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2話
しおりを挟む「オハイイ!」
「え……アイリー?」
彼の家へ突撃する。
恥じらいになんて構ってはいられない。
「父が婚約破棄とか言ったって聞いたわ! それで、それでっ……会いに来たの!」
「婚約破棄……君の意思じゃなかったの?」
「そうよ! 当たり前じゃないの! だって私、貴女を愛して――」
その場で膝をついてしまう。
「ッ……、ごめん、ごめんなさい……こんな、ことに……」
「お、落ち着いて、落ち着いてよアイリー」
彼は背中をさすってくれた。
「ここまで走ってきたの?」
「ええ……」
「話をするために?」
「そう、そうよ、だって父が……こんな最低な酷いこと……」
「大丈夫、大丈夫だよ、取り敢えず、君には婚約破棄の意思はなかったってことだね?」
涙に濡れた顔で何度も頷いた。
「私は貴方と離れたくないの……」
もう遅いかもしれない。
でも言わせてほしかった。
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私はただ、愛する人に、彼に、この胸にある気持ちを正しく伝えておきたかっただけだ。
もう手遅れだよと言われてもいい――そう思っていた、のだが。
「ありがとう、じゃあ婚約は継続にしよう」
意外な言葉が出てきて。
「え」
濡れたままの面をきょとんとさせてしまう。
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