嘘つきで迷惑な妹は領主の子息と婚約して浮かれ調子に乗っていましたが……どうやら婚約破棄されたようです。

２話

　――しかし、結婚を間近に控えたある初夏の日、まさかの展開を迎える。

「エッドが浮気してたあああああ！　しかもぉぉぉ……注意したら婚約破棄されたああああああ！」

　アンレがエッドより婚約破棄を告げられたのだ。

「どうして、どうして……どうしてなのよぉぉぉぉぉぉ！　もう用意してたのに！　式の用意もお誘いだって済ました後なのにぃぃぃぃぃぃぃ！　許せない許せない許せないわぁぁぁぁぁ！」

　確かに、結婚式間近での破棄というのは非常識なことである。

　普通であれば「酷い男性だな」と思っただろう。

　しかし今回に関しては婚約破棄された人物がアンレなので私の心理としては男側の心に寄り添おうとしてしまう――どうしても、これまで私に迷惑ばかりかけてきた女の味方をしたくはないと思ってしまうのだ。

「落ち着いてアンレ」

　宥めようとする母だが。

「お母様！　これはきっとお姉さまの策略よ！」

　その程度で情緒の振れが落ち着くアンレではない。

「どういうこと？」
「お姉さまが何か言ったんだわ！　彼に！　とんでもない嘘とか！　だからエッドはそれを信じてあたしを捨てたんだわ！　きっとそう、きっとそうよ！」

　アンレはとんでもないことを言い出した。

　昔からこういうことがあるから、私はアンレが嫌いなのだ。