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前編
しおりを挟むエルリエ・フィレイマ、燃ゆるような赤い髪を持って生まれた彼女は、良家の令嬢で優秀な火炎魔法の使い手だ。
彼女には生まれる前から決まっている婚約者がいた。
名はオーズという。
彼と結ばれ家に繁栄をもたらして生きるというのが彼女に与えられた人生で使命だったのだ。
けれどもオーズはエルリエを嫌った。
彼女が優秀な魔法使いであったことが怖かった、というのもあったのかもしれないが。オーズはとにかくエルリエを嫌っていて。ことあるごとに貶めるような言葉を並べて。エルリエが温厚であることを利用し、傷つけるようなことを繰り返した。
だが、ある時、彼は言ってしまった――絶対に言ってはならないことを。
「お前なんかさ、親だったクソだろ? お前がクソだから、親も絶対そうなんだろうなーって思ってんだよ。どうなんだ? クソか? どうだ? 親、クソか?」
エルリエは穏やかな女性だ、己のことを酷く言われても怒らない。
少し悲しそうに微笑むだけで。
向けられた剣が言葉である限り、絶対に反撃はしない。
だが、親を悪く言われたら別だ。
「……貴方は一線を越えてしまったようです」
彼女は親を大切に思っている。
その宝物を下げるようなことを言われては。
さすがの彼女も許しはできない。
「我が親を侮辱する者を許しません」
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