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意地悪な妹がある日突然連れてきたのは私の婚約者である彼でした。~手に入れたいのは穏やかな幸せです~
4話「穏やかに」
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「もちろん。最高級のものこそわたくしに相応しい……そうでしょ? 分かったらすぐ淹れてきて!」
「それは……無理だよ、茶葉もうないし」
「じゃあ買ってきて」
「そんなこと言われても! お店に行って帰るだけで三日はかかる!」
するとミリーは「愛してるなら行けるでしょ」と不満げに言い放つ。
「無理なものは無理だよ……! 愛とか、そんな問題じゃない」
「できるはずよ!!」
「っ……」
「前買えたんだから! また買えるでしょ! いいから、さっさと買ってきて。遅い! ほら、さっさとして! 走ればいいの、行ってきて!」
ガイアは完全に舐められてしまっている。
「あのさ、ミリー。そういうのはちょっと酷いよ。無理だって分かりきったことをやらせようとするとかさ、それはおかしいよ」
「は!? わたくしがおかしい!? 頭が、ってこと!? 酷い……なんてこと言い出すの!! 裏切り者!!」
「ち、違うよ、そうじゃなくて」
「お母さまとお父さまに言いつけてやるわ! このミリーにおかしいなんて言うなんて! 最低だもの!」
「待ってよそうじゃないんだそうじゃなくて」
「黙って! 黙って黙って黙って! 黙ってちょうだい!! 言い訳なんて聞きたくない!!」
攻撃的に叫ばれたガイアはやがて。
「お前……ふ、ふ、ふ……ふざけるなよおおおおおおおお!!」
怒りに支配されて。
「ちょ、ちょっと何を」
状況を察したミリーが焦っても時既に遅し。
「許さねえええええええええ!!」
「きゃああああ!!」
ガイアはミリーに飛びかかる。
そしてその身体を地面に押し倒す。
「や、やめて! 暴力は駄目でしょ! 反則反則反則!」
「暴力ふるってたのはそっちだろが!!」
「なんでよ! そんなこと、そんなことっ、してない! してないもん!」
「言葉の暴力だろ!!」
「きゃああああああ」
激怒したガイアは容赦なくミリーを攻撃した。
「もう……やめ、て……おね、がい……」
「何を言っても無駄だ!」
「こわ、いよ……どう、して……こんな、こと、して……おん、な、のこ……あい、て……に……」
「悪いのはそっちだろ!」
「よわ、い……もの、いじ、め、とか……ひど、す、ぎるじゃ……な、い……」
「悪いのはお前悪いのはお前悪いのはお前悪いのはお前悪いのはお前」
「やめ、て、もう……もど、ってよ……やさ、しかった……だい、す、きだった……あの、ころ、み……たい……に……」
婚約者だとか、女性だとか、そんなことはもう関係なくなっていた。
その時の彼は目の前の人間を徹底的に叩き壊すことだけを考えていた――否、それしか見えなくなっていた、と表現するべきだろうか。
いずれにせよ彼は冷静ではなくて。
それゆえ、一応ある程度手加減しなくてはならないな、なんていう思考も完全に吹っ飛んでしまっていた。
その事件によりミリーは落命した。
ガイアが正気を取り戻した時、彼女は既に動かなくなってしまっていたのだ。
ルイナという一人の人間を犠牲に幸せになろうとした二人、しかしその願いは叶わなかった。
ミリーはガイアに命を奪われた。
ガイアは自身の行いにより逮捕され処刑された。
◆
「ミリーさんとガイア、自滅したんだって」
「そうみたいね」
「残念に思う?」
「いえ……正直そうは思わないわ」
旅立ちから一年ほどが経った。
私は今も穏やかに幸せにロロと共に暮らしている。
幼馴染みだった私たちは夫婦になった。
「ま、そうだよね」
「ええ……そんな私って優しくないかしらね」
「そんなことないよ!」
「ありがとう」
「ルイナは優しいよ。一緒にいる自分が言うんだから、絶対!」
◆終わり◆
「それは……無理だよ、茶葉もうないし」
「じゃあ買ってきて」
「そんなこと言われても! お店に行って帰るだけで三日はかかる!」
するとミリーは「愛してるなら行けるでしょ」と不満げに言い放つ。
「無理なものは無理だよ……! 愛とか、そんな問題じゃない」
「できるはずよ!!」
「っ……」
「前買えたんだから! また買えるでしょ! いいから、さっさと買ってきて。遅い! ほら、さっさとして! 走ればいいの、行ってきて!」
ガイアは完全に舐められてしまっている。
「あのさ、ミリー。そういうのはちょっと酷いよ。無理だって分かりきったことをやらせようとするとかさ、それはおかしいよ」
「は!? わたくしがおかしい!? 頭が、ってこと!? 酷い……なんてこと言い出すの!! 裏切り者!!」
「ち、違うよ、そうじゃなくて」
「お母さまとお父さまに言いつけてやるわ! このミリーにおかしいなんて言うなんて! 最低だもの!」
「待ってよそうじゃないんだそうじゃなくて」
「黙って! 黙って黙って黙って! 黙ってちょうだい!! 言い訳なんて聞きたくない!!」
攻撃的に叫ばれたガイアはやがて。
「お前……ふ、ふ、ふ……ふざけるなよおおおおおおおお!!」
怒りに支配されて。
「ちょ、ちょっと何を」
状況を察したミリーが焦っても時既に遅し。
「許さねえええええええええ!!」
「きゃああああ!!」
ガイアはミリーに飛びかかる。
そしてその身体を地面に押し倒す。
「や、やめて! 暴力は駄目でしょ! 反則反則反則!」
「暴力ふるってたのはそっちだろが!!」
「なんでよ! そんなこと、そんなことっ、してない! してないもん!」
「言葉の暴力だろ!!」
「きゃああああああ」
激怒したガイアは容赦なくミリーを攻撃した。
「もう……やめ、て……おね、がい……」
「何を言っても無駄だ!」
「こわ、いよ……どう、して……こんな、こと、して……おん、な、のこ……あい、て……に……」
「悪いのはそっちだろ!」
「よわ、い……もの、いじ、め、とか……ひど、す、ぎるじゃ……な、い……」
「悪いのはお前悪いのはお前悪いのはお前悪いのはお前悪いのはお前」
「やめ、て、もう……もど、ってよ……やさ、しかった……だい、す、きだった……あの、ころ、み……たい……に……」
婚約者だとか、女性だとか、そんなことはもう関係なくなっていた。
その時の彼は目の前の人間を徹底的に叩き壊すことだけを考えていた――否、それしか見えなくなっていた、と表現するべきだろうか。
いずれにせよ彼は冷静ではなくて。
それゆえ、一応ある程度手加減しなくてはならないな、なんていう思考も完全に吹っ飛んでしまっていた。
その事件によりミリーは落命した。
ガイアが正気を取り戻した時、彼女は既に動かなくなってしまっていたのだ。
ルイナという一人の人間を犠牲に幸せになろうとした二人、しかしその願いは叶わなかった。
ミリーはガイアに命を奪われた。
ガイアは自身の行いにより逮捕され処刑された。
◆
「ミリーさんとガイア、自滅したんだって」
「そうみたいね」
「残念に思う?」
「いえ……正直そうは思わないわ」
旅立ちから一年ほどが経った。
私は今も穏やかに幸せにロロと共に暮らしている。
幼馴染みだった私たちは夫婦になった。
「ま、そうだよね」
「ええ……そんな私って優しくないかしらね」
「そんなことないよ!」
「ありがとう」
「ルイナは優しいよ。一緒にいる自分が言うんだから、絶対!」
◆終わり◆
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