12 / 36
第12話 あなたは私が守る
しおりを挟む
ビアトリスがドレスアップして浮かれていた頃、エリオットは長ソファに座ったまま、全身がガタガタ震えるのを抑えることができなかった。
ビアトリスが来てから、エリオットの生活は目まぐるしく変化した。意外な共通点を見つけ、一緒に散歩しようと誘われ、地下室を出て今の部屋へと移った。そして今度は食堂室でご飯を食べましょうと来たもんだ。それまで動かなかった時計の針が、ここ数か月で一気に動き出したかのようだ。
我ながらバカバカしいと思う。食堂室に行くだけで何を怖がっているのだろう? でもあの部屋で、過去に忌まわしい事件が起きたのは事実だ。今までは何とかごまかしてあの部屋に入るのを回避して来た。でも今度こそ逃げきれない。さっきはなぜあんな約束をしてしまったのだろうと、エリオットは悶々と苦しんだ。
やがて時計が夕食の時間を告げる。今日はここに誰も食事を運びに来ない。もう大丈夫だ。地下室だって出られたじゃないか。今の自分なら克服できる。そう思い立ち上がったが、へなへなと再び椅子に崩れ落ちてしまった。駄目だ。自分は意気地なしだ。生きている価値なんてない。
ネガティブな考えが堂々巡りするうちに時間が経過し、ビアトリスの方がこちらの様子を伺いに来た。いつものズボン姿ではなく、サーモンピンクの軽やかな生地のドレスに着替えた彼女は随分可憐に見える。はっと息を飲んで見惚れると同時に、彼女がここまで楽しみにしてくれたのにと悔恨の念が湧いた。
「あの、何かあったのかと思って心配して来てみたの。汗びっしょりだけどどうしたの?」
エリオットに見つめられて真っ赤になったビアトリスは、もじもじしながら言った。耳に着けたピアスがゆさゆさと揺れる。彼女をじっと見ていたエリオットは、慌てて頭を横に振った。
「ごめん、心配かけて……! 大したことじゃないから大丈夫!」
こんな時はまず女性の容姿を褒めるものだ。そう思ったものの、生憎頭が回らず言葉が出てこない。言葉を扱う職業なのに、肝心な時は何一つ気の利いた言葉が出てこない。自分のポンコツさにほとほと嫌気が差すが、自分を見つめるビアトリスは不安げな表情のままだ。まずい、何か言わなければ。
「病気ではないんだけど、その……」
「全然大丈夫そうじゃないわよ。私のことはいいから無理しないで」
明らかに様子がおかしいと気づいたビアトリスはソファの隣に腰かけ、彼の手を握った。手を握られたエリオットは、それで勇気をもらったのか、ようやく本当のことを打ち明けた。
「ごめん、今まで黙っていたけど、食堂室には入れないんだ。その、あそこで昔嫌なことがあって、それからずっと避けている」
言った。とうとう言った。案の定、ビアトリスは目を丸くして驚いている。
「そうだったの……わたしのために無理しなくてよかったのよ」
「お祝いしたかったのは本当なんだ。だって僕も嬉しかったから……そう思ったらつい口を滑らせてしまった。すぐに否定しなきゃと思ったけど、喜びに水を差したらまずいと思って……もうあれから大分時間も経っているし、そろそろ大丈夫かなとも思ったけど駄目だった……」
エリオットはそう言うと、がっくりと肩を落とした。そんな彼を元気づけたくて、ビアトリスは握った手に力を込める。
「そうだったの。教えてくれてありがとう。一緒に喜んでくれた気持ちだけで十分嬉しいから気にしないで。ご飯が食べられれば場所なんてどこでもいいんだから、心配しなくていいよ」
努めて明るくそう言ったが、エリオットの表情は暗いままだった。
「いや、駄目だよ。克服しなきゃならないんだ。もう10年も前の出来事なのに、何をいつまでうじうじ悩んでいるんだろう……」
「……食堂室で何があったか、聞いてもいい?」
ここまで来たらもう隠し立てはできない。全てを諦めたエリオットは口を開いて、ぽつぽつと話し始めた。
「ここに正式に住むようになったのは18からだけど、10歳の頃から夏休みなどの長期休暇に滞在していた。僕の母親は、いわゆる舞台女優で……と言えばどんな立場か大体想像つくだろう? 愛人ってやつだよ。そんな卑しい身分だったけど、兄様は年の近い腹違いの弟をかわいがってくれて、この家に呼んでくれたんだ。母親もその時は新しい恋人がいたから、僕を厄介払いできて好都合だったと思う。でも、ここの女主人、つまりユージンのお母様は、当然快く思わないよね。愛人の息子だし、本来はこの屋敷に足を踏み入れる権利すらない」
エリオットはここまで言うと、一旦呼吸を整えた。初めて他人に打ち明けることになるが、予想以上の重労働だ。
「そんな中、兄様だけは優しかった。お父様は、奥様に気を使って素っ気ない態度だったけど、兄様は、昔から一緒に住んでいるかのように、子供の頃から親身に接してくれた。本当の母親より身近な存在だと思っている」
やはり、ユージンの存在は、エリオットの中ではかなり大きいようだ。ビアトリスは黙って聞いていた。
「14歳の夏休みの時、僕は例年のようにこの屋敷に招かれていた。でも、奥様は堪忍袋の緒が切れる寸前だったんだと思う。前から当たりはきつかったけど、とうとう、食事の時に感情が爆発した。床に僕の食事をぶちまけて、犬みたいに食べろと命令して来た」
まさか犬食いしろと言ったのか? 余りにも異様な話の展開にビアトリスはびくっとして、彼の手をぎゅっと握りしめた。
「もちろん、いくら何でもそんな命令従えない。僕はただ震えていた。それで業を煮やした奥様が僕に襲い掛かって、その拍子に足を滑らせてマントルピースの角に頭をぶつけた……」
エリオットはここまで言うと、両手で顔を覆ってうずくまった。ビアトリスは、小刻みに震える彼の肩をただ見つめることしかできなかった。余りの話に脳の処理が追い付かない。
「……打ち所が悪かった奥様は、そのままお亡くなりになった。その場にいたのは外には兄様と僕だけ。当然僕はひどく責められたけど、兄様が事故だとかばってくれた。その時はもう二度とこの家に来ることはないだろうと思った。でも18の時、実の母親が死んだ。そしたら兄様がまたやって来て、ここに一緒に住もうと言われたんだ。一度は断ったけど、僕には生活能力もお金もない。待っているのは劇団の下働きの仕事だけ。冷遇されてもいいからと、もう一度この家にやって来た。案の定お父様は冷たかったけど、その都度兄様に慰められた。そこでも色々うまくいかないことが続いて逃げるように地下室に引きこもった。それからは君の知ってる通りさ」
そこまで言うと、エリオットは自嘲ぎみに笑った。ビアトリスは、彼を元気づけたくて必死で言葉を探した。
「ごめん、何も知らなかった……そんなところで食事なんてできないよね。今日のことはもういいから。もう無理しないで」
「いや、いいんだ。僕も誰かに打ち明けたかったのかもしれない。ビアトリスなら信用できるから」
ビアトリスのお祝いをしたかっただけなのに、こんな辛い結果になってしまった。どこまでも自分は駄目な人間だ。彼女を幸せにすることなんてできない。
一方のビアトリスは、エリオットのために何かしてやりたいという気持ちが強くなった。自分ができることって何だろう。打ちひしがれたエリオットをしばらく見つめていたが、おずおずと手を差し伸べ、彼の体をぎゅっと包み込んだ。
「エリオットは何も悪くない。何かあったら今度は私が守って見せる。だからもう大丈夫よ。怖がらないで」
エリオットは頭が真っ白になったま言葉を失った。ビアトリスの柔らかな体の感触と体温がじんわりと伝わり、優しく彼を包み込む。こんな時どうしたらいいのだろう。このままでいたい気持ちと、このままじゃいたくない気持ちがせめぎ合う。しばらくそのままでいるうちに、このままじゃいたくない気持ちの方が強くなって来た。肩をつかんで一旦彼女を引き離し、緑の目をまっすぐ見据えこう言った。
「ありがとう、ビアトリス。君に会えてよかった」
そう言うと自分の唇を彼女の唇にそっと重ねた。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
結婚しているのにやっとキスかよ!と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
ビアトリスが来てから、エリオットの生活は目まぐるしく変化した。意外な共通点を見つけ、一緒に散歩しようと誘われ、地下室を出て今の部屋へと移った。そして今度は食堂室でご飯を食べましょうと来たもんだ。それまで動かなかった時計の針が、ここ数か月で一気に動き出したかのようだ。
我ながらバカバカしいと思う。食堂室に行くだけで何を怖がっているのだろう? でもあの部屋で、過去に忌まわしい事件が起きたのは事実だ。今までは何とかごまかしてあの部屋に入るのを回避して来た。でも今度こそ逃げきれない。さっきはなぜあんな約束をしてしまったのだろうと、エリオットは悶々と苦しんだ。
やがて時計が夕食の時間を告げる。今日はここに誰も食事を運びに来ない。もう大丈夫だ。地下室だって出られたじゃないか。今の自分なら克服できる。そう思い立ち上がったが、へなへなと再び椅子に崩れ落ちてしまった。駄目だ。自分は意気地なしだ。生きている価値なんてない。
ネガティブな考えが堂々巡りするうちに時間が経過し、ビアトリスの方がこちらの様子を伺いに来た。いつものズボン姿ではなく、サーモンピンクの軽やかな生地のドレスに着替えた彼女は随分可憐に見える。はっと息を飲んで見惚れると同時に、彼女がここまで楽しみにしてくれたのにと悔恨の念が湧いた。
「あの、何かあったのかと思って心配して来てみたの。汗びっしょりだけどどうしたの?」
エリオットに見つめられて真っ赤になったビアトリスは、もじもじしながら言った。耳に着けたピアスがゆさゆさと揺れる。彼女をじっと見ていたエリオットは、慌てて頭を横に振った。
「ごめん、心配かけて……! 大したことじゃないから大丈夫!」
こんな時はまず女性の容姿を褒めるものだ。そう思ったものの、生憎頭が回らず言葉が出てこない。言葉を扱う職業なのに、肝心な時は何一つ気の利いた言葉が出てこない。自分のポンコツさにほとほと嫌気が差すが、自分を見つめるビアトリスは不安げな表情のままだ。まずい、何か言わなければ。
「病気ではないんだけど、その……」
「全然大丈夫そうじゃないわよ。私のことはいいから無理しないで」
明らかに様子がおかしいと気づいたビアトリスはソファの隣に腰かけ、彼の手を握った。手を握られたエリオットは、それで勇気をもらったのか、ようやく本当のことを打ち明けた。
「ごめん、今まで黙っていたけど、食堂室には入れないんだ。その、あそこで昔嫌なことがあって、それからずっと避けている」
言った。とうとう言った。案の定、ビアトリスは目を丸くして驚いている。
「そうだったの……わたしのために無理しなくてよかったのよ」
「お祝いしたかったのは本当なんだ。だって僕も嬉しかったから……そう思ったらつい口を滑らせてしまった。すぐに否定しなきゃと思ったけど、喜びに水を差したらまずいと思って……もうあれから大分時間も経っているし、そろそろ大丈夫かなとも思ったけど駄目だった……」
エリオットはそう言うと、がっくりと肩を落とした。そんな彼を元気づけたくて、ビアトリスは握った手に力を込める。
「そうだったの。教えてくれてありがとう。一緒に喜んでくれた気持ちだけで十分嬉しいから気にしないで。ご飯が食べられれば場所なんてどこでもいいんだから、心配しなくていいよ」
努めて明るくそう言ったが、エリオットの表情は暗いままだった。
「いや、駄目だよ。克服しなきゃならないんだ。もう10年も前の出来事なのに、何をいつまでうじうじ悩んでいるんだろう……」
「……食堂室で何があったか、聞いてもいい?」
ここまで来たらもう隠し立てはできない。全てを諦めたエリオットは口を開いて、ぽつぽつと話し始めた。
「ここに正式に住むようになったのは18からだけど、10歳の頃から夏休みなどの長期休暇に滞在していた。僕の母親は、いわゆる舞台女優で……と言えばどんな立場か大体想像つくだろう? 愛人ってやつだよ。そんな卑しい身分だったけど、兄様は年の近い腹違いの弟をかわいがってくれて、この家に呼んでくれたんだ。母親もその時は新しい恋人がいたから、僕を厄介払いできて好都合だったと思う。でも、ここの女主人、つまりユージンのお母様は、当然快く思わないよね。愛人の息子だし、本来はこの屋敷に足を踏み入れる権利すらない」
エリオットはここまで言うと、一旦呼吸を整えた。初めて他人に打ち明けることになるが、予想以上の重労働だ。
「そんな中、兄様だけは優しかった。お父様は、奥様に気を使って素っ気ない態度だったけど、兄様は、昔から一緒に住んでいるかのように、子供の頃から親身に接してくれた。本当の母親より身近な存在だと思っている」
やはり、ユージンの存在は、エリオットの中ではかなり大きいようだ。ビアトリスは黙って聞いていた。
「14歳の夏休みの時、僕は例年のようにこの屋敷に招かれていた。でも、奥様は堪忍袋の緒が切れる寸前だったんだと思う。前から当たりはきつかったけど、とうとう、食事の時に感情が爆発した。床に僕の食事をぶちまけて、犬みたいに食べろと命令して来た」
まさか犬食いしろと言ったのか? 余りにも異様な話の展開にビアトリスはびくっとして、彼の手をぎゅっと握りしめた。
「もちろん、いくら何でもそんな命令従えない。僕はただ震えていた。それで業を煮やした奥様が僕に襲い掛かって、その拍子に足を滑らせてマントルピースの角に頭をぶつけた……」
エリオットはここまで言うと、両手で顔を覆ってうずくまった。ビアトリスは、小刻みに震える彼の肩をただ見つめることしかできなかった。余りの話に脳の処理が追い付かない。
「……打ち所が悪かった奥様は、そのままお亡くなりになった。その場にいたのは外には兄様と僕だけ。当然僕はひどく責められたけど、兄様が事故だとかばってくれた。その時はもう二度とこの家に来ることはないだろうと思った。でも18の時、実の母親が死んだ。そしたら兄様がまたやって来て、ここに一緒に住もうと言われたんだ。一度は断ったけど、僕には生活能力もお金もない。待っているのは劇団の下働きの仕事だけ。冷遇されてもいいからと、もう一度この家にやって来た。案の定お父様は冷たかったけど、その都度兄様に慰められた。そこでも色々うまくいかないことが続いて逃げるように地下室に引きこもった。それからは君の知ってる通りさ」
そこまで言うと、エリオットは自嘲ぎみに笑った。ビアトリスは、彼を元気づけたくて必死で言葉を探した。
「ごめん、何も知らなかった……そんなところで食事なんてできないよね。今日のことはもういいから。もう無理しないで」
「いや、いいんだ。僕も誰かに打ち明けたかったのかもしれない。ビアトリスなら信用できるから」
ビアトリスのお祝いをしたかっただけなのに、こんな辛い結果になってしまった。どこまでも自分は駄目な人間だ。彼女を幸せにすることなんてできない。
一方のビアトリスは、エリオットのために何かしてやりたいという気持ちが強くなった。自分ができることって何だろう。打ちひしがれたエリオットをしばらく見つめていたが、おずおずと手を差し伸べ、彼の体をぎゅっと包み込んだ。
「エリオットは何も悪くない。何かあったら今度は私が守って見せる。だからもう大丈夫よ。怖がらないで」
エリオットは頭が真っ白になったま言葉を失った。ビアトリスの柔らかな体の感触と体温がじんわりと伝わり、優しく彼を包み込む。こんな時どうしたらいいのだろう。このままでいたい気持ちと、このままじゃいたくない気持ちがせめぎ合う。しばらくそのままでいるうちに、このままじゃいたくない気持ちの方が強くなって来た。肩をつかんで一旦彼女を引き離し、緑の目をまっすぐ見据えこう言った。
「ありがとう、ビアトリス。君に会えてよかった」
そう言うと自分の唇を彼女の唇にそっと重ねた。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
結婚しているのにやっとキスかよ!と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
reva
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
恋愛
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる