、どこか儚くも美しさがある。スライムに似てるというよりも水のようだと感じてしまった。
それを一目惚れという人生で初めての経験だったとはいえ、緊張と恥ずかしさのあまり『スライムに似てる』等と、失言してしまうとは。
今は後悔でしかない。
だが、オリビアは違う風に解釈してどこか納得している様子だ。
「なるほど。復讐の為に魔王城を使うかわりに、復讐が終われば私の命を貰うということですね。わかりました、その契約で大丈夫です」
なぜ……そうなったのだ!? 内心焦って訂正しようとしたが、今更好きだとか愛してるとかハッキリと言葉にするのが恥ずかしかった為、それで了承した。
血の契約までされてしまっては何も言えない。
それから、
処刑ギリギリでなんとか瞬間魔法を使った。
ドラゴンのヨダレがついていたことに自分の不甲斐なさが身に染みて、急いで洗い流そうとした。
ドワーフ村では、長の家でオリビアがトラウマになっているであろうドラゴンの造りものが襲いかかってきた。
さらに吼える息でオリビアのフードがめくれてしまい、美しい水色の髪が見えてしまった。(今では、バサバサだったのが艶があり、透明感がある美しい髪質となっている。傷んだ髪用に調合した薬のおかげだな)
ドラゴン如きにもう二度とオリビアを汚されたくはないと思うと我を忘れていた。
オリビアは可愛くて美しい。だから、可愛い姿を誰にも見せたくはなかった。
そもそも外出されるのが嫌だというのに。
オリビアに嫌われたくないので渋々承諾しただけの事。オリビアは可愛いのだ。悪い虫がついたらどうする。
武器屋が気になって立ち止まるオリビアも可愛かったのだが、何よりも許せないのは足下を見て高値で売りつけようとした店主だ。
オリビアが落ち込みながら外に行くのを見届けた後、店主を軽く脅した。
店主はみるみるうちに青ざめ、震えながらもオリビアが気になっていた武器をわたしに渡してくれた。
外へ行くと、オリビアは顔を青くしていた。何故だ? と思っていると、妖精のイタズラでオリビアの悪評を直接聞いてしまったのだと理解した。
そっと頭に触れれば驚いたオリビアがわたしを見た。
嗚呼……、驚いたオリビアも可愛い。
武器を渡すと、ほのかに笑うオリビアが可愛らしく、抱き締めたい衝動を必死に抑えて歩き出した。
顔がニヤケているだろうが、それも仕方の無いこと。
何故なら、こんなに可愛い子と一緒にいて、ニヤケない方がおかしいのだから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
18
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる