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2話
しおりを挟むでも、と、間を少しだけ空けて続ける。
「これを機に私はアルペジオを出ていきます。ですので、この国がどうにかなってしまったとしても、自業自得というものですよ」
「はぁ? やっぱ負け惜しみか」
「いえ、国護りの力の件です」
「……何が言いたい? 脅しか」
眉間に深いしわを寄せるパトラオ。
「違います。ただ、事実を、前もって伝えておいてだけのことです」
「ふん、そうか。ま、忠告には感謝する。もっとも、何も起こらないだろうがな。能力など、特別な力など、まやかしでしかないのだから」
こうして私はパトラオと別れ、両親と共にアルペジオを去った。
――その後、アルペジオは思っていた通りになった。
いや、その災難の凄まじさは想像を越えていたくらいだった。
私たち一家が隣国へ出国した日、アルペジオの都に隕石が数個降ってきて墜落したのだ。それにより都には甚大な被害が出て。王都の機能はそれだけでほぼ停止した。またそれによる死者も多く、その数は都に暮らす民の三分の一以上となった。
その際王族の二人ほどが亡くなってしまったそうだ。
何でも、外出中に巻き込まれたらしい。
だがもちろんそれだけでは終わらず、そこからも食糧を作っている畑がなぜか連続で火災になって食糧価格が急激に高騰したりそこに追い打ちをかけるかのように大災害が起こったりととんでもないことになったようで。
そうして段々民の不満が募り、やがて怒りの矛先が王家へと向く。
「俺らは苦しんでいるのに、あいつらはまだ城にこもったまま! 何なんだ! 許せねぇ」
「王女なんかは好き放題贅沢してやがるらしいぜ」
「食糧も買い占めやがって! おかげで皆飢え死に一歩手前じゃねえか! 許せねぇ」
そう、この時もまだ、王族は呑気に暮らしていたのである。
しかも城の改修までしていた。
凄まじい額のお金を使って。
「そうよ! うちの子だって死にかけてるのに! 何よあの王族ども、自分勝手なことばかりして!」
「許せない」
「あそこのお子さんなんてもう死んでしまったのよ……」
「最低! 王族全員屑!」
そうしてやがて暴動が起こった。
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