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『チャイ・コイ』岩井志摩子
不在のイマージュ、とか言うアレ?
恋愛小説と言うより情痴小説、情痴を尽くして、その先に対局の純粋な気持が生まれる、みたいな構図を狙っているのでしょうか。
それはそれは慎ましやかで、丁寧で、生真面目に淡々と内省が綴られ、大胆さや生々しさ、つまり抑えがたい激情、健康に息づいた肉体の、迫るような存在感ははなく、こんな風に表現するのは不遜なのかもしれませんが、上手な素人の作品を読んでいるようでした。
現実的な行為も、うっとりと巡らせる思考も、全く同じ調子で描写されているので、見分けがつかない。緩急がない。
とは言え、例えば、大好きな吉田健一の小説にはっきりとしたメリハリがあるのか、だから面白いのか、と考えてみても、大仰なメリハリなんか下品、むしろない方が神経に障らない、と常日頃は思っていて、では何故にしてこの小説の感想は、一本調子で退屈してしまう、なのか。何が違うのか。読み終えても、分からずままです。
あと、終わりの方になって、やっと「デュラスの『愛人』のスタイルで書いてるんじゃ!?』と、気がつきました。主人公が、一人旅のベトナムで見初めたボーイのことを、常に『愛人』と表記していて(彼とか、その人物とか、その子、その人など、他の呼び方は一切しないので、あんまり続けられると滑稽になってくる)、同時に村上香住子のエッセイ(デュラスの年下の愛人、ヤン・アンドレアも登場する)を読んでいたのに、気がつかないって、自分のぼんやりさに、軽いショックでぼんやりもしました。
ちなみに、『チャイ・コイ』は、ベトナム語で『果実』のことなんですって。
恋愛小説と言うより情痴小説、情痴を尽くして、その先に対局の純粋な気持が生まれる、みたいな構図を狙っているのでしょうか。
それはそれは慎ましやかで、丁寧で、生真面目に淡々と内省が綴られ、大胆さや生々しさ、つまり抑えがたい激情、健康に息づいた肉体の、迫るような存在感ははなく、こんな風に表現するのは不遜なのかもしれませんが、上手な素人の作品を読んでいるようでした。
現実的な行為も、うっとりと巡らせる思考も、全く同じ調子で描写されているので、見分けがつかない。緩急がない。
とは言え、例えば、大好きな吉田健一の小説にはっきりとしたメリハリがあるのか、だから面白いのか、と考えてみても、大仰なメリハリなんか下品、むしろない方が神経に障らない、と常日頃は思っていて、では何故にしてこの小説の感想は、一本調子で退屈してしまう、なのか。何が違うのか。読み終えても、分からずままです。
あと、終わりの方になって、やっと「デュラスの『愛人』のスタイルで書いてるんじゃ!?』と、気がつきました。主人公が、一人旅のベトナムで見初めたボーイのことを、常に『愛人』と表記していて(彼とか、その人物とか、その子、その人など、他の呼び方は一切しないので、あんまり続けられると滑稽になってくる)、同時に村上香住子のエッセイ(デュラスの年下の愛人、ヤン・アンドレアも登場する)を読んでいたのに、気がつかないって、自分のぼんやりさに、軽いショックでぼんやりもしました。
ちなみに、『チャイ・コイ』は、ベトナム語で『果実』のことなんですって。
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