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10話「ホワイトドレス」
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白色のドレスに身を包み、いつになくおしゃれして、お化粧をばっちり決めてウェボンと並ぶ。
そう、今日は結婚式だ。
ちなみにこのドレスはウェボンの親が用意してくれたものだ。宣伝も兼ねて、ということで、ピックアップされたドレスいくつかの中から選ばせてもらった。
私が選んだこのドレスの素敵なところは、袖がレース生地で作られているところ。
そこが決め手となりこれを選択した。
ただ、もちろん良いところはそこだけではなく、ドレス全体もシルクのような滑らかな触り心地の生地でできているところも目立って良いところの一つだ。
身につけていてこんなにも心地よいドレスというのはなかなかない気がする。
「ああ~っ! やっぱり美しいわぁ!」
誰よりも派手に褒めてくれたのはウェボンの母親だった。
彼女は私のドレス姿をずっと楽しみにしてくれていた。
そして今日ついにその日が来て。
想像通り、いや、想像以上、と褒めてくれた。
いい人だなぁ、本当に……。
「あ、ありがとうございます」
「もう! 緊張しないで! ね? とっても素敵なんだから、自信持ってちょうだいね!」
「分かりました、ありがとうございます」
「ふふっ、ベルリーズさんったらほーんと、ス・テ・キ」
ウェボンの母親は少々テンションが高めな人ではあるけれどいつも優しくしてくれるから好きだ。
「おめでとうございますですな」
「ありがとうございます!」
「これからは遠慮なく『パパ』と呼んでくだされ、義理とはいえ父娘になるのですからな」
ええ!? と思っていると。
「コラ! 困らせないの!」
「ううっ……厳しっい」
奥さんから即座に口を挟まれていた。
パパはさすがに厳しい……。
実の親子でないのにパパはさすがに……。
でも、彼の気持ちには感謝したいと思う。
だってそれは、ある意味、実の娘のように扱おうと思ってくれているということ。よそから来た私を快く受け入れてくれているということなのだから悪いことではない。
「ごめんないね、この人ちょっとお馬鹿で」
「い、いえ……」
「パパなんて呼び方を強要されたら困るわよねぇ」
「は、ははは……」
その日、私とウェボンは多くの人から祝福されることとなった。
私は両親や関わりのある親戚、友人などを呼んだ。
彼は両親はもちろんだが親族や店の関係者を主に呼んでいた――もちろんそこには友人も含まれている。
「おめでとうウェボン良かったな美人妻で!」
「人妻に憧れてたもんな!」
「こら、言うなそんなこと、駄目だろ奥さんの前で」
「おめでと! ウェボン! 今最高にかっこいいよ! ……男の俺から見ても」
ウェボンはいつも色々な人に囲まれていて、そこには温かな空気が流れていた。
やはり良い人なのだなぁ、と、改めて思う。
彼は良い人。
だからこそ周囲にも良い人が集まるのだ。
きっとそう。
「いやはやほんまに立派になりはったわぁ」
「大きなってのう……」
「お姉さんまじかわいいなぁ~」
◆
夜、式や食事会を終えて、夫婦で一つの部屋に入る。
いろんな人と会話する時間は楽しいけれど少しだけ疲れてしまう。だからこうして人が減るとそれはそれで嬉しさもある。二人になれるというのもある意味ではありがたい部分もあるのだ。
「今日は疲れましたねー、ウェボンさん」
ソファに寝転がって高級感漂う天井を見上げる。
見慣れないゴージャスな天井。
大人っぽさと煌めきに満ちている。
「あはは、そうかな」
ウェボンは一人用ソファに腰掛けてグラスに入った水を飲んでいる。
「そうでもないですか?」
「まぁ知り合いなんで、そこまできつくはないですよ」
「凄いですね! コミュニケーション力高いです!」
「そうかなぁ。でも僕はベルリーズさんを尊敬してるよ? とても魅力的な人だし」
「え……照れます……」
そう、今日は結婚式だ。
ちなみにこのドレスはウェボンの親が用意してくれたものだ。宣伝も兼ねて、ということで、ピックアップされたドレスいくつかの中から選ばせてもらった。
私が選んだこのドレスの素敵なところは、袖がレース生地で作られているところ。
そこが決め手となりこれを選択した。
ただ、もちろん良いところはそこだけではなく、ドレス全体もシルクのような滑らかな触り心地の生地でできているところも目立って良いところの一つだ。
身につけていてこんなにも心地よいドレスというのはなかなかない気がする。
「ああ~っ! やっぱり美しいわぁ!」
誰よりも派手に褒めてくれたのはウェボンの母親だった。
彼女は私のドレス姿をずっと楽しみにしてくれていた。
そして今日ついにその日が来て。
想像通り、いや、想像以上、と褒めてくれた。
いい人だなぁ、本当に……。
「あ、ありがとうございます」
「もう! 緊張しないで! ね? とっても素敵なんだから、自信持ってちょうだいね!」
「分かりました、ありがとうございます」
「ふふっ、ベルリーズさんったらほーんと、ス・テ・キ」
ウェボンの母親は少々テンションが高めな人ではあるけれどいつも優しくしてくれるから好きだ。
「おめでとうございますですな」
「ありがとうございます!」
「これからは遠慮なく『パパ』と呼んでくだされ、義理とはいえ父娘になるのですからな」
ええ!? と思っていると。
「コラ! 困らせないの!」
「ううっ……厳しっい」
奥さんから即座に口を挟まれていた。
パパはさすがに厳しい……。
実の親子でないのにパパはさすがに……。
でも、彼の気持ちには感謝したいと思う。
だってそれは、ある意味、実の娘のように扱おうと思ってくれているということ。よそから来た私を快く受け入れてくれているということなのだから悪いことではない。
「ごめんないね、この人ちょっとお馬鹿で」
「い、いえ……」
「パパなんて呼び方を強要されたら困るわよねぇ」
「は、ははは……」
その日、私とウェボンは多くの人から祝福されることとなった。
私は両親や関わりのある親戚、友人などを呼んだ。
彼は両親はもちろんだが親族や店の関係者を主に呼んでいた――もちろんそこには友人も含まれている。
「おめでとうウェボン良かったな美人妻で!」
「人妻に憧れてたもんな!」
「こら、言うなそんなこと、駄目だろ奥さんの前で」
「おめでと! ウェボン! 今最高にかっこいいよ! ……男の俺から見ても」
ウェボンはいつも色々な人に囲まれていて、そこには温かな空気が流れていた。
やはり良い人なのだなぁ、と、改めて思う。
彼は良い人。
だからこそ周囲にも良い人が集まるのだ。
きっとそう。
「いやはやほんまに立派になりはったわぁ」
「大きなってのう……」
「お姉さんまじかわいいなぁ~」
◆
夜、式や食事会を終えて、夫婦で一つの部屋に入る。
いろんな人と会話する時間は楽しいけれど少しだけ疲れてしまう。だからこうして人が減るとそれはそれで嬉しさもある。二人になれるというのもある意味ではありがたい部分もあるのだ。
「今日は疲れましたねー、ウェボンさん」
ソファに寝転がって高級感漂う天井を見上げる。
見慣れないゴージャスな天井。
大人っぽさと煌めきに満ちている。
「あはは、そうかな」
ウェボンは一人用ソファに腰掛けてグラスに入った水を飲んでいる。
「そうでもないですか?」
「まぁ知り合いなんで、そこまできつくはないですよ」
「凄いですね! コミュニケーション力高いです!」
「そうかなぁ。でも僕はベルリーズさんを尊敬してるよ? とても魅力的な人だし」
「え……照れます……」
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