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7話「朝と手伝い」(1)
しおりを挟むその後も私はトウロウと話をした。
彼は相変わらず相手に対して遠慮しないタイプで、それゆえ、話していると時々不快に思うこともあった。だが、共に過ごす時間が増えてゆくにつれ、徐々に彼の気遣いのなさになれていって。いつの間にか、最初ほど気にならなくなっていった。
そして、会話によって得ることができたものもある。
トウロウのことを知れたのだ。
彼はフクロウ頭の家に次男として生まれたが、空気が読めなかったので若いうちに追い出されたらしい。それで、嫌いな親がいるこの世界から去るために、人の子を探し始めたのだとか。アカリと知り合ったのは、人の子を探して旅していた最中だそうだ。
切ない事情があるからといって、これまでのことをすべて水に流すことはできない。嫌だったことを忘れ去ってしまうこともできそうにはない。
ただ、話を聞いたら、少しは彼のイメージが変わった。
空気を読まず何でも言ってしまう。その欠点が、彼を不幸にした。彼から、家族と共に幸せに暮らす人生を奪い去ったのだ。
その点を考慮すれば、多少は彼を理解できるかもしれない。
形は違えど、器用に生きられないのは私も同じだから。
そして、朝が来る。
昨夜は二つの布団で別々に寝た。特に絡みもなく、爽やかな朝を迎える。
「おはようございます。トウロウさん」
「……うう、眠い」
私が起きた時、トウロウはまだ寝ていた。寝相が悪いらしく、体は敷布団からがっつり飛び出してしまっている。が、そんな状態になりながらもまだ眠っていた。
トウロウの寝顔を眺めていると、何だか愛らしく感じられてきた。
やや灰色がかった茶色い毛が顔を覆っている。指先で少し触れると、鳥の羽を触ったような感覚。柔らかくも、どことなくしっとりしたような、不思議な触り心地だ。
「まだ起きないのですか?」
こっそり触れてから、私はもう一度尋ねた。
けれど、返ってきたのは「ううー……眠いんです……」という寝惚けたような言葉のみだ。
恐らく、トウロウは朝に弱いタイプなのだろう。それでなかなか起きられないのだろう。顔面がフクロウに似た形であることと関係があるのかどうかは不明だが、無関係ということはない気もする。
「分かりました。先に行きますね」
「昼間にー……起こしてくれますー……?」
「はい。分かりました」
一緒に朝食を食べることになるのだろうと考えていたのだが、その予想は外れた。
その後、私は一人で部屋を出て、入り口に近いところへ向かう。そこで事情を話すと、アカリはすんなり理解してくれて、私は朝ご飯を食べられることになった。朝食はもちろん和風。米や漬け物を出された。
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