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「でしょ? エリーゼ。あれは完全に駄目でしょ」
一週間前、私は姉であるリルナから、アルベルトが別の女性と親しくしているという情報を得た。
ちなみに、リルナは私より五つほど年上。彼女は私とは違い、昔から、自他共に認める恋多き女。数年前、恋愛になった異性と結婚するに至った。若干地味だが真面目な青年と、今は二人で暮らしている。
最初私はアルベルトの話を信じられなかった。そんな私に、リルナは「絶対に嘘ではない。何なら見てみればいい」と言ってきて。それで私は見に行って確かめることにした。万が一に備えて、リルナも同行してくれた。
そして今に至る。
「屋外でいちゃついてる……」
「あれはさすがにヤバイって。エリーゼもさすがにそう思うでしょ?」
「思う……」
自分の婚約者が知らない女性といちゃついている。それも屋外で。一応人が少ないところへ移動してはいるけれど、人が少ないからと油断しているのか、振る舞い自体は堂々としている。
婚約者に見られているなんて夢にも思っていないのだろうな、きっと。
「どうする? エリーゼ。出ていってみる?」
「えぇ……それは気まずい……」
「でも、何でも現行犯が一番じゃない?」
「それはそうだけど……」
いちゃついてはいるが、まだ一線を越えてはいない。そんな二人の前に出ていって、私に何ができるだろう。多分気まずくなるだけ。きっとそれ以上のことはできない。今ここで責めたとしても、なんだかんだで逃げられてしまうに違いない。
「それに、いちゃついてるだけではどうにもできないわ」
いちゃついているだけなら何とでも言えてしまう。
法律的には罪というわけではないし。
「まぁそうだけどさぁ」
「あの感じだときっと……近いうちに一線を越える。その時に戦えばいい、それが私の気持ちよ」
するとリルナはふっと笑みをこぼした。
「エリーゼは相変わらず堅実ね」
一週間前、私は姉であるリルナから、アルベルトが別の女性と親しくしているという情報を得た。
ちなみに、リルナは私より五つほど年上。彼女は私とは違い、昔から、自他共に認める恋多き女。数年前、恋愛になった異性と結婚するに至った。若干地味だが真面目な青年と、今は二人で暮らしている。
最初私はアルベルトの話を信じられなかった。そんな私に、リルナは「絶対に嘘ではない。何なら見てみればいい」と言ってきて。それで私は見に行って確かめることにした。万が一に備えて、リルナも同行してくれた。
そして今に至る。
「屋外でいちゃついてる……」
「あれはさすがにヤバイって。エリーゼもさすがにそう思うでしょ?」
「思う……」
自分の婚約者が知らない女性といちゃついている。それも屋外で。一応人が少ないところへ移動してはいるけれど、人が少ないからと油断しているのか、振る舞い自体は堂々としている。
婚約者に見られているなんて夢にも思っていないのだろうな、きっと。
「どうする? エリーゼ。出ていってみる?」
「えぇ……それは気まずい……」
「でも、何でも現行犯が一番じゃない?」
「それはそうだけど……」
いちゃついてはいるが、まだ一線を越えてはいない。そんな二人の前に出ていって、私に何ができるだろう。多分気まずくなるだけ。きっとそれ以上のことはできない。今ここで責めたとしても、なんだかんだで逃げられてしまうに違いない。
「それに、いちゃついてるだけではどうにもできないわ」
いちゃついているだけなら何とでも言えてしまう。
法律的には罪というわけではないし。
「まぁそうだけどさぁ」
「あの感じだときっと……近いうちに一線を越える。その時に戦えばいい、それが私の気持ちよ」
するとリルナはふっと笑みをこぼした。
「エリーゼは相変わらず堅実ね」
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