婚約者が同僚の女騎士に懐かれすぎて困ってます。

のんのこ

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ありがとう

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アレスは次の日から三日間の休暇をもらって、朝から晩まで私にくっついていた。

私の両親もアレスをいたく気に入っていたから、帰還してそうそう泊まり込むことにも快く了承してくれた。



「アレス…暑いよ」

ぎゅっと背後から私を抱きしめ、肩口に顔を乗せるアレスに苦言を呈す。


「ん~もうちょっと。相変わらずルイーゼの匂い安心する」

「…かがないで」

「なんで?」


…なんで?じゃないでしょう。

大好きな人に自分の匂いをかがれるなんてそんな恥ずかしいこと耐えれるわけない。



お腹にまわった彼の腕をひっぺがして自身の体をぐるりと体を反転させる。



「ルイーゼ?どうした?」


真正面から見つめた彼の淡い碧色の瞳が一瞬だけ不思議そうに瞬いて、緩く弧を描く。


「後ろから抱きしめられたらアレスの顔見えないじゃない…」

「なにそれ可愛い」


「わっ」

今度はガバりと正面から抱きしめられる。



「…また見えない」

「いいよ見なくて。俺今すっごいだらしない顔してるし。俺の体の熱だけ感じてて」


「…なんか、気持ち悪いよその言い方」

「ひっでぇ」


なんて言いながらも言われた通りアレスの体温に集中してみると、心地よい温かさにドキドキしてしまう。

改めて、帰ってきたんだなぁこの人。


表情が緩んでしまって、やっぱり顔なんてお互い見えなくて正解かもしれない。



「…帰ってきてくれてありがとう」


思ったままの言葉を口にすると、ぴくりと彼の体が揺らいだ。



「や、正直俺も今回は生きて帰れる自信なかったよ…もうルイーゼと会えなくなるのかなって何度も思った」

彼は震える言葉でそんなことを口にする。


抱きしめる手に力をこめると、彼は一つ小さな吐息を零した。


「でも、ちゃんと帰ってきたよ俺」

「うん」


「ご褒美ちょうだい?」

「っ、え?」


ズイっと顔を近づけてくるアレス。


驚く間もなく彼のほんのり熱い唇が重なった。

ちゅっちゅっと何度も啄むように降ってくる口付けに頭がおかしくなりそうだ。



「ちょっ、…あ、れす」


「二年間の禁欲生活だったんだよ?」

しばらくして離された唇、肩で息をする私と裏腹にアレスは少し拗ねたような顔でそんなことを言う。


「俺以外にも婚約者がいる奴らいっぱいいたけど、張幕にやってくる娼婦達にしっかり相手してもらってたからね?」

「娼婦…?」


「そ。騎士や兵士の士気を高めるために夜な夜なやってくんの」


そ、そんな裏事情があったのね。

予想もしなかった事実に衝撃を受ける。



「そこでは婚約者がいようと結婚してようと関係なく、みーんなその道のプロにやってもらってんだよ?」

「……アレスも?」


「俺の話聞いてた?」


不安になって聞いてみると、アレスは呆れ顔を浮かべる。


「本気で俺がルイーゼ以外の女抱くと思ってんの?心外なんだけど」

「思ってないけど…アレスだって、男の人だし…」


「まあ、ねぇ。男だし、遠征中はしょうがない?ルイーゼは俺が他の女に手出しても許してくれんの?」


歪な笑みを浮かべてそんなことを言うアレスは怒ってるみたいで少し怖い。


アレスが他の人に手を出す、か。



「絶対いや、許すわけない…アレスは私しか触っちゃダメだよ」

「うん、俺ルイーゼしか触らないよ」


私の返事に彼は満足そうに頷くのだった。


「はぁ、ほんと可愛いルイーゼ。なんでそんな可愛いの?今回の戦だってルイーゼ連れてったら国王即陥落されて一瞬で終戦しちゃってたんじゃねえのこれ」

「何馬鹿なこと言ってるの」


「だけどやっぱり危ないからルイーゼは連れて行けないか」


こんな調子のアレスと共に随分と甘い三日間が過ぎていくのだった。







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