こんな破廉恥な悪役令嬢が出てくるゲームって何?!

高瀬ゆみ

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70.ゲームとクロード

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 ――男性向け十八禁ゲーム『ラブエロ・ハプニング~魔法でたくさん気持ちよくなっちゃううう~』

 ……略して『ラブエロ』は、一般的な男性向け十八禁ゲームと趣向が異なり、ゲームの初めに操作する男性キャラクターを選ぶ。
 選んだ男性キャラクターと攻略対象者によって、スチルやエンドが変わる仕組みになっていた。

 例えば、第一王子を選んでヒロインを攻略すると、ハッピーエンドで王妃となったヒロインと二人だけの後宮でイチャイチャ出来たり……宰相の息子を選んで悪役令嬢を攻略すると、バッドエンドで蛮族に貢物として悪役令嬢を差し出し、彼女が複数の男に襲われるところを視姦出来たりする。

 攻略対象となる女の子の中でも特に人気が高いのは、ヒロインと悪役令嬢の二人。

 ヒロインのアメリ・バーナードは正統派美少女で、心優しく少しおっちょこちょい。
 発明した魔具がしばしば暴走して、周囲を巻き込んでエロハプニングを起こす女の子。

 一方、悪役令嬢のジェシカ・クランベルはメリハリある体を惜しげもなく晒し、制服の胸元から深い谷間を見せる痴女要員。
 我が儘で高飛車で、誰からも愛されるヒロインを虐めようとするものの、最後は必ず性的に仕返しされてしまう可哀相な女の子。

 男性向けに作られたゲームなだけあってエロスチルの多さに定評はあったものの、男性キャラクターが皆イケメンすぎて感情移入出来ない、スチルが美麗すぎる、と男性からはあまり売れず……
 代わりにエロを求めた女性からは大好評で、『ラブエロ』は一時大ブームになったゲームだった。



 クロード・フォン・ルクセンドルフは、この世界が『ラブエロ』の舞台であることを知らない。
 でも、ジェシカ・クランベルの将来に、絶望しかないことは知っていた。


 クロードはルクセンドルフ王国の第二王子として生まれ、国王、王妃そして五つ上の兄との仲は良好だった。
 何不自由なく育てられ幸せな幼児期を過ごしたが、五歳になり魔法の授業を受けてから、自身を取り巻く環境が少しずつ変わり始めた。
 ルクセンドルフで一番の魔道士をもってしても計り知れない魔力量と、並外れた魔法のセンス。『魔法』というたった一つの分野で優秀すぎたクロードは、次第に、まだ幼い彼を次期国王に推す者が現れるほどだった。

 五つ上の兄は第一王子として何一つ劣るところがなく、頭脳明晰でほどほどに優しく、健康で武の心得があり、人を動かす力も決断力もある。
 本来であれば次期国王に相応しい器をもっているにもかかわらず、クロードが魔力を持ち過ぎたせいでその地位が揺らぎそうになっていた。

 全てにおいてよく出来た兄は、「お前が望むなら王位継承権なんていくらでも譲るよ」と常々言っていたが、クロードは王位に全く興味はなかった。貴族内での利権争いのために担ぎ上げられた今の状況を、面倒だとしか思っていない。
 魔法以外のことも教わればすぐに出来てしまう彼は、何かに情熱を傾けることもなく、どこか冷めたところのある子供だった。

 クロードに並外れた魔法の力があることを知っても、家族仲は依然良好であったが、クロードの存在がいらぬ争いの種になることは皆分かっていた。
 王妃は自分の生家である隣国の王家に助けを求め、長男が王位に就くまで下の息子を隣国で預かってほしいと嘆願した。王妃の兄である隣国の王はそれを受け入れ、目立たぬよう、王家ではなく腹心の家に客人としてクロードを預けることにした。


 クロードが八歳のとき、彼は一人家族の元を離れ、クランベル公爵家に身を寄せることとなった。


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