薬屋の娘として暮らしてきた私は薬というものに馴染んでいたがゆえに婚約破棄されることとなってしまいました。

四季

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前編

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 私は薬屋の娘ということもあって子どもの頃から薬というものに馴染んでいました。自宅には薬草や薬の材料となる珍しい素材が多くあり、そういうものを目にして育ったもので、そういうものへの心理的抵抗はほぼありません。

 だからこそ、こんなことになるとはまったく予想していなかったのです。

「君は薬だ何だと言って怪しいものばかり触っているね。そんな女性を妻にするなど不可能だよ。君は魔女だ。……よって、この婚約は破棄とする」

 婚約者アバローはある雨の日にそんなことを言ってきました。

 すぐには理解しきれませんでした。
 まったく想像していなかった展開だったからです。

 彼との関係はおおよそ良好だと思っていた、だからこそ、こんな風に言われたことに脳が追い付かなかったのです。

「そんな、どうして……」

 それだけが口からこぼれます。

「だから言っただろう。怪しいものばかり触っている魔女とはこれ以上付き合えない、と」
「私は魔女ではありません」
「魔女みたいなものだ! そんなものは年頃の娘が普通に触れるものじゃあない!」
「怒らないで落ち着いて話してください」
「それに、だな。僕の親も言っているんだ、彼女は魔女ではないか、と」

 なんてこと。
 そこまで疑われているの。
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