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第一章 始まり
第二話 出逢い
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彼女との出逢いはもう12年前、今でも昨日のように覚えている。
その日は辺り一面が雪で真っ白になった12月のことだ。
僕が育ったのは帝国領ルーン街に設立されていた孤児院だ。
父と母の顔はよく覚えていない 15年前に起きた戦争に巻き込まれて父は亡くなり、母は僕を養うことができず孤児院へと置いていった……そういう風に聞いている。
正直親というものがイマイチ分からなかったし当時は一人でいることになんの苦もなかった。
僕がその認識を改めるきっかけになったのがハルトマン公爵•夫人の来訪だった。
曰く僕が育った孤児院は主にハルトマン公爵の資金援助で設立されたものでありハルトマン公爵は夫人を連れて視察という体で僕達の遊び相手をしてくれていた。
今までも度々来て頂いていたのだが昔の僕は引っ込み思案で……公爵とは関わろうとしなかったんだ。
だけどその日は違った、公爵は彼女を連れてきていた。
アンナ様を初めて見た時は目が離せなかった お人形さんみたいに可愛らしいと思ったんだ。
だけど自分から話しかけはしなかった…出来なかったが正しいかな? 元々の性格に加えて人との接し方が分からなかったから。
でも、僕が一人で遊んでいたら彼女が声をかけてくれたんだ。 今でも一字一句覚えてる。
「ひとりであそんでてもつまんないよっ、こっちきていっしょにあそぼ」
そういう彼女の何気ない言葉、その時の彼女の言葉が無かったら今の僕はないだろうと思えるほどで。
彼女のおかげで他の子とも仲良くなれた。 一番仲良くなれたのは一歳年下の女の子でローザと言う娘だった。
それからは忙しい合間を縫って来てくれる彼女とローザ、そして僕の3人で遊ぶことが僕の楽しみにもなっていた。
その日は2月も過ぎた頃だった、いつものように3人で遊んでいたら彼女がある提案をしたのを覚えてる。
「ねぇ、おへやのなかばかりじゃつまらないとおもわない? おとうさまおかあさまにないしょでおそとにぼうけんしてみない?」
僕は最初反対したのを覚えてる、子供だけで外に出るのは危ないしなによりハルトマン公爵に怒られるのは嫌だったから。
でも、彼女のふくれっ面を見てたら断るに断りきれなくて…昔からほんとお転婆な子でいつも僕を引っ張ってくれる。
僕と彼女とローザはハルトマン公爵•夫人が先生方とお話ししている隙をついて外へと抜け出した。 子供三人だけで見る外の景色は言葉に言い表しようがなくてワクワクしたことを覚えてる。
森のほうへ行こうってことになって、途中ローザが転んで泣きそうになったりした時は二人で慌てたっけ。 結局男の子だった僕がローザをおぶっていったんだ。
初めてきた森で僕らは鬼ごっこしたり、かくれんぼしたり…すごく楽しかった。
でも楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、もう夕方になってきたから帰ろうってなった時 二人組の男がこっちに向かってきたんだ。
「おやぁ、子供三人だけで外で遊ぶのは危ないなぁ お兄さん達が送ってあげるよ」
そんなことを言われた気がする、僕とローザは怖くて固まってしまって……
でも、彼女は僕らの前にサッと立って
「おどきになってくださいな おとうさまからしらないひとたちにはついていかないようにとおしえられてますので」
と言ったんだ、ふと彼女の足を見ると小さく震えていた。
彼女も怖くて仕方なかったんだと思う。 それでも、勇気を出して僕らの前に立ってくれたんだ。
それなのに僕はなんだ
「このガキ、人が優しく言ってやってんのによ」
そう言い男の一人が手を振り上げた、僕は彼女に貰った勇気を出して彼女の前に立った。
僕の体が地面に飛ぶ。 痛い。 血の味が口の中に広がる。 痛い 嫌だ 逃げ出したい……でも!
僕は再度立ち上がり彼女の前に仁王立ちする、彼女には手をださせないと その思いしか頭のなかった。
「このっ…」
男が何かを言い終わる前に男達の後方から怒声が聞こえてきた。
「何をしている!! このハルトマン家の直営地と知っての狼藉か!!」
後ろにはハルトマン公爵と夫人 数人の兵が見えた。
「ひっ」
男達は逃げようとするがなんなく兵に取り押さえられて……
大変だったのはこの後だった。
ハルトマン公爵が近づいてくる。
怒られる、そう思って僕は頭を下げて目を瞑った。
でも ハルトマン公爵は 怒るわけでもなく 僕を そっと 抱きしめてくれた。
「良かった……本当に良かった……!」
ハルトマン公爵は涙声になっていた、それにつられて僕たち三人も謝りながらワンワン泣いた。
その後、旦那様は甘過ぎますとハルトマン公爵に甘やかされた分公爵夫人に三人ともたっぷりとお説教を受けたのも今となっては良い思い出だ。
その時からだろうか、ハルトマン公爵•夫人を本当の父と母のように慕うようになったのは。
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その日は辺り一面が雪で真っ白になった12月のことだ。
僕が育ったのは帝国領ルーン街に設立されていた孤児院だ。
父と母の顔はよく覚えていない 15年前に起きた戦争に巻き込まれて父は亡くなり、母は僕を養うことができず孤児院へと置いていった……そういう風に聞いている。
正直親というものがイマイチ分からなかったし当時は一人でいることになんの苦もなかった。
僕がその認識を改めるきっかけになったのがハルトマン公爵•夫人の来訪だった。
曰く僕が育った孤児院は主にハルトマン公爵の資金援助で設立されたものでありハルトマン公爵は夫人を連れて視察という体で僕達の遊び相手をしてくれていた。
今までも度々来て頂いていたのだが昔の僕は引っ込み思案で……公爵とは関わろうとしなかったんだ。
だけどその日は違った、公爵は彼女を連れてきていた。
アンナ様を初めて見た時は目が離せなかった お人形さんみたいに可愛らしいと思ったんだ。
だけど自分から話しかけはしなかった…出来なかったが正しいかな? 元々の性格に加えて人との接し方が分からなかったから。
でも、僕が一人で遊んでいたら彼女が声をかけてくれたんだ。 今でも一字一句覚えてる。
「ひとりであそんでてもつまんないよっ、こっちきていっしょにあそぼ」
そういう彼女の何気ない言葉、その時の彼女の言葉が無かったら今の僕はないだろうと思えるほどで。
彼女のおかげで他の子とも仲良くなれた。 一番仲良くなれたのは一歳年下の女の子でローザと言う娘だった。
それからは忙しい合間を縫って来てくれる彼女とローザ、そして僕の3人で遊ぶことが僕の楽しみにもなっていた。
その日は2月も過ぎた頃だった、いつものように3人で遊んでいたら彼女がある提案をしたのを覚えてる。
「ねぇ、おへやのなかばかりじゃつまらないとおもわない? おとうさまおかあさまにないしょでおそとにぼうけんしてみない?」
僕は最初反対したのを覚えてる、子供だけで外に出るのは危ないしなによりハルトマン公爵に怒られるのは嫌だったから。
でも、彼女のふくれっ面を見てたら断るに断りきれなくて…昔からほんとお転婆な子でいつも僕を引っ張ってくれる。
僕と彼女とローザはハルトマン公爵•夫人が先生方とお話ししている隙をついて外へと抜け出した。 子供三人だけで見る外の景色は言葉に言い表しようがなくてワクワクしたことを覚えてる。
森のほうへ行こうってことになって、途中ローザが転んで泣きそうになったりした時は二人で慌てたっけ。 結局男の子だった僕がローザをおぶっていったんだ。
初めてきた森で僕らは鬼ごっこしたり、かくれんぼしたり…すごく楽しかった。
でも楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、もう夕方になってきたから帰ろうってなった時 二人組の男がこっちに向かってきたんだ。
「おやぁ、子供三人だけで外で遊ぶのは危ないなぁ お兄さん達が送ってあげるよ」
そんなことを言われた気がする、僕とローザは怖くて固まってしまって……
でも、彼女は僕らの前にサッと立って
「おどきになってくださいな おとうさまからしらないひとたちにはついていかないようにとおしえられてますので」
と言ったんだ、ふと彼女の足を見ると小さく震えていた。
彼女も怖くて仕方なかったんだと思う。 それでも、勇気を出して僕らの前に立ってくれたんだ。
それなのに僕はなんだ
「このガキ、人が優しく言ってやってんのによ」
そう言い男の一人が手を振り上げた、僕は彼女に貰った勇気を出して彼女の前に立った。
僕の体が地面に飛ぶ。 痛い。 血の味が口の中に広がる。 痛い 嫌だ 逃げ出したい……でも!
僕は再度立ち上がり彼女の前に仁王立ちする、彼女には手をださせないと その思いしか頭のなかった。
「このっ…」
男が何かを言い終わる前に男達の後方から怒声が聞こえてきた。
「何をしている!! このハルトマン家の直営地と知っての狼藉か!!」
後ろにはハルトマン公爵と夫人 数人の兵が見えた。
「ひっ」
男達は逃げようとするがなんなく兵に取り押さえられて……
大変だったのはこの後だった。
ハルトマン公爵が近づいてくる。
怒られる、そう思って僕は頭を下げて目を瞑った。
でも ハルトマン公爵は 怒るわけでもなく 僕を そっと 抱きしめてくれた。
「良かった……本当に良かった……!」
ハルトマン公爵は涙声になっていた、それにつられて僕たち三人も謝りながらワンワン泣いた。
その後、旦那様は甘過ぎますとハルトマン公爵に甘やかされた分公爵夫人に三人ともたっぷりとお説教を受けたのも今となっては良い思い出だ。
その時からだろうか、ハルトマン公爵•夫人を本当の父と母のように慕うようになったのは。
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