3 / 3
3話
しおりを挟む◆
数年後。
「ノトレット! これ運んでくれる?」
「はーい」
私はアーベライとの件の際に協力してくれた青年ノトレットと結ばれた。
「ここでいい?」
「ええ!」
「じゃ、置いとくよ」
ノトレットは私と交際を始めてまもない頃に一度路上でアーベライに襲われた。だが反撃に成功。刃物を手にしよく分からない言葉を発しながら襲いかかってきたアーベライに反撃として一撃を加え、捕らえ、治安維持組織へ突き出した。
その事件以後、二人は縁を切ったようだ。
なので今はもうアーベライに出会うことはない。
「ありがとう、助かったわ」
「いえいえ」
「お礼にお茶淹れるわ。何を淹れようかしら、希望はある?」
ちなみにアーベライはというと、その事件以降今日に至るまでずっと牢屋に入れられ劣悪な環境での強制労働を強いられているようだ。
ま、完全に自業自得だろう。
人を傷つけようとするなんて酷い。
人を刺そうとするなんて最低な人間過ぎる。
それも、身勝手な理由でそんなことをするなんて……はっきり言うなら「どうかしていると思う」といった感じだ。
そんな悪魔のような人は痛い目に遭えばいい。そうすれば少しくらいは気づくだろう、痛み苦しみというものに。痛みに出会った経験がないから痛みに鈍感な人間になってしまうというもの、ならば痛みを経験し知れば良いのだ。そうすれば彼の精神性も少しくらいは改善されるかもしれない。
……改善しようがしまいがもう二度と出会うことはないと思うけれども。
「じゃあ栗紅茶で」
「栗! オッケー。でも貴方ってほんと栗好きね」
「好きだよ」
「ふふ、じゃあそうしましょう。あれ良い匂いだしね」
◆終わり◆
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる