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4話「まさかまさか、驚きの連続です」
しおりを挟むバーレットとは後日また会う約束をした。
後日といっても明日。
もうじきに来るような時間だが。
その日の晩だけは慣れた自室にて過ごし、朝が来れば城から出てゆく。
「ローゼマリン様がいなくなられるなんて……寂しいですわ……」
「ああ、なんてこと……」
親しかった侍女たちは私が王城から去ることを悲しんでくれていた。
でも、今はもう、ここへの未練は何もない。
ルミッセルと分かり合える愛し合える未来はなかった。それは確か。ならば別れることとなっても辛くなどない。いや、むしろ、それは定めだったのだろう。どう足掻いてもどうしようもないことというのもこの世にはあるものだ。
――その時その時できることをしながら前へ進むしかない。
「今まで本当にありがとうございました」
こうして私は王城を去った。
もう戻ることはないだろう――あの装飾が華やかな城には。
「ローゼマリン様、来てくださったのですね」
「はい、約束でしたので」
約束の場所にて、バーレットと合流する。
「良かった。逃げられてしまうかと思いましたよ」
「そうですか」
「だって、あんなの、怪しいでしょう?」
「ルミッセル王子はクロミヤスを知っているようでしたので……怪しくはないかと思って。ですからそれほど疑う気持ちはありませんでした」
できれば少しでもクロミヤスについて調べてみたかった。でも夜はすぐに寝てしまって、気づいたら朝が来ていて、城から出なくてはならないこともあり調べものをする余裕はなかった。なので結局クロミヤスについては一切知らないままここへ来てしまった。
「ほほう。それは、お優しく純粋な方ですな」
え、ちょっぴり嫌み?
……気のせいか。
「では早速ですが、来ていただきます」
「来て……? あの、どういうことです……?」
戸惑って問うと。
「ですから、クロミヤスへ来ていただくのですよ」
まさかの答えが帰ってきて。
「えええーっ!?」
思わず大きな声を出してしまった。
まさか、まさかの――これはクロミヤスへ行くということだったようだ。
なんてこと!
そこまでは思っていなかった!
このまま直でクロミヤスへ行くなんて……どうなってしまうの!?
「ローゼマリン様、我が国へご招待します」
「え、あの、え……」
「ご安心を。危険な目には絶対に遭わせませんので」
何なんだこの人生!? ――そんなことを思ってしまった。
「きっと良き思い出になるはずですよ」
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