婚約者が同僚の女騎士に懐かれすぎて困ってます。

のんのこ

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うれしい

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お腹も満たされた私達は、買い物をするために通りを歩き始めた。


「アレスは何が見たいの?」

「俺は宝石店かな~」

「アレスが宝石?珍しい…だったら、宝石店から見てみましょうか」


自分で言うのもなんだが、私以外の物事に無関心なアレスが自分からこういう意見を言うことは滅多にない。

だからこそ、尊重してあげたいと思う。



「ありがとうルイーゼ」

「うん」


事前に下調べを行っていたかの様に迷いのない足取りで進むアレスを不思議に思いながらも、彼に手を引かれて通りを進む。


「ここだよ」

「…なんだか、すごく豪華なお店ね」

「出来てからそう日は経っていないのに、王宮にも招かれる程の一流店なんだって」


どこか自信気にそう言うアレスが少し可愛くって笑ってしまう。


「王宮ってことは、ここもロイド様に紹介してもらったの?」

「はっ、違うから!ここは俺がちゃんと調べたからね!?ルイーゼとのデートなのにそこまでホイホイ他人に丸投げしたりしないからっ」


アレスが連れてきてくれただけでも十分嬉しいのにどうしてそんなに焦ってるんだろう。



「ここって宝石を買ってそのままアクセサリーに加工してくれるらしいんだよ?自分で石を選んですぐに好みのアクセサリーができるってわくわくしない?」

「へえ、なんだか新鮮なお店だね。私もアクセサリー作ってもらおうかな」

「あのねえ、元々ルイーゼにもプレゼントするつもりなんだけど。俺が自分だけに宝石を新調するつもりだと思ってたの~?」


呆れたようにそう言うアレス。

確かに、よく考えると彼が自分のためだけに宝石店に訪れるなんて不自然だった。



「…アレス、私ばっかりいつもよくしてもらっちゃって悪いよ」

「俺がプレゼントしたいだけだからいーの」


有無を言わせない様子で彼は私の手をひいて店内に足を踏み入れるのだった。


店員に促されていくつかのショーケースを見ている中、アレスが気に入った二つの宝石を出してもらった。


「アクアマリンと、トパーズ?」

「うん、ルイーゼと俺の色の宝石」


私の淡い水色のような瞳と、アレスの碧眼を抜き出したかのような二つの石。

目の前に並べられたそれにアレスは満足そうににっこりと笑みを浮かべた。


「ごめんね?ルイーゼに選ばせてやれなくて。でも、今日作るのはどうしてもこの色が良くてさ」

「いいけど、だったら私はアレスの色が欲しい」

「うん、そのつもり。ルイーゼの色は俺の方」


彼の優しい微笑みに私まで嬉しくなってしまう。

どんなアクセサリーができるか楽しみだ。


「型ももう言ってあるから、俺らは完成するまでもう少しぷらぷらしとこっか」

「うん」


アレスが完璧なエスコートでたくさんの場所に連れて行ってくれて、私は飽きることなくシャンリーゼ通りを満喫したのだった。


夕暮れ時になり宝石店にもう一度足を運ぶと既にアクセサリーは出来上がっていて、袋を手渡されたアレスが会計を済ませる。


「あの、本当にいいの?」

「もちろん、いつも俺の傍にいてくれるお礼だからね。失くすといけないからまだ俺が持っとくよ」

「…だったら私だってお礼をしなきゃいけない立場なのに」


そう言うとアレスはクスリと笑って私の頭をぽんぽんと優しく撫でる。




「ならルイーゼのお礼はまた今度にしてまずは先に夕食を食べに行こっかぁ。俺レストラン予約してんだよね」


なんとなくはぐらかされてしまった様な気もするけど、今はせっかくのデートを楽しむことにする。


楽しい一日が終わるのは本当にあっという間で、後は夕食をとって帰るだけ。


寂しくなってしまって繋いだ手をほんの少しだけきゅっと握りしめる。


「ん?どうしたのルイーゼ」

「夕食食べたらもうデートは終わりだから…」


「っ、なにそれ…俺ともっとデートしたかった?」


その言葉に黙ってこくりと頷く。


「か、かわいすぎない…?それはちょっと反則だと思う…なんかもう全部放り投げてルイーゼのこと連れ帰って閉じ込めちゃいたいくらいだ…」

「また、変なこと言ってる…」

 



レストランでは、アレスが事前にコース料理を予約してくれていたようで、次々に出される味も見た目も超一流の料理にほっぺがとろけそうだった。


白身魚のカルパッチョに、お肉がほろほろのビーフシチュー。

…私の大好きなものばかり。


最後にデザートのティラミスを食べ終えた時、アレスは徐に懐から小さな箱を取り出した。


「それ、さっきの宝石店のケース?」

「うん、そう。見たい?」

「見たい!」

袋を受け取ったアレスはすぐにしまってしまったから、私は完成品を見ることが出来なかったのだ。



「じゃあ、手を出して?」

「うん…」

手という事は、ブレスレットとか?


型を考えたのはアレスだというから、きっと素敵なものが出来上がっているのだろう。


アレスは小さな箱をそっと開く。



「…指輪?」


「うん、俺の色の指輪」


そっと私の手を取り、小さなリングを左手の薬指に嵌める。

今までもらったどんなプレゼントよりも特別だってことは簡単に理解出来た。




「ルイーゼ、俺と結婚してくれない?」

「………」


ぽかんと口を大きく開いたまま固まる私を、彼は不安そうな顔で見つめていた。


どうしよう、驚きと嬉しさが溢れ出して、もうどんな反応をしていいのかわからない。



「ルイーゼ…?え、もしかして困ってる?俺と結婚するのやだ??」

「あっ…えっと」


「俺、一人で先走っちゃった?俺が戦争に行ってた間にルイーゼも学園を卒業したし、丁度いいかなって思ったんだけど」



アレスは完全にマイナス方向に思考をさ迷わせていて、早く否定しなくてはいけないのに…



「ルイーゼ!?え、泣くほど嫌だった?ごめんもう結婚しようなんて言わないからっ……できれば、見捨てないでくれたら有難いんだけど」


静かに涙を流す私に、アレスは顔を真っ青にしてそんなことを言う。



「ちがっ…私、嫌だなんて…」

「嫌じゃないの?」


「っ、嬉しい…アレスと、結婚したい」



感極まってぽろぽろと大粒の涙を零す私は、なんて面倒くさい女なのだろう。

せっかくこんな素敵なプロポーズをしてくれたのに。


「アレス、ありがとう」

精一杯の笑顔を浮かべてお礼の言葉を告げた。



「…え、いいの?ルイーゼ俺と結婚してくれんの…?うわぁ、なにこれ嬉しすぎて頭おかしくなりそう」


私の返事を聞いたアレスは、震える声でそんな言葉を口にする。

少しうるんだ彼の瞳に、私はまた涙腺が緩み始めるのだった。



「ルイーゼが俺の奥さんになるんだ…どうしよう、幸せすぎて俺明日死んじゃうんじゃない?」

「不吉なこと言わないでっ!」


「や、そんくらい幸せってこと、」

にへっと笑ってアレスが答える。



「俺ね、ルイーゼと出会ってからずっと、早くこの子と家族になりたいって思ってたんだ~。その夢がやっと叶う」

「…そうなの?小さい頃は私ばっかりアレスのこと好きなのかと思ってた」

「俺だって好きな子とうまく接することができない可愛い時期もあったんだよ」


そっか、ずっと想い続けてくれてたんだね。

私と一緒。



「他のものはもう何もいらないから…ルイーゼだけはずっと俺のそばにいて?」


「うん。そばにいるよ」



今日が人生で一番幸せな日だと思った。








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