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20話 回る回る
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メリーゴーランドに乗りたい人たちの列に並び、しばらく。ついに私たちに順番が回ってきた。列に並んでいた間、私は、楽しそうにしている人たちをたくさん見た。それもあってか、期待で胸がいっぱいだ。
「こっちだよ、キャシィさん」
「ありがとうございます」
リンツに手を取ってもらいつつ、私は馬車に乗り込む。
かぼちゃのような馬車の中には、二人ずつが向かい合って座れるような座席があった。私とリンツは、そこに、向かい合うように座った。
外から見ていた時はそうは思わなかったのだが、意外にも、馬車内は狭い。二人だというのに、狭いのだ。
「なんだか狭いですね」
「確かに。言われてみれば、狭いような気がしてきた」
可憐な旋律が流れ出す。それとほぼ同時に、私たちを乗せた馬車型の乗り物はゆっくりと動き始めた。
「あ、動き出した」
「本当に動くのですね……!」
ただ座っているだけなのに、視界がどんどん変わる。
足を動かしていないのにこんなにもスムーズに移動できるなんて、かなり驚き。
時折、ギシィだとかキィだとか、軋むような音が鳴る。壊れないか少々不安だ。けれど、リンツが慌てていないところを見ると、「軋むような音が鳴るのはよくあることなのだろう」と思うことができた。
「面白いですね! リンツさん」
「気に入ってくれたかね?」
「はい! この乗り物、結構好きかもしれません!」
なぜだろう、妙に心が踊る。
未知の体験をしているから? リンツと一緒だから?
そこはよく分からない。
ただ一つ確かなのは、今この瞬間が楽しいということ。
「今度は馬にも乗ってみたいです」
「では、この後もう一度並ぶかね?」
膝が触れる距離。
手を掴めそうな距離。
私とリンツは、今、呼吸する音さえ聞こえてくるほど近くにいる。
「良いですね! ぜひ! ……あ。けど、リンツさんは他のところへも行きたいのでは……?」
「もちろん他も回りたいよ。でも、時間はたっぷりあるからね。何も慌てることはない」
「では、後でもう一度並ぼうと思います」
「名案だね! 悪くない!」
その頃になって、流れていた曲が止まった。それからしばらく、馬車の動きも止まる。そして「気をつけてお降り下さい」とのアナウンス。
どうやら、終わったみたいだ。
「降りればいいですか?」
「そうだね。そして、もう一度並ぼう」
「はい。ありがとうございます」
降りる時、リンツが「先に降りてくれたまえ」と言ってくれたため、私が先に降りた。踏み外さないよう慎重に。
まだ慣れないけれど、私はちゃんと降りることができた。
一方リンツはというと、勢いよく立ち上がりすぎて天井部に頭をぶつけてしまっていた。
慣れていてもそういうことは起こるのだな、と、私は一つ学んだ。
それから私たちは、もう一度列に並ぶことにした。
列は長い。わりと混雑しているためそこそこ時間がかかりそうだ。しかし、リンツがいるから退屈はしない。だから、少々待つことになっても苛立ったりはしなかった。
そして、今度は馬型に乗った。
先ほどの馬車型とは違い、馬型は座席が細い。しかも、つるん、としている。馬車型よりさらに未体験の感覚で、ワクワクするのと同時に、ハラハラもした。落ちたらどうしよう、なんて考えてしまって。
「馬はどうだったかね?」
何とか落下せずに馬型に乗り終えた私に対し、リンツはそう尋ねてきた。
「落ちるかと思いました」
私は正直な気持ちを述べる。
するとリンツは、愉快そうに、ははっ、と軽く笑う。
「僕も最初はそう思ったよ」
「つるつるしてて、少し不安になる感じでした」
「そうだね。僕は初めて乗った時、途中で落ちたよ」
「ですよね——って、え?」
落ちた?
本当に落ちた人がいたというのか……衝撃だ。
「こっちだよ、キャシィさん」
「ありがとうございます」
リンツに手を取ってもらいつつ、私は馬車に乗り込む。
かぼちゃのような馬車の中には、二人ずつが向かい合って座れるような座席があった。私とリンツは、そこに、向かい合うように座った。
外から見ていた時はそうは思わなかったのだが、意外にも、馬車内は狭い。二人だというのに、狭いのだ。
「なんだか狭いですね」
「確かに。言われてみれば、狭いような気がしてきた」
可憐な旋律が流れ出す。それとほぼ同時に、私たちを乗せた馬車型の乗り物はゆっくりと動き始めた。
「あ、動き出した」
「本当に動くのですね……!」
ただ座っているだけなのに、視界がどんどん変わる。
足を動かしていないのにこんなにもスムーズに移動できるなんて、かなり驚き。
時折、ギシィだとかキィだとか、軋むような音が鳴る。壊れないか少々不安だ。けれど、リンツが慌てていないところを見ると、「軋むような音が鳴るのはよくあることなのだろう」と思うことができた。
「面白いですね! リンツさん」
「気に入ってくれたかね?」
「はい! この乗り物、結構好きかもしれません!」
なぜだろう、妙に心が踊る。
未知の体験をしているから? リンツと一緒だから?
そこはよく分からない。
ただ一つ確かなのは、今この瞬間が楽しいということ。
「今度は馬にも乗ってみたいです」
「では、この後もう一度並ぶかね?」
膝が触れる距離。
手を掴めそうな距離。
私とリンツは、今、呼吸する音さえ聞こえてくるほど近くにいる。
「良いですね! ぜひ! ……あ。けど、リンツさんは他のところへも行きたいのでは……?」
「もちろん他も回りたいよ。でも、時間はたっぷりあるからね。何も慌てることはない」
「では、後でもう一度並ぼうと思います」
「名案だね! 悪くない!」
その頃になって、流れていた曲が止まった。それからしばらく、馬車の動きも止まる。そして「気をつけてお降り下さい」とのアナウンス。
どうやら、終わったみたいだ。
「降りればいいですか?」
「そうだね。そして、もう一度並ぼう」
「はい。ありがとうございます」
降りる時、リンツが「先に降りてくれたまえ」と言ってくれたため、私が先に降りた。踏み外さないよう慎重に。
まだ慣れないけれど、私はちゃんと降りることができた。
一方リンツはというと、勢いよく立ち上がりすぎて天井部に頭をぶつけてしまっていた。
慣れていてもそういうことは起こるのだな、と、私は一つ学んだ。
それから私たちは、もう一度列に並ぶことにした。
列は長い。わりと混雑しているためそこそこ時間がかかりそうだ。しかし、リンツがいるから退屈はしない。だから、少々待つことになっても苛立ったりはしなかった。
そして、今度は馬型に乗った。
先ほどの馬車型とは違い、馬型は座席が細い。しかも、つるん、としている。馬車型よりさらに未体験の感覚で、ワクワクするのと同時に、ハラハラもした。落ちたらどうしよう、なんて考えてしまって。
「馬はどうだったかね?」
何とか落下せずに馬型に乗り終えた私に対し、リンツはそう尋ねてきた。
「落ちるかと思いました」
私は正直な気持ちを述べる。
するとリンツは、愉快そうに、ははっ、と軽く笑う。
「僕も最初はそう思ったよ」
「つるつるしてて、少し不安になる感じでした」
「そうだね。僕は初めて乗った時、途中で落ちたよ」
「ですよね——って、え?」
落ちた?
本当に落ちた人がいたというのか……衝撃だ。
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