明けぬ夜には翡翠色の灯火を~愛を知らないヴァンパイアが愛を知ったら溺愛されるようになりました~

あんみつ~白玉をそえて~

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棺を作るヴァンパイア

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ヴァンパイア。
人ならざる者。闇に生きる者。陽を嫌う者。永遠を生きる者。血を糧とする者。
様々な噂が飛び交う、生まれながらに圧倒的な力をもつ支配者。
それが、私だ。とは言っても、既に何百年と生きた身。力で人間を支配するのも、魔物共を狩るのも、美味な血を求めるのにも飽きた。
ただ棺で眠り、夜になればその辺の家畜から少量の血をいただく。そんな生活をもう何年も送っていた。
だからこそ、というべきか。唯一こだわりを持ったのは棺だった。家畜は瞬く間に死んで移り代わってゆく上、味などもう絶頂のものを頂いた身。どうでも良い。そうなれば必然的に過ごす時間の多い棺に目が向く。寝心地、装飾、重さ。有り余る時間を使って改良に改良を重ねていた。
すると、どこからか、その噂が漏れたらしい。最初は同族が、次はオークが、人魚が、人間が。墓として私の作る棺を求めるようになった。最初は義理立てくらいのつもりだった。そのくらいなら、と引き受けた。常に時間を持て余していた私にとってむしろよい暇つぶしになるだろうとも思った。
そうして少しづつ、私は棺作りに没頭していた。
人魚には水槽にサンゴに真珠、剥製の魚を一緒に入れて水を満たして。薔薇を愛でていたと聞いた者にはつる薔薇を巻き付けた透明のガラス管をさらに薔薇で埋めつくして。心中したとなれば、抱き合う2人が入れるくらい大きいサイズの棺を。
作りあげる毎に私はその出来栄えに満足し、それと同時にもっと良いものを、もっと新しいものを、と貪欲に上を求めた。墓に入る者のためではなく、ただ自身の手で作り出されるものに酔いたかったのだ。そんな、久々に何かに夢中になる日々が続き、さらに数十年がすぎた。
全てはとある来訪者から始まった。

「棺を作ってください」

男は開口一番そう言った。
この匂いは人間。亜麻色の髪に白い肌。この地域の一般的な容姿、なんの特徴もない平凡な村人だろう。かと言って断る理由はない。時間も金も有り余っている。むしろ、この男は私にどんな新しい発想を生み出させてくれるのだろう、とわくわくさえした。

「承知した。遺族のものか?ならばその者の情報と……」
「いいえ、違います」

食い気味でかえってくる返答に少し違和感を覚えるも、ゆっくりと聞き返す。

「では誰のものだ?」
「それは……僕です!!!」
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