踊るキミを見ていたい

朝賀 悠月

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10・ライブ配信_舞音3

メンバーシップ限定配信② 報告、いま起きていることについて

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「今日ね、こういうカタチで配信することにしたのは、いろいろ事情があるからなんだ。今でも緊張してるし、若干手も震えてるんだけど……メンバーシップのみんなは絶対に俺の味方だって信じてるので、それに心配かけてると思ったので報告は、しておかなきゃと思って。えっと、まずは……何から話そうかな」
『なになに』
『なんか怖いな』
『私まで緊張してきた』
「あ、ごめんごめん! みんなにとって怖いことではないから、そこは安心してください」

 俺の言い方がまずかったみたいで、変にみんなまで緊張させてしまった。

「えっとじゃあ、ね……一個目。あの、ルームシェア、解消しました」

 自分で口にして、胸がギュゥッと痛む。

「これは俺が悪かったんだけど、そのルームシェアしてくれてた人のお友達を、俺が無意識に傷付けてたみたいで。それで俺、その人のこと大好きだったから……だからこれ以上傷つけたくなくて、家を出ました」

 あの時の、翔哉くんの顔が脳裏に浮かぶ。言われた言葉も、鮮明に覚えてる。

「……あ。話し合って解消したわけじゃないんだよね。でも、そのルームシェアしてくれてた人に合わせる顔がなくってさ……ものすごく失礼なことだとは、わかってるんだけど……」
『ルームシェアの相手の人には連絡したほうがいいと思う』
「連絡は、しました。急にごめんねって」
『ビックリしてるんじゃない?』
「うん……すごいいっぱい着信きてた。メッセージも。……ほんと、最低なことだとはわかってるんだけど……折り返すのがなんか、怖くて……スマホの電源も切ってて……」

 こういうこと言うと、嫌われるよね。改めて話すと、ほんと自分勝手で酷いことしてる。

『せめてスマホの電源は入れてみたら?』
『電源切れてると余計心配になるよ』
「そう、だよね。そうなんだけど……それが実は二個目の話で」

 俺は強い力で、震える自分の手首を握った。

「これは出来れば大袈裟にしたくないから、みんなの中だけで止めておいて欲しいんだけど。あの……実は前から、俺に対する誹謗中傷のダイレクトメッセージがきてて……」
『は?』
『ヒドイ!』
『え、なにそれ誰から?』
「誰っていうのは無いんだけど、まああの、わりと頻繁には来ててそれで……電源を切ってるんだよね」

 言ってしまった。コメント欄が、みんなの怒る声で溢れていく。

「そうしたら今度は、電源入れるのが怖くなっちゃって……」
『もしかして、前に言ってきたやつらと関係ある?』
「えっ」
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