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前編

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「実はさ、療養のために一旦婚約を解消していた彼女が回復したんだ。だから俺は彼女ともう一度婚約することにした。やっぱお前みたいな穴埋めより彼女の方が魅力的なんだよな~。だからさ、お前との婚約は破棄な」

 私はある日突然そんなことを告げられた。

 婚約者レーニクに私の前にも婚約者がいたことは知っていた。だが彼女とはもう関わっていないと聞いていて。だから特に気にしてはいなかった、もう終わったのだろうと思っていたから。

 だが、どうやらそうではなかったようだ。

「病さえなけりゃ絶対彼女の方が魅力的だからなぁ~」

 私は一時的な穴埋めでしかなかったのか?
 婚約までしたのに。
 恋人なんかではないのに。

「おい、いつまでそこに立ってるんだよ! 婚約破棄って言ったろ。もう早く去れよ! 居座ろうって魂胆が見え見えなんだよくそが!」

 こうして私と彼の関係は終わりを迎えることとなった。
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