【R-18】泥中の女

みつる

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露見した秘密と新たな秘密

No.2

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定時の時刻になると、
女と高木は休憩室へ戻り身支度を整えた。

「お店どこでもいい?何か食べたいものある?」

「いえ特には…、高木さんにお任せします」

会社を出た2人は、
高木の行き付けだという店へ向かった。

電車に乗り何駅かした所で降りて歩くこと数分。
とあるビルの地下1階にその店はあった。

高木のあとに続き店へ入ると、
心地よいクラシックの音楽が2人を出迎えた。

間接照明に照らし出されたカウンター、
レンガ風の衝立ついたてで完全に仕切られたテーブル席。

女は店内を見渡したあとで目を輝かせて言う。

「へぇ~~、素敵なお店ですね」

「でしょ?」

そんな女を、高木は奥のテーブル席へと連れていく。

壁に設置されたハンガーフックへコートを掛けると、
高木は慣れた様子でお酒や料理を注文する。

少しして運ばれてきたお酒を手に、2人は乾杯をした。

「1週間お疲れさま~」

「お疲れさまでした」

お酒を片手に、
2人は仕事を中心に他愛のない会話に花を咲かせた。

「ほんっとあのセクハラオヤジさ~~、人の顔見れば
   やれ結婚しないの~とか仕事は恋人じゃない~だとか…
   余計なお世話だっつーの、ねぇ?」

食事も済み、お酒が進んだ頃、
高木はグラスを揺らしながら愚痴を零していた。

「私もよく言われます……、
   20も半ば過ぎればチヤホヤしてもらえないって」

高木に同意する様に答える女も、
お酒が進み、頬が薄紅色に染まっている。

「でもさぁ、海老原さんモテるのに彼氏作らないのなんで?
   もう長いこといないんでしょ?」

「別に…深い意味はないですよ、
   今は仕事に集中したいですし、1人の方が気が楽ですし…」

今の仕事は好き、嘘はついていない。とぼんやり考えながら
「それに、モテるわけじゃありませんし」と女は続けた。

「エリート君に口説かれた後に言われてもねぇ」

「からかわないで下さいよっ」

他のお客達の賑わう声に紛れ、
2人の楽しげな笑い声が店内に響く。

明日は休日ということもあり、
気が付けば店内の席はほとんど埋まっていた。

店員が高木の傍らにある、吸殻で溢れた灰皿に気付き、
注文したお酒と新しい灰皿を運んでくる。

仕事やプライベートの話で盛り上がる2人だったが、
ふと会話が途切れた後、高木が言った。

「あ、そうそう、海老原さんにお願いがあるんだけど」

「え?」

不思議そうにする女とは対象に、
高木は笑顔のまま信じられない言葉を放った。

「オナニーしてるところ、見せてくれない?」
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